会計とは?

知識ゼロからの会計学入門

知識ゼロからの会計学入門、第1回「会計とは何か?」というテーマでお話をしてみたいと思います。

会計行為とは何かについて説明をします。
まずは経済活動がありますが、経済活動とは「収支の状況」「財産の調達」「財産の運用」「活動の内容」のことです。

「収支」とはお金の出入りのことです。
「財産の調達」ですが、会社の世界では「資本の調達」と言ったりします。
お金を集めることを「調達」といいます。

さらに、集めたお金をどのように使うのかが「財産の運用」です。
そして、最後に活動の内容をまとめて報告します。

それらを活動主体である組織が帳簿に記録・集計し、財産を委託してくれた方に報告します。

ここでいう「活動主体」というのは、会社や個人企業もそうですが、マンションの管理組合というのもあります。

マンションの管理組合に管理費という名目で財産を預けている場合、その財産の委託者は住人ですので、管理組合は住人に対して年に1回「総会」という形で報告します。

私は大学の頃にクラシックギター部に所属していましたが、部員に向かって年に1回クラブの収支報告をしました。

会社でも組合でもサークルでも、経済活動を記録・集計して定期的に報告することを「総会」といいます。

経済活動の記録・集計と財産委託者への報告を兼ねた一連の活動のことを「会計行為」といいます。

次に、どこに向けて会計報告を行うかで、「財務会計」と「管理会計」という2つの種類に分かれます。
財務会計とは、報告の主体は企業で、財産の委託者は利害関係者です。

入金・出金、売上、商品の仕入、設備の購入、株式の売買、給料の支払いなど色々ありますが、日々の取引を企業は「仕訳帳」「総勘定元帳」という2冊の帳簿に記録・集計して、その結果を3つの票に集約します。

取引は年間何千回も何万回もあります。

例えば1日10回の取引があったとすると、月曜から金曜までの5日間で50回の取引があります。

1か月を4週間とすると、200個の取引があります。
さらに1年間だと2,400の取引があります。

個人の小さな会社レベルでも年間2,400ぐらいの取引がありますが、それをたった2冊の帳簿にデータを圧縮して、さらに3つの票に圧縮します。

この票を利害関係者(債権者・株主・投資家など)に報告します。
したがって、会計というのはデータ圧縮のプロセスも入っています。

利害関係者のことを「ステークホルダー」と言ったりしますが、年間何千件もの取引をたった3枚の票にまとめてステークホルダーに報告します。

これらの利害関係者は外部の人ですが、このように外部の人に企業の財産に関することを「外部会計(財務会計)」といいます。

一方、外部に報告することもあれば、内部に報告することもあります。
内部の人に報告する会計を「管理会計」といいます。

先ほど説明した財務会計は株主や銀行などの債権者などの外部の人に対して報告するものですが、内部報告である管理会計は、経営管理者(社長、役員、上司など)に報告するものです。

入金・出金、売上、仕入、設備の購入、株の売買などの取引を仕訳帳と総勘定元帳に集約するのはもちろんですが、売上の人数や個数、予算などのデータをすべて合わせて月次に報告します。

このように、外向きの会計報告と内向きの会計報告の2種類があることを理解しておきましょう。

管理会計で報告する対象は経営管理者で、財務会計で報告する対象は利害関係者(債権者・株主・投資家など)です。

そして、財務会計に関していうと、外部の人との“共通言語”として財務諸表があるので、報告するためには外部の人とのコミュニケーションができなければいけません。

そのときには、外の人にもわかるような共通のルールが必要なので、色々な法律で厳しく会計のルールが決められているのです。

管理会計は内部の出来事なので組織内のルールで十分ですが、組織の外に対して報告するならば外の人にも分かるような共通のルール、つまり法律が必要になります。
記録・集計から報告にあたっては法律による規定があります。
例えば、個人ならば所得税法、会社ならば法人税法や会社法という法律が関係しています。

中小企業のほとんどは法人税法と会社法が拠り所となるルールですが、上場企業などの大企業は金融商品取引法という大企業特有の法律で特に厳しく会計のやり方が決められています。

インサイダー取引に関する規定もあるのが金融商品取引法です。
そして、実務でつくりあげられた決まり事(商慣習)のまとめが「会計基準」です。
法律と会計基準を合わせて会計実務が出来上がっていると思ってください。

しかし、法律によって若干趣旨(立法趣旨)が異なりますので、それぞれの趣旨に従って会計を行います。

例えば、法人税法・所得税法で定められている会計報告というのは、税務当局が主体で、課税のための会計で「課税の公平」「経済政策」の観点から立法されています。

「課税の公平」というのは、みんなが納税している中で1人だけ脱税したらまずいので、同じ環境にいる人ならば同じような税金の計算ができるようにしたものです。

「経済政策」は、消費税を上げると景気が悪くなったりしますが、税金を少なくするような政策をとると産業の発展に寄与するので、産業振興という側面があります。

そして2つ目ですが、会社法は債権者と株主が主体です。
お金を貸している人と株主というのは立場が違うので、それぞれ関心のあること(利害)が違います。

株主の保護を強くすると債権者が不利益になったり、逆に債権者の保護を手厚くすると株主が不利になったりしますが、どちらも不利にならないように、それぞれにバランスよくメリットが与えられるようにするという観点から立法されています。

ちなみに会社法というのは民法という法律の特別法といわれています。
そして3つ目は金融商品取引法です。

これは投資家が主体で、投資判断に役立つような会計情報を提供するために作られた法律です。
それぞれに趣旨が違うので、細かい所で会計の決まりが実務で変わってきます。

次回は第2回「財務会計で分かること① 貸借対照表」ということで、決算書の話をしてみたいと思います。

大学の会計学入門に匹敵するような品質にできるようにがんばっていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
ご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

PREV
会計学入門ガイダンス
NEXT
貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)