西武グループ、持ち株会社による再編を模索(日経2005.8.11*3)
8月10日(夕刊)1面と、8月11日(朝刊)3面は、西武グループの
経営再建に関する興味深いトピックが載せられています。
西武鉄道、コクド、プリンスホテルの3社合併という手段を断念し、
「コクド+プリンスホテル」と西武鉄道の上に持ち株会社を設立する、という
仕組みを発表しました。
ご存知のとおり、西武鉄道は、有価証券報告書という公表書類で虚偽記載を
行ったことから、上場廃止となっています。
従来、西武グループの主力銀行(みずほ)の意図としては、
西武グループの経営再建に際して、債務超過であるコクドとプリンスホテル、
そして今なお財務体質の健全な西武鉄道の3社の合併により、コクド向け
債権の格付けを上げ、貸倒引当金の積み増しを回避したい、という考えが
ある、とされています。
上記[1]の事例でいくと、甲さんと丙さんをひとつの家族にして、丙さん
向けの不良債権50万円を、優良債権の分類に変える、といった感じで
しょうか。
…かなり強引なたとえですみません。でも、的は得ていると思います。
71.3%
「コクド」→→→→→→→→「西武鉄道」←一般株主(コクド以外)
↓
「プリンスホテル」
●従来のプラン…上記3社を合併し、コクドの不良債権を、優良債権化。
●新プラン…コクドと西武鉄道を別個に存続させ、その上に連結グループ
の親会社として、持ち株会社を設立。
コクドという会社が、「西武鉄道+コクド」となれば、西武鉄道の財務
健全性と相殺されて、債務者としてのランクは上がるので、元の銀行とし
てはハッピーとなるはずでした。
しかし、西武鉄道の株を従来から持っている一般株主は、面白くありません。
なぜなら、コクドとひとつの会社になると、西武鉄道単独のときよりも、
当然、財務体質が悪くなり、企業価値が低くなるからです。
そのような、一般株主の利益を害する合併に反対する人たちの批判をかわす
目的もあって、合併による完全一体化の再編ではなく、持ち株会社による
連結支配関係という、間接的な手段で妥協した、という見方もできそうです。
結局、コクド自体も存続しますから、債権者である銀行も、コクド向けの
貸付債権の評価は、上記[1]の丙さんのように、厳しいものになるでしょう。
いずれにせよ、今回の再編案でも、企業編成の技術的な話が主で、
西武グループの収益改善に関するシナリオが見えないままなので、
先行き不透明感はぬぐえませんね。
不良債権(親会社)の債権者と、優良な子会社の一般株主の利害が対立
するという構図が、見て取れます。
貸倒引当金に対する理解、持ち株会社や合併に対する理解を深める上で、
好材料と思い、取り上げました。
