大胆政策提言!宝くじとロト消費税が日本を救う!

まちかど会計学No.11

政治、経済、ビジネスに人間関係、街角のあらゆる話題に数字を結びつけ、会計士の立場から見た意外な真実や現代を生き抜くための転ばぬ先の杖をお伝えする、まちかど会計学。

12月も半ばに差し掛かり、いよいよ年の瀬ということで色々な話題がありますが、やはり“ジャンボ”な話題は、年末ジャンボ宝くじです。

年末になると「夢を買いたいな」と思って、その夢でお正月を豊かに暮らしたいと思うこともあると思います。

私は普段宝くじを買わないのですが、先日、事務所で仕事をしていたら家内のお父さんが顔を出して、「うちもそろそろ宝くじを買おうと思うのだけど、買っといてくれないか」と言われて、もうそんな時期なのだなと思いました。

今回は身近な話題ですが、最後には「アッ」と驚くような、柴山的な真面目な提案もしますのでお楽しみになさってください。

宝くじは毎回ワクワクします。

ワクワク買ってしまう宝くじについて、会計士的な視点でお話をしたいと思っています。

最近の当選金はやたら高いです。私が子どもの頃は1,000万でもすごいと思った時代がありましたが、今や5億や、場合によっては7億とか8億という金額が当たり前になってきました。

ここで宝くじについておさらいをしてみたいと思います。
宝くじは現在1枚300円で、それが6億本でます。
1回あたりの売上が1,800億円になるらしいのです。

その収益がどのように使われるのかというと、宝くじのホームページに書いてあります。
例えば平成24年のケースだと、46.3パーセント、つまり半分弱が当選金です。

当選金というのは私たちにとっては“儲かる金”ですが、払う側にとっては費用になります。
これはある意味、宝くじの“原価”と考えます。

300円×46.3パーセントとすると、300円の宝くじに対してみなさんがいくらの当選金もらっているかというと、138.9円になります。

これは高いと思いますか?それとも安いと思いますか?300円を払って138.9円が返ってくるということです。

平均で返ってきても嬉しくないですよね、なぜかというと買った瞬間に差し引き161.1円損するということなので、そう考えると悲しいですが、それは良い意味での格差というか、一部の当選者に富を集めるから面白いのです。

良い意味でゲーム感覚での格差を楽しむということです。
そして、残りの161円がどのように使われているかということを考えていただきたいのですが、これは割と有名な話ですが、41.1パーセントは全国都道府県の公共事業に使われています。

だいたいみなさんが払ったお金の120円分ぐらいは世の中の役に立っているのです。
そう思うと、買った時に「あのコンクリートは俺のお金じゃないのか」なんて思いませんか?

そういう気持ちで買うと、また違った意味で夢が出ます。
やはり使われ方は大事だと思います。

あなたが買った300円のうち、139円ぐらいは当選金で返ってくるけれども残りの120円ぐらいは世の中のためになっているのです。

残りの11.6パーセント、30円や40円ぐらいは印刷代や紙代ということです。
私が思うに、テレビやネットの広告費もここに含まれているのかなと考えると、宝くじからも会計センスが身に付くというお話です。

あと、宝くじを買ったらどれぐらいの確率で当たるのかということが気になると思いますが、これは本数をみれば分かります。

例えば年末ジャンボ宝くじは発売が6億本ですが、1等5億円が60本あります。1億円の前後賞でも120本で、合わせて180本が1億以上です。

1番多いのが4等の300円で、6,000万本あります。6,000万本というのは発売されている6億本に対してちょうど10パーセントです。

つまり、あなたが買う宝くじの10枚のうち1枚は300円に当選するということです。
全体の当選本数は何本かというと、66,187,920本です。

その当選本数は発売本数の6億で割ってみたのですが、11.0パーセントです。
つまり、およそ89枚はハズレですが、11パーセントは当たるので、まあまあ夢としては良いのかなと思います。

ハズレばかりだとつらいですが、10枚買って1枚当選するならば希少価値があります。
しかし、2・3本かって1本当たると有り難みが薄れます。

逆に100本に1本しか当選しないと買う気がしなくなります。
そういう意味では、上手くバランスを取っていると思います。

それから、先ほどお話しました、全員に均等に配分するとほとんど損をしてしまいますが、それを一部の人に集めて5億や1億となると、人間は当たるほうを考えてしまうので、買ってから当選発表があるまでの数週間のうちに当たったときのことを考えてニヤニヤしながら毎日が過ごせます。

たとえば毎朝の通勤電車で、今日も嫌な上司の下で頭を下げて嫌な仕事もニコニコしてやらないといけないとか、憂鬱な気持ちになることもあると思いますが、そういうときにも「ここで1億当たったら辞表を出してやろう」とか、そんなことを考えながら、夢を見ながら仕事に行けます。

そうするとモチベーションを高めることができます。

モチベーションを高めたり、夢に対してお金を払っていると思えば、300円のうち返ってくるのは平均139円かもしれないけれど、161円の大部分は明日を生きるモチベーションの元、夢を買っていると思うこともできます。

このように、夢に対するお金を払うというのは、人間は結構自発的にできるのです。
ちょっと格好いい言い方をすれば、人間というのは夢を買う生き物だとも言えます。

もし、夢が現実になって、宝くじが当たったとしたら、所得だから税金がかからないのか?という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、宝くじには税金はかかりません。

これは法律でも決まっています。
では、宝くじはなぜ非課税なのか?

これは先ほどの宝くじの収益の約4割が公共事業で使われるという話をしましたが、そこが肝でして、宝くじの300円のうち4割である120円ぐらいは、既に税金として公共事業などのために役立てられているのです。

つまり、あなたが払った宝くじの代金の半分近くは税金であるということです。
そうすると、購入したときに払ったのに当たってからもまた税金を払うと税金二重取りになってしまいます。

これを「二重課税」というのですが、これを排除するために当選金に課税はしないのです。
宝くじを買った瞬間にあなたは納税しているのです。

だから、宝くじをたくさん買っている人は政治にもっと口を出していいのかもしれません。
宝くじを買う人は納税者でもあるということをこの機会に知っておきましょう。

ここまでの話のポイントが2つあって、1つは宝くじは納税の一部でもあるということで、もう1つは「人は夢に対してお金を払う生き物である」ということです。

夢も希望もなければお金を払う気がしません。
夢があるからこそお金を払うのです。

そこで、私からユニークな提案をしてみたいと思います。
「夢ある税金にすればいいじゃないか」
題して「ドリームタックス構想」というのはいかがでしょうか。

何を言っているのかと思われるかもしれませんが、どうせ払うならワクワクして払いましょうよということです。

例えば、消費増税があります。
これまでの新聞報道などでも言っていますが、消費税というのは1パーセント税率を上げると2兆円税収が上がるといわれています。

現在の5パーセントの税率で10兆円の税収があります。
これから8パーセントや10パーセントになっていきますが、そのときに、「法律が変わったから仕方ないから払うわ」というように、強制力をもって「やれ」と言われると逃げたくなります。

だから、これからは嫌々払う人もいますが、払わずに逃げようとする人、いわゆる滞納や租税回避という問題が出て来ます。

消費税は毎年3,000億もの滞納があります。
たとえば「勉強しろ」って言われたらやりますか?私ならやりたくありません。

意地でもやらないという天の邪鬼な根性が出ますから、「やれ」って言われると人間はやらないのです。

それならば、夢のあるような、喜んで払いたくなるようなやり方はどうかということです。
このアイデアをどう応用するかというと、題して「ロト消費税」です。

例えば、規模は大きいですが、10兆円の税収を上げると考えて5パーセント上げると考えてもいいわけですが、これに対して私が考えるのは、1等を1億にして、1億を毎月1,000本にします。

毎月1,000本の1億が当選しても採算は合います。
1億が1,000本ということは毎月1,000億円の当選になります。
そして1,000万が3,000本で、100万が10,000本です。

コストはいくらかというと、1億が1,000本で1,000億、1,000万が3,000本で300億、100万が10,000本で100億です。

すべてを足すと毎月1,400億になりますが、毎月それだけの金額を払い戻しても税収は上がります。

しかも、これは年ではなく毎月です。
毎月1,400億を払い戻しすると、年間で1兆6,800億です。

今の話を冷静になって整理すると、5パーセント税率をあげると10兆円の税収が入りますが、これを“売上”とします。

それに対して、当選金は、月々1,400億ですが、年間で1兆6,800億です。
税収が10兆増えて当選が1兆6,800億、つまり、差し引き8兆円が税収アップになります。

これだけ税収が上がれば財政は助かりますよね。
この5パーセントだったら喜んで消費税払いますよね。

消費税の額に応じて当選の可能性が高まるのです。
年間の当選本数が問題です。
月々1,400本なので、12か月で1万6,800本当たるのです。

みなさんの街角のどこかで知り合いが1回ぐらい当たってもおかしくない確率です。
10兆に対して、1兆6,800億を当選で返しても、8兆は手元に入ります。
しかも、みんな喜んで払うわけです。

将来、ヨーロッパ並に15パーセントや20パーセントにするならば、このアイデアは有効だと思います。

今は5パーセントですが、10パーセントにしたら20兆税収は増えますが喜んで払います、当選が3兆になりますから。

「消費税を納税して1億円当たった」なんてギャグみたいな話ですが、そういう人が毎年何千人も出るわけです。

しかも、この話はここで終わりではありません。
滞納している人にこの権利はないと思ったら、一生懸命、もしかしたら借金してまでも払うかもしれません。

もう1つすごく大事なことですが、いわゆる成長戦略、雇用対策になります。
当選した宝くじの事務手続きをやるのに、お役所だけでは人が足りなくなります。

ロト消費税の企画部とかロト消費税の事務運営株式会社のような形でビジネスが成り立ちます。

これを民間にやらせるのです。
そして、それを何百人、何千人という人を雇えば雇用対策にもなります。

場合によっては高齢者の雇用対策や色んな形で景気活性化になります。
ロト消費税の株式会社に勤めて一生懸命働いて稼いだ人が、またそのお金で消費税を納めたり、経済の循環ができるので、これは民間のビジネスの拡大にもなります。

そして、予想などもビジネスになるかもしれません。
そうすると、私の商売のネタが増えるのでもっと嬉しくなります。

それと、当選した人がそのお金を使うと景気活性化になります。
今、私がお話したこと以上に色々な良い影響があるかもしれません。
それを考えると、「ロト消費税」には夢があります。

「税金」というと夢がなさそうですが、その税金に夢を持たせることを日本が政策として成功させたら、海外からも注目を浴びるかもしれません。

「シバノミクス」とは言いませんが、このようなドリームタックス構想第一弾「ロト消費税」を閣議で検討していただけると嬉しいと思います。

最初は宝くじの話をしていたのですが、気がついたら「ロト消費税」というとんでもない政策提案になってしまいました。

消費税にかかわらず、この話は他にも応用が可能です。
同じ税金で考えると、例えば「青色申告ロト」とか「黒字申告ロト」というのはどうでしょうか。

世の中の法人の7割8割で、みんな赤字にしたがるのですが、赤字の申告の場合はロトを当たらないようにして、黒字にしたらその額に応じて最大1億円というようにして、それで借金を返そうと思う欠損会社もあるかもしれません。

税金以外でも「寄付金ロト」など、このへんは遊びと思って考えてください。
寄付金にも当選金があると思ったら寄付の額が5倍10倍になる可能性もあります。

あくまでこれは思考の遊びですが、他にも色んなアイデアがあります。
つまり、払いたくないお金もアイデア次第でワクワクして払えるような構想を練ることができるということをご提案したいと思います。

最近はリスナーの方から嬉しいお便りも来るようになりましたので、あなたも、ロト消費税構想に関するご意見でもご感想でも何でも構いませんので、何かありましたらお気軽にメールでご連絡ください。

http://bokikaikei.net までお気軽にメールを送ってください。
まちかど会計学、次回も会計士的視点で、現代を生きるための“転ばぬ先の杖”をお伝えします。
お相手は公認会計士の柴山政行でした。

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