純資産と資本の違い

簿記2級を勉強していると抽象的で取っつきにくいイメージがある「純資産」というテーマについてお話したいと思います。
 
純資産というのは、簿記でバランスシートというのを学びますが、左側に資産があって右側に負債があるものです。

負債というのは将来にお金が減るという意味で「マイナスの資産」とも言えます。
従って、資産があっても将来的に借金や買掛金などの負債があると減らさなければいけませんので、今の財産から将来返済すべき借金などの負債を引いた差額を純資産と言います。
 
純資産というのは差し引きを意味する純額概念です。
純額の資産なので純資産と言います。
 
これは「資産-負債」であって、「純粋な資産」という意味ではありません。
「純粋」ではなく「純額」の資産という意味です。
 
その意味でいくならば、左側は「総資産」と言うべきです。
総資産から負債を引いて純資産と言うと分かりやすいのではないでしょうか。
 
一般的には総資産の「総」を省いて「資産」と言います。
資産から負債を引いた純額としての資産が純資産ですので、「純資産」に大した意味はないのです。
 
今の会計基準でそうなってしまいましたが、昔は資産と負債の差額の部分を「資本」と言ってもっと積極的な意味を持たせていましたが、今は積極的な意味が随分薄れています。
 
私は個人的にこれに不満で、「純資産」という言い方は嫌いなのです。
私は「資本」と言ってほしいのですが、「資本」と言った場合は資本以外の株式の評価差額や新株予約権といったものが出てくるので、「不純資産」と私は言っています。
 
資本に不純物が入っているので私は「不純資産」と勝手に言っています。
「不純資産」だけれども、意味は資産と負債の純額という意味で、差し引きの純資産です。
 
このように、意味は昔の「資本」に対して薄まっています。
純資産というのは、資産とその他の項目なのです。
 
資本にその他の純資産項目を足して純資産となりますので、純資産は資本よりも広い概念です。
 
では、資本とは何なのかというと、元々は資本が大事でありまして、株主が事業の準備資金として元本(資本金)を出して、その資本金を活用して経営者が経営努力をして、利益をどんどん増やして、資本金を増やします。
 
元本に対する上乗せ(果実)の部分が利益です。
元本と果実の合計が株主の取り分になります。
 
従って、本来の意味は、元本とそこから増やした利益、株主に帰属する本来の持分のことを資本と言います。
 
これがあるべき姿です。
そこに不純物が入ってしまったのです。
 
「会計基準のグローバルスタンダード」という名のもとに、色々なものが入ってしまいました。
 
これはもはや資本ではないのです。
資本に「不純物」が入ったものを純資産と言いますので、覚えておいてください。
 
私は「資本」が大好きな人間です。
なぜかというと、特に中小企業では元本をオーナーが預けて、それで一生懸命仕事をして利益を増やします。
 
元本(資本金)と果実(利益剰余金)の蓄積ことが尊いのです。
その他のものは、ある意味で不純物だと思っていいと思います。
 
これはあくまでも私の見解なので、この考え方が全てにおいて正しいと言うつもりはありませんが、個人的には「純資産」という言葉はあまり使いたくありません。
 
本来であれば「資産」「負債」「資本」と言いたいです。
なぜなら、株主に帰属する純粋な持分は資本だからです。
 
資本にその他の項目が加わって純資産と言うようになったのです。
しかし、今は純資産という言葉のほうが日本の会計ではメジャーなので、ぜひ覚えておいてください。
 
しかし、純資産と資本は必ずしもイコールではありません。
資本にその他の時価評価差額のようなものを足したり、色々なものを足したものが純資産だということを知っておいてください。
 
このように知っておくと、興味を持ってバランスシートを見ることができると思います。
何はともあれ、純資産という項目は今の会計基準では試験対策なども含めて非常に大事ですので、しっかりと抑えておきたいところです。
 
ぜひ参考になさってください。
私はいつもあなたの日商簿記検定2級、そして1級合格などを心から応援しております。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

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