第138回 1級の講評と感想

がんばろう日商簿記1級合格、今回は第138回本試験の講評と感想についてお話をしたいと思います。

2014年11月16日、本日、日商検定1級を受験されたみなさん、本当にお疲れさまでした。

そして、これから来年の試験を目指す方もモチベーションを高めて頑張ってください。

今日実施された試験にはいくつか特徴があります。
まず、商業簿記・会計学からお話をします。

商業簿記は決算整理前残高試算表をもとに決算整理後残高試算表を作るという一般簿記からの出題です。細かい所で扱いに困るような資料の出し方をしている部分がいくつかあるので、注意をしたいところがありますが、そういったところを気にせずに、自分が取れる部分を取るのかが大事です。

今回はリースの部分で中途解約の処理がありましたが、ここは多くの方がなかなか手が届かない部分です。

リースは基本的な処理と、せいぜいセールアンドリースバックか、少し前にやった論点だと貸し手の処理とか、リース取引にも色々ありますが中途解約や維持管理相当費用までは手が回らない方も多いと思うので、リースの取引は少し厳しかったかもしれません。

しかし、そこが得点できなくても、それ以外のところはオーソドックスな論点が結構ありました。

為替予約の部分や貸倒引当金、リース以外の固定資産、新株予約権付社債、退職給付のあたりは得点できる論点なので、そこで地道に点数を取ってください。

それと、今回注意が必要なのは、売価還元法のなかで、期中の仕入戻しの品物の原価の他に売価が書いてあって、これをどう扱うかというのも出てきます。結果的にここが上手くいかなくても、商品評価損はスタッフが解き直してみたら出たので、完全な正解に至らなくても部分点は取れます。

ですので、できないところは気にしないでください。
特に、リースの中途解約についてはあまり準備されていない方も多いと思うので、気にせずに、退職給付や為替予約など、他に取れるところで取ってください。

そのようにして部分点を積み上げていって、15点を目標に取ってください。
スタッフが解き直して検討した結果、15点から17点ぐらいが妥当という話になりました。
さすがに25点はきついと思いますが、15点から17点ぐらいならば現実的な点数ということです。
ですので、15点以上を目標にしたいと思います。

会計学については困った方が多いと思いますが、実質的にはほとんど理論問題です。
第一問は空欄がaからkまで11個あって、1個1点だと思うので11点になります。
第二問は連結包括利益計算書の問題ですが、ポイントはとにかく空欄にその他包括利益の言葉を書いて、部分点を取ることです。

第二問は計算が大変で、公認会計士の受験生でも戸惑うようなもので、1級レベルではきつい問題です。
ですので、この計算を得点できる方はほとんどいないと思いますが、勘定科目のところに空欄が結構空いていて、ここに4点から5点の配点がくる可能性があるので、この空欄を埋めてください。

「その他包括利益」「その他有価証券評価差額金」「為替換算調整勘定」といった言葉を入れておけば、上手くすると3点から4点取れる可能性があります。
ここで3・4点ぐらい取ってください。

第一問の目標は11個のうち7個か8個取ってください。

第一問で8個取れれば8点、第二問で3・4点取って、合わせて11点か12点ぐらいはいけます。

そして第三問は2個の空欄ですが、想像ですが、さすがに2点ということは考えにくく、希望的観測を言えば4点が妥当だと思っています。

ここは減損に関する言葉で、点数を取りやすいので、ここは2つ取って4点取ります。
考えられる配点としては、第一問が11点、第二問が10点、第三問が4点でちょうど25点なので、目標は第一問が8点、第二問が4点、第三問が4点で合計16点ですが、15点は目指したいと思います。

連結包括利益計算書を見た瞬間に諦めてしまって全滅してしまった方が多いますが、ここで根性を見せるべきだったのです。

おそらく、この問題は空欄の項目に配点がこないと合格率が相当低くなると思うので、項目に配点がくるはずです。

ですので、項目は埋められるところをすべて埋めれば4点ぐらい取れる可能性があります。
目標は会計学と商業簿記それぞれ15点で、合計30点となります。

工業簿記・原価計算に関しては、スタッフと解き直しをしてみて、難易度としては前回までとそれほど変わらないので、どちらも20点ずつで合計40点狙えます。

今回の工業簿記は標準原価計算で、勘定記入もあるオーソドックスな問題です。
第一問が計算で第二問が空欄の記入です。
テキストをしっかりと勉強して過去問もきちんと勉強していれば、ある程度は解けます。
工業簿記は20点が目標です。

原価計算は第一問が理論問題で、第二問が全部原価計算における標準原価計算ですが、利益管理を徹底するために直接原価計算に変えるというもので、利益計画や利益計算における全部原価計算と直接原価計算の損益計算に関する比較の問題が出ています。

これも割とオーソドックスなので、これも20点は狙えます。

ですので、工業簿記・原価計算合わせて40点が目標です。

商業簿記・会計学と合わせると70点で、これが従来通りの目標です。
今回受験した方の話を聞くと、連結包括利益計算書は見たことがないので、この時点で諦めてしまったという方が結構いらっしゃいますが、よく答案用紙を見て項目だけ全部書けば、5点ぐらいの配点があってもおかしくないと思っています。

あそこで3点か4点は狙えますので、ここで3・4点取れるかどうかが合否のポイントになります。

ですので、諦めないということが大事なのです。
以前にも、見たことがない形式が出題される可能性があるということはお話しているはずです。

見たことがない形式が出題されても、必ずテキストの知識の範囲で解ける問題はあります。
そこを泥臭くてもいいので点数を積み上げていきます。

よく見てみると、会計学もほとんど数字は無く、理論だけで15点ぐらいいける可能性があったのです。
今回は計算が少なかったのですが、その計算が会計士レベルに近いと言ってもいいぐらいに見慣れない問題でした。

1級レベルでこの問題のフォローを要求するのは少し可哀想なぐらいで、面食らった方も多いと思いますが、試験の先生は項目に空欄を設けて助けを出していると思うので、そこを埋めるかどうかがポイントです。

私はこの空欄を試験の先生からのメッセージと受け取っていますので、第二問は部分点を狙えます。
ぜひ、諦めずに頑張ってみてください。

今回の目標は商業簿記と会計学でそれぞれ15点ずつの合計30点、工業簿記・原価計算でそれぞれ20点ずつの40点で、すべて合わせて70点以上の得点戦略をおすすめいたします。

これからも頑張ってください。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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