投資事業組合の売却益をライブドアに還流(2006.1.24*1)
投資事業組合の売却益をライブドアに還流(2006.1.24*1)
さて、注目のライブドアですが、特に先週の前半は、投資事業組合という、
会社とは違った開示義務のすきまともいえる閉鎖的組織を用いた
錬金術が、ずいぶんと取り上げられました。
当初問題とされた取引については、
(1)「VLMA2号投資事業組合」というファンド
を実質的にライブドアが支配している状態で、
(2)そこに
ライブドアマーケティング(LDM)の株を株式交換で流し込み、
(3)株価吊り上げのあと、株式市場で高値売却、
(4)売却益を含めた売却収入をライブドアに還元し、ライブドアは
利益計上していた、という流れが新聞では読み取れます。
・-----------・
ライブドアへ| |
・→→→| ライブドア |ライブドアグループ
∥ | |(投資事業組合が連結対象外)
∥ | |
∥ | ライブドア |
∥ | マーケティング |
∥ | (LDM) |
∥ ・-----------・
∥ ↓ ↑
∥ LDM社の↓ ↑マネーライフ社の株を取得・子会社化
∥ 株を交付 ↓ ↑
∥ ↓ ↑
∥ ・------・ マネーライフ社株
∥ |投資事業組合|←――――――――― マネーライフ
・=====| |―――――――――→ 社の株主
LMD社 ・------・ 現金を支払
の株を、
市場で高値売却後…
(注)上記の取引の概略は、新聞報道を基にした筆者の仮説ですので、
事実を保証するものではないことをご了承ください。
しかしまあ、よくもこんな仕組みを考え付いたものだ、と感心します。
その労力を、本業のサービス向上にもっと注ぎ込んでくれればねえ…
なんて思うのは、私だけでしょうか?
ここでのキーは、やはり投資事業組合が、外形上、
「ライブドアグループの外部者」として扱われた点ですね。
つまり、ライブドアマーケティングとしては、マネーライフ社を
買収するさいに、表面上は第三者である投資事業組合と株式交換
(自社株をマネーライフの株と交換して子会社化するM&Aの形態)した、
という点です。
そして、その後マネーライフ社の株式100分割発表などで株価が上昇し、
当初の事業組合による現金購入額に値上がり差額をのっけて売り抜け、
その資金をライブドアに渡していた、という流れのようです。
そして、大きな問題なのは、投資事業組合からライブドアに資金が
流れた時に、損益計算書の利益として計上された点ですね。
もしも、投資事業組合が実質的にライブドア傘下であるならば、
理論的には、次のような売却差額の処理・表示になると考えられます。
(ケース1)
投資事業組合をライブドアグループの一部と考えた処理(仮説)
ライブドアグループのバランスシート
――――――――――――――――――――――――――
(資産) |(負債)
|
現金預金 + A | 借入金など ×××
(売却差額相当) |
|・・・・・・・・・・・・・
|(資本)
| 資本金
| 資本剰余金 + A
| 利益剰余金
|
| 自己株式 0
損益計算書
――――――――――――――
売 上 高 ×××
: :
(何の影響もなし)
しかし、ライブドアグループと投資事業組合が別組織と考えると…
(ここでは、投資事業組合にライブドアが売上を計上したと仮定します)
(ケース2)
投資事業組合をライブドアグループに含めない処理(仮説)
ライブドアグループのバランスシート
――――――――――――――――――――――――――
(資産) |(負債)
|
現金預金 + A | 借入金など ×××
(売却差額相当) |
|・・・・・・・・・・・・・
|(資本)
| 資本金
| 資本剰余金
| 利益剰余金 + A
↑
損益計算書 ↑
―――――――――――――― ↑
売 上 高 A ↑
: : ↑
―――――― ↑
当期純利益 A →→→→→・
(業績が過大に!?)
このように、ある取引対象が連結決算の範囲に入るかどうか、という点で、
会計処理が大きく異なります。
実質を重視すると、投資事業組合がライブドア傘下であることが事実ならば、
上記ケース1が実態で、実際の処理であるケース2は、利益の過大計上と
いうことになりますね。
そのことが、大きな問題となっているわけです。
実は、「連結の範囲」というのは、非常に大事なチェックポイントです。
とりあえず、ここではさらりと触れてみましたが、
今後の監査上の重要論点として、また浮かび上がってくるでしょう。
ともあれ、自己株式の売却は「資本取引」であって、本来は
P/L(損益計算書)には影響しないんだ、ということを再度確認して
おきたいところですね。
