伝統的な経営理論では、企業の経営資源として、従来、下記の3つが重要とされていました。

1.人 …従業員
2.物 …設備
3.金 …資金

これに、現代経営では情報が4番目の経営資源(リソース)として、取り上げられますね。
今回は、上記の経営資源のうち、「人」に関連してかかった費用が、損益計算書「P/L」のどこに表示されているのか、ということをいっしょに確認してみたいと思います。

まずは、会計の一領域である「原価計算」という研究科目の考え方をご紹介しますと、企業内の従業員にかかる人件費は、

1.賃金(工場の作業員に支払う基本給等)
2.給料(上記以外(事務職、販売員など)に支払う基本給等)
3.雑給(パート、アルバイト)
4.賞与
5.退職給付引費用
6.福利費(健康保険料の負担額など)

など、さまざまな種類があります。

以上は、従業員に支給される労務費としての人件費ですが、経営者に支給される下記のコストもありますね。

1.役員報酬
2.役員賞与

そして、企業内にいる人たちが、それぞれ、どのような役割を果たしているかで、その人にかかる人件費の、
P/Lにおける表示場所が変わってきます。
具体的には、企業の機能を、「製造機能」、「販売機能」、「全般管理機能」の3つに分類します。
そして、上記の8つの人件費を、3つの機能と関連付けて分類すると、下記のような表になるのです。

■人件費と企業内の3機能の関係

          製 造  販 売  管 理
         (工 場)(店 舗)(本 社)
          ―――  ―――  ―――
1.役員報酬     -   -    ◎
2.賃金       ◎    -    -
3.給料       ○    ○    ○
4.雑給       ○    ○    ○
5.賞与       ○    ○    ○
6.役員賞与     -    -    ◎
7.退職給付費用   ○    ○    ○
8.福利費      ○    ○    ○

※◎…機能が特化されている費目。
 ○…3機能のいずれにも属する可能性のある費目。

このように見ていくと、役員は、本社機能の中心として、会社全般を管理・監督する役割があるので、役員報酬、役員賞与について、一般管理費表示が妥当することになります。

次に、工場の作業員に支払う賃金は、基本的に製造価値で生じるコストですから、もっぱら製造原価(いずれ、売上原価としてP/Lに表示されます)を構成するのですね。
それ以外の人件費は、「工場」、「店舗や営業・宣伝部署」、「本社」のいずれにおいても、そこで働く人の分が帰属しますので、3機能に関連する「製造原価」、「販売費」、「一般管理費」のどこにでも表れてくるわけです。

結論として、
1.役員関係は「管理」機能なので、「一般管理費」
2.賃金は「製造」機能なので、「製造原価」
3.上記以外は、その人が属する機能に応じて、
  「製造原価、販売費、一般管理費」のいずれもありうる、ということをご理解いただければよろしいでしょう。

※参考…損益計算書(P/L)の表示例(一部)

           損益計算書  (単位:万円)
     売  上  高      100
     売 上 原 価       70(-)
                  ―――
       売上総利益       30 ←(付加価値)
     販売費および一般管理費   21(-) 
                  ―――
        営業利益        9 ←(本業の成果)

このように、企業内で発生する人件費は、売上原価、販売費、一般管理費のいずれかに属するものなのですね。