損益計算書

知識ゼロからの会計学入門

知識ゼロからの会計学入門第3回、今回は「財務会計で分かること② 損益計算書」というテーマでお話をしてみたいと思います。

まず前回までの流れをおさらいします。

財務会計とは、外部の利害関係者に対して報告する会計行為であるということです。
企業の取引を集約した貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書という3種類の報告書をつくって、会社の外部の利害関係者に報告します。

利害関係者というのは会社に対して何らかのメリットを求めている人のこと、例えば債権者(仕入先、銀行、株主、株主以外の投資家、税務署など)のことですが、このような様々な利害関係者を英語で「ステークホルダー」ともいいます。

そして、3つの表のうち、前回は「貸借対照表」という、財産の一覧表についてお話をしました。

左半分が会社の持っている財産の一覧表で、これを「借方」といいます。
右半分はお金の調達方法を表していて、これを「貸方」といいます。

貸方と借方の左右対称表なので「貸借対照表」と呼ばれているというところまでお話をしました。

今回は貸借対照表の右下にある「利益」に注目します。
利益は500になっていますが、1年間で利益が500増えたと考えてください。

この利益がどのように増えたのか、そのプロセスをもう少し詳しく説明するために作られている表が今回お話しする「損益計算書」です。

これは、貸借対照表の右下に書かれている利益について、どのように増えた(減った)のかをさらに詳しく説明するための表です。

損益の「損」というは「損失」の意味で、「益」というのは「利益」という意味で、損失または利益の計算書ということで「損益計算書」といいます。

この表の左側は会社が受け取ったサービスということで「借方」です。
「売上原価」は会社が消費した商品の金額で、4,800あります。
「営業費用」というのは、営業活動でお金を払った分のことで、1,900あります。

詳しいことは「複式簿記」という簿記の原理でやりますが、左側は使った費用が表示されて、右側は現金が増えた原因を表示していると考えてください。

たとえばコンビニエンスストアを経営しているとして、おにぎりを渡したらお金がもらえますが、お金をもらうこととサービスを提供することは裏腹です。

売上が上がるということは、貸借対照表で現金などの財産が増えています。
財産が増える原因を「収益」といいます。

逆に、左側の「売上原価」というのは、売り上げた商品の原価です。

もともといくらで買ったかということです。

たとえば4,800円で買った商品を7,200円で売ったと考えてください。
損益計算書というのは、左側は「費用」といって、消費してなくなった分を表していて、右側は「収益」といって、財産が増えた原因を表しています。

売るための商品を4,800円払って買いましたが、これが売上原価で、その他に電気代やガス代や交際費や文房具代などの費用を1,900円払いましたがが、この消費が「営業費用」です。

これは営業活動でかかった費用です。
売上原価と営業費用の合計は6,700万円の支出があって、売上が7,200万円あると、差し引き500万円が「当期純利益」となります。

「当期」というのは「今年」という意味で、「純」というのは「差し引き」という意味です。
売上高から売上原価と営業費用を引いた差し引きの利益です。

この当期純利益500を含めて左側を全部足すと7,200になって、右側も7,200となります。
左の合計と右の合計は必ず合います。

左の合計7,200に右を合わせるためには、当期純利益という項目を埋め込む必要があります。
左の合計に合わせるために“無理矢理”「当期純利益」という項目を設けて500入れました。

売上によって7,200万財産が増えた一方で、売上原価という形で商品の仕入に4,800万お金を払い、営業活動の費用として1,900万払ったので、差し引き500万円が正味で増えています。

この増えた500万円が貸借対照表の右下の500に繋がります。
損益計算書というのは、左側に払ったお金、右側にお金を儲けた原因などが入ると思ってください。

そして、売上は「収益」と言って、売上原価や営業費用を「費用」と言います。
収益から費用を引いたものが「当期純利益」になります。
このあたりを大雑把でいいのでイメージしていただければいいかなと思います。

最後に、貸借対照表と損益計算書の関係を見ていきます。
貸借対照表の右側には現金1,000万、たな卸資産2,000万、土地3,000万で、資産の運用状態は6,000万あります。

これをどうやって調達したかというと、銀行からの借入で4,500万、資本金で1,000万、そして今年1年間の営業活動(商売)の結果、500万増えました(利益剰余金)。

増えたことに対して、どうやって利益が増えたのかということを補足説明するために損益計算書があると思ってください。

色々な説がありますが、この考え方が一番分かりやすいと思います。
財産の姿と利益の補足説明の関係を理解していただければいいなと思います。

次回は「財務会計で分かること③ キャッシュ・フロー」ということで、お金の流れについてみていきます。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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