日経新聞を読む時に使う、日商簿記1級・2級の会計知識

 
今回は簿記検定1級を中心とした会計知識を日経新聞を読む時に活かしていこうというお話です。
 
実際に簿記検定1級が日経新聞に馴染むのですが、簿記1級をメインとして簿記2級などの知識を使って日経新聞をある程度読むことができます。

どこに簿記検定の知識が出ているかというお話をします。
今日の日経新聞の1面には「メガバンク フィンテック加速」という見出しがあります。
 
フィンテックというのはファイナンスとテクノロジーを合わせた言葉で、金融サービスを低コストにするような金融と情報技術を使った新しい金融サービスの総称です。
 
これによって24時間送金や送金手数料を大幅にダウンさせるような画期的な技術が入っています。
 
こういったことに三井住友やみずほや三菱東京UFJなどが出資などの資本投資をしています。
仮想通貨に出資したり、金融業界を取り巻く状況が変わっています。
 
この中で、持株会社などという話もあったり、ベンチャーへの出資など色々なことが出てきます。
 
こういった出資関係というのは企業結合や、日商簿記検定1級でいくならば合併、株式を取得して子会社化、株式の交換など、企業を売ったり買ったりという事業再編のテクニックが頭に浮かびます。
 
また、東芝の話ですと、決算短信という決算発表情報で「事業継続に注記」という記事もあります。
 
よく言われるのが、継続企業の前提というのはゴーイングコンサーンです。
継続企業というのは日商簿記検定1級の会計学でやります。
 
継続企業の前提といって、企業がいったん成立したら続くという前提で会計行為を行うということで、会計公準という言葉もあります。
 
あとは注記事項という言葉もあって、これは日商簿記検定1級の理論の話です。
日商簿記検定1級の勉強をしているとこのあたりの話が出てきます。
 
あるいは、「インドの再生エネルギー最大手に出資」という記事がありますが、東京電力ホールディングスと中部電力は共同でインドの再生可能エネルギー最大手の企業に出資しますが、この時に全株式の10パーセントの取得をするそうです。
 
10パーセントというのは関連会社にもならないので、おそらくその他有価証券です。
最近は簿記2級にも入ってきていますが、その他有価証券は元々簿記1級の知識です。
 
これは有価証券の取得の目的による区分の話ですので、インド再生可能エネルギー最大手への出資はその他有価証券として出資するということになります。
 
中の方を見ると、13面に「キリン 資本提携断念」という記事があります。
キリンホールディングスの話ですが、ホールディングスというと持株会社というイメージがありますが、そうすると株式移転という簿記1級の知識が頭をかすめます。
 
コカ・コーラとの業務提携は、交渉はするけども資本提携を断念するということです。
実は交渉入りした当初、キリンが描いていたのは数パーセントずつの持ち合いをするということです。
 
持ち合い株というと思い出すのがその他有価証券で、元々は簿記1級の知識ですが最近は簿記2級でも入ってきています。
 
あとは、経営統合といって、提携すればお互いの経営資源(ヒト・モノ・カネ)を削減して100億円単位のコスト削減が期待できます。
コスト削減となった場合は、日商簿記検定1級の意思決定の問題になります。
 
業務的意思決定や構造的意思決定のような意思決定の問題になってきて、原価計算の話になります。
キャッシュフローにどう影響するのかという話ですので、簿記1級の話です。
 
経営戦略的な話ですが、やはり日経新聞が面白いのは、例えば「コカ・コーラにとって4位のキリンを組むことが2位のサントリー食品インターナショナルを引き離す原動力」とありますが、これはランチェスターなのです。
 
また、ハイネケンの話もあります。
キリンがハイネケンに770億円でブラジル事業を売却するという話もあります。
事業の売却は事業再編の話、あるいは子会社株式の売却の話です。
 
同じく13面で「楽天が200億円超の減損」とありますが、これは減損会計で日商簿記検定1級の典型論点です。
このように色々なところに日商簿記検定1級の知識が出てきます。
 
17面には投資情報がありますが、ミネベアが150億円を上限に自社株買いをするという記事も出ています。
自己株式は簿記1級の話です。
 
三井金属はチリの銅鉱山の減損損失という記事も出ています。
減損損失というのは本当によく出ます。
 
あとは為替予約の話です。
為替予約は元々簿記1級の論点で、今後は簿記2級でも為替予約が出ますが、本格的な為替予約は簿記1級です。
 
簿記1級の知識は投資情報に沢山入っています。
日経新聞を読む時には簿記検定1級あるいは2級の知識を持っておくと非常に役に立ちます。
 
もし簿記1級の勉強をやってみたいと思う方は、簿記検定の試験に合格するかどうかも大切ですが、合格する以前に簿記1級の勉強をしたことによって日経新聞に出るような上場企業の決算に関する会計用語を8割か9割ぐらいは網羅してしまいます。
 
時事問題を深く読むためにも参考になさって頂ければと思います。
簿記1級の勉強は本当に面白いです。
 
簿記2級も最近は簿記1級の内容を一部取り入れているので、基本的なところは簿記2級でも随分読めるようになっています。
 
ただ、やはり簿記1級の知識の方が深いので、会計に興味のある方は誰でもできます。
やる気さえあれば誰でも取り組めますから、頑張ってみてください。
 
私はいつもあなたの日商簿記検定1級の合格を心から応援しております。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

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