例題と本試験の小さな違い(120回商簿より)

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「例題と本試験のちょっとした違い」というテーマでお話をしたいと思います。

なかには例題と大幅に違う問題もありますが、多くの、私が申し上げている、本試験のなかの基本問題というのは、例題と小さな違いしかありません。

一見難しそうに見せているだけで、難しそうな見せ方、こけおどしの仕方が試験の先生はうまいのです。
いろいろなトラップや雑音やダミーを仕掛けて、いかにも難しく見せていますが、よく見るとそれほど大したことのない問題があります。

今回は、第120回の商業簿記の社債に関する類題を用意して、それと柴山式のテキストの例題との違いを見ていきましょう。
本試験と全く同じものを出してしまうと著作権の問題があるので、少し表現や数字を変えて、本試験とほぼ同じレベルもの問題と例題の橋渡しについてお話します。

柴山式の商業簿記のテキスト294ページで、すべて問題もテキストも賄っていますが、このなかの102ページ目に社債の償却減価法の処理というのがあります。
このなかで利息法に関する例題40、社債取引に関する仕訳、ランクBというのがあります。
例題にプラス答えなど1ページ半ぐらいあります。
社債の償却原価法に関するポイントはたったこれだけです。
これができれば本試験の問題が解けるという話をします。

この例題の要点を抜き出してみました。
例題40、柴山式テキスト102ページ目。
細かいところを抜きにしてポイントを言います。

社債200,000の額面を100円あたり98円で発行しました。
196,000の発行価額で、利払いが半年に1回あります。
クーポン利率といって、額面に対する現金で払う利息が2.4パーセント、これは年間ですから半年で1.2パーセントです。

日商検定1級は半年の利率を使うことが多いです。

2.4パーセントの12分の6か月でもいいですし、半分の1.2パーセントでもどちらでも良いです。

発行価額196,000に関する実質的な利子率は1.55パーセントで、これが社債の割引率です。
1.55というのは半年で、年間は3.1です。
年が3.1ですが、半年に1回の利払いならば、半年で2分の1にします。
12分の6か月で1.55パーセントです。
これを踏まえてみていくと、仕訳例があります。
これができれば本試験は解けます。

120回の試験は難しそうに見えてできなかった人が多いですが、解けます。
発行時、借方現金196,000、貸方社債196,000、これは簡単です。
ほぼ2級レベルです。
利息の支払は額面200,000に対して1.2パーセントなので2,400円です。
借方社債利息2,400、貸方現金預金2,400です。
ここまでは2級レベルで何の問題もありません。

問題は償却原価です。
利息法のやり方なのですが、定額法は2級でやっています。
利払い日ごとに社債利息を正しく計上します。
正しい社債利息は実効利子率を使います。
196,000、この元本に対してなのですよ。

1級の勉強をされている方はわかっていると思いますが、元本に対する利息です。
196,000の直前の元本が196,000、これを運用したわけです。
それに対する実効利子率が1年で3.1パーセントですが、半年ごとの利払いなので1.55パーセント、つまり196,000に1.55パーセントをかけます。

負債の金額×1.55パーセント。

これは退職給付債務も同じ発想ですけれど、直前の元本、資産除去債務もそうです。
直前の負債に割引率をかけます。
196,000×0.0155で、全体の利払い日の利息が3,038になります。
これを何らかの形で計上します。

そのときに、第1段階で借方社債利息2,400を出しています。
貸方現金預金2,400、これも計上済みなので、残りは社債の将来の未払として、社債という名前で、将来償還期に割増して払うということです。
差額は満期のときに払う、未払の利息の一部なのです
なので、未払利息としてもいいのですが、社債という名前を使います。
追加で借方は社債利息638、将来の償還期に払う社債の一部という意味です。
だから、最初に196,000という中途半端な金額で計上して、最後に200,000になるように少しずつ成長させます。
差額なのです。
計算式は簡単です。

例題は、直前の元本に196,000×0.0155と計算して、利息の現金払いを引くというこのパターンを何度も覚えておきます。
これをAランクにしておけば本試験で解けます。

では、120回の類題を解いてみましょう。
問題文にダミーが仕込んであります。
これでみなさん結構パニックになってしまうので、パニックにならない練習です。

120回過去問の商簿の類題です。
資料1、表現は大事なところは同じにしてありますが、基本的には問題文は変えてあります。
「期首に社債額面60,000千円(約定利率年2パーセント)を56,670千円」これが発行価額とわかりますよね。

次が問題です。
「その差額を旧会計基準により」これはよくあることですが、経理担当者が不慣れなのです。
社債発行差金というのは昔のやり方で、知らない人も多いと思いますが、動揺した瞬間にアウトです。
出題者の罠にはまってしまいます。

気にしないでください。

旧会計基準は本来試験に出したらまずいところなので、これは完全なダミーです。

「旧会計基準により社債発行差金として処理していることが判明した。額面金額と発行価額の差額については償却原価法(利息法)」これは例題どおりです。
例題どおりではない部分は無視します。
だから、「わかったつもりで先に行く」と言っているのです。

「実効利子率4パーセント」、これは年に1回の利払いです。
あとは怖じ気づく必要はありません。
試算表を見ると社債発行差金と書いてあって、修正するのかと思って驚きますが、無視します。
これは、解答欄を見ると何のことはなく、社債の正しい金額を聞いているのと、社債利息を聞いているだけなので、一発で解けます。
だから、ダミーに怖じ気づかないというのが練習です。
やっていることは本質と同じですが、ダミーがたくさんあるのが例題との違いです。

196,000に相当するのは56,670です。
社債全体の金額は56,670×0.04=2267、これが答えです。
ここの配点はたぶん2点です。
社債利息でP/L項目の一部を答えさせます。

あとはB/Sの項目を答えさせますが、これも簡単です。
2,267と出ましたよね、本当は2266.8なのですが四捨五入して2,267です。
2,267から利息を引けばいいのです。
利息をいくら払っているかというと、60,000×0.02=1,200です。
2,267-1,200=1,067です。
1,067に56,670を足せば57,737と出ます。
ダミーさえ気にしなければ、この問題は3分で解けます。
むしろ、半年の利率ではない分、こちらのほうが簡単です。
ノイズが多いということがわかりますよね。

例題のように素直には出題されませんが、例題がわかった上でこのエッセンスがわかっていれば、例題と関係ないところは無視していいのです。
問題文をよく読んで基本的な論点を抽出しましょう。
これは慣れです。

例題ではここまでできないです。
旧会計基準のミスをしたというパターンまで勉強をしてはいけません。
これが「問題をやり過ぎる」ということです。
例題は、雑音を無視して、怖じ気づかずに、ポイントだけを抜き出す練習をすれば十分です。
そのための例題なのです。

制度試験なのだから、旧会計基準は本来やる必要がないのです。
会計学の考え方ならばともかく、計算を求めさせるのに旧会計基準をやらせるわけはないです。

修正仕訳をさせる問題ではないので、結論は、旧会計基準をなかったことにして、普通に例題どおり56,670に実効税率をかけて支払利息を引けば社債はすぐ出ます。
56,670に0.04をかければ社債利息は一発で出ます。
これで5分、10分かけてわからなくなってパニックになるというケースがあります。
何が関係ない情報かを読み取るための読解力をつけるための基礎知識としても例題は大事なのです。

惑わされないということです。

だから、「例題をAランクにしましょう」と言っているのです。
これでイメージが湧きましたよね?

知らないことは無視して、解ける問題はたくさんあります。
120回の商業簿記を検討してみましたが、積送売掛金など面倒な部分を除いても、頑張れば16点か17点は取れますが、パニックに陥って10点を切った人が多いと思います。
基本的な知識を身に付けて、例題レベルの知識で解けるところだけ解けば結構点は取れます。

惑わされないようにしてください。
一見難しそうな文言は本質的ではないことが多いです。
その中から本質だけを切り取って、例題レベルの計算に落とし込んで、できるところを解けば7割は得点できるチャンスがあります。
これが例題と本試験の違いです。

本試験はノイズ、トラップがたくさんありますので、それに引っ掛からないために例題をしっかりやりましょう。
本試験とはいっても特別なことはしません。
本試験の罠にはまらないために、例題をしっかりやるのです。
頑張ってください。

私はいつもあなたの1級合格を心から応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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