株式投資は株買うな!?

まちかど会計学第7回

政治、経済、ビジネスに人間関係、街角のあらゆる話題に数字を結びつけ、会計士の立場から見た意外な真実や現代を生き抜くための転ばぬ先の杖をお伝えする、まちかど会計学。

11月になり、2013年もあと2か月となりました。先月、私はとうとう48歳になってしまいました。
誕生日になって気づいたのですが、今年は年男でした。

11月3日に日経新聞を見ていて、非常に興味深いトップ記事がありました。
日経新聞のトップ記事は日本経済の全体に影響する内容なので、ぜひ見出しだけでも目を通していただきたいです。

その中で資産運用の話が少し出ていて、「老後のゆとり 王道なし」という記事がありました。

非常に面白かったのが、株式投資など退職金の運用に慣れていないので、やってみたらなかなか上手くいかないという内容です。

老後の生活に関わってくることなので「失敗しちゃった」みたいな軽いノリでいけるような話ではありません。

この後、老後の資産運用に関する内容について私の視点でお話をしたいと思います。
今回のお話ですが、事例としていくつか数字を入れてみたいと思いますが、難しい数字ではないので心配しないでください。

例えば老後に夫婦2人いると考えて、2人で月々どれぐらいのお金があるとゆとりのある生活が送れるかというと、1つのデータによると、月22.3万だそうです。

そうすると1年で264万、10年で2,600万もかかります。
「そんなにかかるの!?」という声も聞こえてきそうですが、月22万という金額はそれほど高い金額ではなさそうですが、「そんなお金はなかなかないな」と思いますよね。

ちなみに、このときの日経新聞の記事を見てみると、退職金の平均は2,440万円というデータがあるそうです。

「中小企業だからそんなにもらってないよ」という方もいらっしゃるかもしれませんし、柴山会計も私が退職するときにこんなにもらえる自信はありません。

仮に2,440万円をもらえたとしても、そこから夫婦2人で10年で食いつぶしてしまうのです。

年金をあてにしたくても年金財政は不安ですし、将来どうなるかは分かりません。
少子高齢会になり、年金も賄いきれなくなるかもしれません。

ではどうしたらいいのか?

2,000万円以上の退職金をもらったとしても、毎月20万ずつ減っていくのを見るのは怖いですよね。
だから、運用して増やしたいと思いますよね。

そこで、年金不足の対抗手段というわけではありませんが、よくあるのが老後の株式投資です。

このときの記事はすごく参考になるので、もしお手元に日経新聞11月3日朝刊があったらご覧いただきたいですし、日経新聞が手元になくてもネットで「老後のゆとり」と検索してください。

ただし、そのワードで検索すると、グーグルが「この人は老後のゆとりに興味がある」と認識して、その後サイトを開くたびに老後のゆとりに関する勧誘の広告が出るかもしれません。

最近の広告は検索キーワードから選んできます。
ともあれ、「老後のゆとり」という言葉で検索していただければ、ニュースのほうでこのときの記事の話題が出ると思います。

この記事によると「7割近くは評価損?」という話です。
内訳を見てみると、2012年12月末時点のフィデリティ退職投資教育研究所調査というものがあったのですが、評価益は100人中16.7人、なんと16パーセントちょっとです。

「変わらない」というのが11.8人です。
残りの68.1人が評価損ということで、7割近くが儲かっていないのです。

そして残りの3.4パーセントは「わからない」と回答していますが、だいたい7割近くが損をしたという話です。

これでは「転ばぬ先の杖」ではなく「思いっきりコケてしまった杖」になってしまいます。
私から言わせると、コケた人に鞭を打つようで申し訳無いのですが、そんなのは当たり前なのです。

株式投資というのは、老後の投資に限らず全般的にトントン以上が2割です。
もっと言うならば、目立って儲かっている人というのは5パーセントから10パーセントなのです。

上位20パーセントぐらいの人はトントンか若干儲かっているレベルなので、できれば上位20パーセント以上にいきたいです。

「勝ち組」「負け組」という言い方は変ですが、8割の人は「年金資産運用負け組」になってしまうのです。しかし、よく考えてみてください。

「儲かるのが20パーセントなんて、低いな」と思うかもしれませんが、あなたの大事な財産を100万200万と大きく育てようとしているわけですから、ある意味で長期的な投資ですが、それで20パーセントの勝率というのは結構高い数字なのです。

例えば、イチローや松井秀喜など色々な人がいますが、ある業界で成功しようと思ったら、
それこそ1万人に1人とか、数パーセントのレベルの努力が必要ですが、株式投資はそんな強い肩もいらないし遠くに飛ばす能力も必要ありません。

特殊な能力がなくても、誰でも上位20パーセントに入る可能性があります。
株式投資はたしかにリスクはありますが、他の投資よりは情報もたくさんありますし、後でお話しますが、勝てる可能性は高いのです。

だから、20パーセントの勝率が低いと思わずに、一定の努力をしていただければ誰にでもチャンスがあるのです。

では、上位20パーセントに入るにはどうすればいいのかという話ですが、王道があります。

簡単に言うと「ゲーム」です。

「えっ!?」って思った方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば1,000万のお金があって、それを運用する場合、いきなり1,000万をつぎ込んでしまってはいけません。
100万もダメです。

いきなりお金をかけるのは、オープン戦を戦わずにいきなりペナントレースにいくようなものです。
それは体を壊してしまいます。

つまり、何の戦略も無い状態でいきなり実践に行くと、当然“討ち死に”してしまうのです。
それを避けるためにも、まずは実践に近い状態をノーリスクで体験することが大事です。

まずはゲームをするのですが、最近のゲームは無料ゲームもたくさんありますし、侮れません。
「株式投資 無料ゲーム」と検索すればたくさん出ます。

そうすると、今後あなたがホームページを開くと投資関係の広告が出まくりますが、その広告を見ることがコストだと思ってください。

そして無料オンラインゲームをやってください。
1か月でも2か月でも3か月でもいいので、ゲームをやって一定期間勝負してみます。

そこで10パーセントや20パーセントの利回りをたたき出せなければ、当然、本番ではそれが実損となって帰ってきます。

インタビューしていないので私の想像ですが、多分、ポートフォリオのアンケート調査を回答した100人中ほぼ90人は無料ゲームをやっていないのではないかと思うし、「やってみて失敗したけど本番は大丈夫」と思って本番にいった人もいるのではないかと思います。

それがまずいのです。
ゲームで勝てない人が本番で勝てるわけがないのです。

フリーバッティングで全然外野に飛ばない人が「試合でホームラン打つから4番にしてください」なんて言っても、監督は信用してくれません。

練習で飛ばしてください。
だから、ゲームでホームランを打てなかったら、それまでは実際の株式投資に行くべきではありません。

まずはゲームで自分の適性を見ましょう。
ポイント1は、「転ばぬ先の杖」ならぬ「転ばぬ先の“無料ゲーム”」です。
お金をかけると熱くなるので、無料でやってください。

まず、無料ゲームで自分が上位10パーセント20パーセントにいけるかを見ます。
でも、この段階で10人中8人には入れません。

そのように入れなかった人はどうすればいいのか?
貯金をするという方法もありますが、ここは株式投資にお話を絞っていきます。

これは大事なことですが、私の信念をお話します。
「株式投資は株買うな」

株ではなく、株式を発行する会社のビジネスを買うのです。
「株式投資は株買うな、会社を買え」ということです。

もっと言うならば、株価とか株券を買ってはいけないのです。
株券の裏付けとなっている会社の成長性、前回お話した「自然利子率」です。
自然利子率の高い会社かどうかを確認してから買ってください。

大事なことは、目先の株価の「何とかチャート」とか「ロウソクが何本どうした」とかいう話ではありません。

たしかにローソクチャートはすごいですが、ローソクチャートを何本見ようが、何十本見ようが関係ないのです。
大事なことは目先の株の動きではなく、その背後にある自然利子率なのです。

その会社の自然利子率が1年後に10パーセント上がるか、前回やったイノシシの話です、獣を今年10頭捕ったなら来年は20頭捕るとか、それができるところを選びましょうという話です。

では、それをどうやって調べるのかというと、そこで出てくるのが「情報源」なのです。
株式投資の情報源はいくらでもあります、例えば決算書などもネットで何でも手に入ります。

今は自宅にいながらボタンを押すだけで情報が手に入りますが、昔は茅場町というところにある証券会館まで行って決算書のコピーを取っていたので、それを考えたらこんなに良い時代はないです。

まずは「有価証券報告書」という書類を見て、もう1つは、その会社の商品を買って、現場のサービスを見てみることです。

「ここならばもう一度入りたいな」という会社の株価が伸びやすいのです。
見るのは株価チャートではなく、現場の接客なのです。

そこでのポイントは2つあって、1つは自分が分かるビジネスを見ることです。
分からないビジネスを見てもしようがないです。

もう1つは、興味のあるビジネスから始めてみましょう。
その中で伸びる会社を妥協無く探すのです。

株価チャートを見るなんて10年早いのです。
若い方は、自分の興味がある商品を徹底的に研究してみてください。

たとえばバイクに興味があるのならば、昔は儲かっているけど今は衰退しているバイク屋さんの株は買わないとか、自分の好きなもので分かるところから伸びる会社を探します。
そして、それを見つけたら徹底調査します。

30回ぐらい現場に足を運んで、場合によっては経営者の話を聞いて、新聞記事を読んでみます。

そして、最後の目標は、買おうと思っている会社があったら、その会社についてあなたが講師になって、その会社のビジネスセミナーを2時間できるかどうかです。

あなたが“あんちょこ”無しでパワーポイントのデータだけで2時間その会社について語れるぐらいきちんと調べていれば、その会社は儲かります。

ここまでやらないから8割は儲からないのです。
それどころか、ここまでやれば上位5パーセントに入れます。
だから、株式投資は儲かるのです。

ほとんどの人はここまでやらないから儲からないのです。
キツいと思ったら、貯金をすれば元本は保証されますから、大丈夫です。

頭を使いたくなければ安全策をとるのも悪くありませんし、今の時代ならば働いてもいいわけです。

うちの母親は72でも働いていますから。
その場合は健康に気をつけましょうということです。

私が子どもの頃、母親がいいことを言いました「稼ぎ方は2つしかない。1つは頭を使う。もう1つは体を使う」シンプルだけど分かりやすいですね。

株式投資は頭を使います。
頭を使いたくないのであれば、日頃から健康に注意をして、元気な体で70になっても働けばいいのです。

その気になれば仕事はあります。
このように、みなさんの目標や現状に応じて考えてください。
ただ、株式投資は誰もが儲かるチャンスがあるし、データはすごく豊富です。

不動産投資だと、例えば買おうと思っていた土地が土壌汚染していたとか、かつて殺人事件があった場所だとか、隠れた情報が出やすいですが、株式投資はインサイダー規制というのがあるので、悪さができないのです。

これほど情報がしっかり管理されている投資はなかなかないので、やはり株式投資は王道です。

「老後のゆとり 王道はなし」という記事をご紹介しましたが、株式投資に王道はあります。

買いたい会社について自身で2時間セミナーができるぐらい好きになって調べまくって、その会社が安くなったときに買えばいいのです。

ぜひ、今回の話を参考にしていただければ幸いです。
「自分の分かる会社」「好きな会社」「2時間セミナーができるくらい調べる」などと、ここまで、私は色々なことをお話しました。

では、私が2時間セミナーできる会社は何なのか?
もちろん上場企業ではありません。

その会社の株式は、柴山会計ラーニング株式会社、100パーセント株主の柴山です。
まずは、自分のビジネスに自信があったら、自分のビジネスの自然利子率を200パーセント、300パーセントと上げる努力をします。

あるいは、そういった見る目を持って、周りに興味のある会社で2時間セミナーができるくらいみればいいということです。

私も自分のビジネスに投資をしています。
結婚と同じで、株式投資も出会いです。

本気で自分のお金を預けてみたいと思える理想の会社を見つけてください。
この番組を聴いていただいている方は地道に増えています。
自然利子率が上がっています。

そのような熱心なリスナーの方は、よろしければ私に素朴な疑問やご意見などをお気軽にメールしてください。

「柴山さんは宝くじを買うのですか?」のような質問でもいいですし、「なんで宝くじは税金かからないのですか?」ということでもいいです。

「柴山さんはどういう会社が伸びると思いますか?」や、「借金をするときに柴山さんが心掛けていることは何ですか?」のような、身近な数字の話やビジネスの話、どんなことでもいいですので、ご質問を送ってください。

ホームページは http://bokikaikei.net です。
これも無料なので、お気軽に声を掛けてください。

次回も会計士柴山独自の視点で、現代を生きるための“転ばぬ先の杖”をお伝えいたします。
お相手は公認会計士の柴山政行でした。

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