簿記1級合格の過程を、2つの工程で考える

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「簿記1級の学習を、2つの工程で捉えてみよう」というテーマでお話したいと思います。

試験3か月前となる今頃から多くの方は過去問を解き始めます。

3か月前から過去問に取り組むと合格率は上がりますが、2か月前から取り組んでも合格した事例があるので大丈夫です。
私の経験上、遅くとも1か月半前には取り組んで欲しいなとは思っています。
8月のお盆のあたりから9月の末、そして3月から4月にかけて多い質問があります。
それは、過去問を解いても全然解けないということです。
担当スタッフがメールコーチングで個別に励ましていますので、心配だったらメールをお願いします。

いくら私が動画で「過去問が解けなくても大丈夫だよ」と言っても、目の前の問題が全然解けないという現実を突き付けられると落ち込んでしまうのです。
そういうときこそメールをしてきて欲しいです。
冷静になれば、あなたが考えているほど今の事態は悪くありません。
敢えて言えば、練習量が足りないだけです。
練習量を増やせば自然と合格できる能力はあるのに、その程度のことで落ち込んでいること自体が時間の無駄です。

練習量が足りないことと、能力の有無は全く違うものです。
柴山式では簿記1級は500時間あれば合格できると考えています。
500時間は専門レベルの入口としては丁度良いのですが、楽ではありません。
楽ではないけれども、誰もが到達できるのが500時間なのです。
1日2時間勉強すれば1年で600時間勉強できます。

昔、英語で「ヒアリングマラソン」というものがあって、1日3時間聴くのを1年間続けて、合計1,000時間ヒアリングするという方法がヒットしました。
このように、1,000時間までは、やろうと思えばできるのです。

それを考えれば、時間さえ取れれば簿記1級は誰でも受かるのです。

ただ、そこまで勉強しなくても、500時間以下でも合格しています。
合格体験記を見ていると、効率良くやれば500時間以下の勉強時間でも合格するということがわかってきています。
柴山式の事例でいいます。
これは一般的な勉強にも当てはまります。
2つの工程があります。

簿記検定2級でやった、「工程別原価計算」の発想です。
第1工程には前工程費があって、それを第2工程の部品として投入します。
前工程費は第2工程の直接材料費みたいなものと考えます。
この時期は、第1工程が終わって、第2工程に前工程費を振り替えて、作業が始まったばかりだと思えば大したことはないのです。
みなさんはまだ第2工程の始点の段階なのです。
これから第2工程の作業をして受かればいいわけです。
第1工程とは前半の250時間です。
250時間の内訳は、講義が40時間、復習が40時間、例題が160時間です。
それにプラスアルファ10時間ぐらいして、250時間勉強して基礎力をつけます。
これが前工程費です。

ここまでやると結構力が付いているのです。
しかし、この状態で過去問が解けるかというと、そうでもありません。
第2工程という別の作業があります。
「例題が解けること」と「過去問が解けること」は別です。
能力ではなく経験なのです。
たとえば、サッカーでフリーキックの練習を散々やっても、試合のプレッシャーで蹴るときは違います。
「このキックを外したら負ける」というプレッシャーの中で蹴るのと、普段の練習で何十本、何百本蹴るのとでは違います。
シチュエーションが変わっても実力を発揮できるように練習するのが第2工程なのです。
プレッシャーの無い状態で例題を解くことが出来ても、本番の総合問題では状況が違ってきます。

それを克服するためには、後半で250時間の勉強をすればいいのです。
第2工程250時間の内訳は、過去問が200時間、例題30時間、模試20時間です。
過去問は絶対譲れません。
ここをしっかりやるかどうかで勝負が決まります。
柴山式では過去問をやることで合格してもらっています。
過去問は10回から14回分を4回転ぐらい、人によっては10回転します。
ということは、過去問だけで400時間ぐらいやっている人もいるのです。
一番多いのは5回転程度ですが、まずは4回転をやりましょう。
3回目ぐらいまでは解けないことが多いのが、4回転目からある程度解けるようになってきます。

それでもまだ解けない問題は5回転すればいいです。

だから、4回転は必ずやると思ってください。
しかし、過去問を解くためには、前工程費の講義、復習、例題が絶対に必要で、これを無くして過去問は解けません。
今、みなさんは、前工程費をやっと第2工程に投入した段階なので、逆にここで過去問がスムーズに解けるのはおかしいのです。
第1工程が終わっただけなのに、過去問が解けないのは当たり前なので、落ち込む必要もありません。
もちろん、第1工程が終わったことは素晴らしいことですが、その勉強量を過信しないでください。

それですぐに過去問が解けるほど簿記1級は甘くありません。
だから価値があるのです。
第1工程を終えられるのは2割から3割の人で、第2工程ではそこから更に半分くらいの人しか終えられません。
第1工程を最後まで終えるのは大変なことなので、それを終えたあなたはエリートと言ってもいいです。
だから、これから過去問を解く人は、第2工程に進んだと思って、応用力の250時間を楽しんでください。
第1工程が出来た段階であなたは上位3割に入っているのです。
そこから10パーセントに研ぎ澄ますために第2工程があると考えてください。
あと半分頑張れば受かります。

今、過去問が解けなくても気にしないでください。
これから過去問をしっかり解いて、例題を確認してください。
そして、できればTAC、大原、LECのような大手の公開模試を2つくらい受けてみてください。
会場受験が可能であれば会場で受けてみてください。
公開模試は予想問題も兼ねていますし、問題作成に掛けているお金や情報量は大手の独壇場です。
そこは中小零細である私のような業者では不可能なので、大手の情報網を活用してください。

第2工程は、過去問・例題・公開模試という3点セットをやって、駆け抜けてください。
私はいつもあなたの簿記1級合格を心より応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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