未払の従業員賞与を決算書に表示する(未払費用か賞与引当金か?)

賞与は、年に2回、6月と12月に支払われるのが通例ですね。

景気のいいときには、これにくわえて2月くらいに
決算賞与を各従業員に支払うことがあります。

このボーナス、一般には「現金預金で実際に支払ったとき」に、
費用計上するものですね。
しかし、仮に賞与の対象期間が決算つきをまたがる時には、
会計理論上の調整が必要となるのです。

この賞与の決算調整は、実は経理の立場では非常に大きな問題です。

1人あたり1回30万円と低めに見積もっても、10人で300万円、
100人で3000万円もの経費計上額ですから、それを翌期の
支払った月に費用とするか、当期に前倒しで費用とするか、は
業績表示の面で大きな印象の違いをもたらすのです。

だいたいにおいて、従業員100人ならば年商が20億円~50億円
くらいが想定されますが、20億円の売上なら税引き前の当期純利益を
3%として6千万円くらいですから、賞与の額3千万円くらいを未払い
として当期の3月決算で計上するか、当期は費用とせずに翌年度の6月
の支払時に経費とするか、で利益が3000万円変わってきます。

今回は、この未払いの経費についてお話します。

「未払費用」という会計項目があります。

この未払費用というのは、会計学の世界では、次のように定義されます。

「未払費用とは、一定の契約にしたがって、継続して役務の提供を
受ける場合に、すでに役務を提供を受けたが、決算日現在で未払いの額
のことである。」

さて、一瞬気が遠くなった方もいらっしゃるかもですね(笑)

いえ、たまには、ちょっと堅い話をしてみようかなと…

では、上記の定義を分解します。
決算書を理解するための中級レベルの知識としては、じつは
「ひじょーに」重要なので、初心者の方は、わかる範囲で結構です
から、がんばってついてきてください。

(もしも、ゼロから簿記の入門をやりたい!
 あるいはもう一度やり直したい!という方は、こちらがおすすめです)
→ http://bokikaikei.net/zaimu-chart.html

…では、賞与の場合に当てはめて、かみくだいてみます。

賞与という経費に関する
未払費用とは、

1.「一定の契約」にしたがって=「雇用契約」にしたがって
2・「継続して役務の提供」を受ける=「毎日、労働してもらう」場合に
3.「すでに提供された役務」に対し=「すでに経過した支給期間」に対し

4.「まだ支払っていない額」=「6月に支払う予定の未払い額」
となります。

いかがですか?

つまり、
従業員としての立場(雇用契約)にしたがって、会社に労働力を
提供している社員に対し、6月支給額(3月決算時点では未払い)
の支給対象期間(たとえば、1月から6月までのうち、3月までの
3ヶ月間に属する分)については、3月時点で未払いの費用(賞与)を、
バランスシートに載せましょうね、というお話です。

【図示】

         決算月       賞与支給月
 +――――――――+――――――――――+――――――→
(1月)     (3月)       (6月)
                 現金預金▲6000万円

 |        |          ↑(月当たり1000万円)
 |        |          | ×6ヶ月
 ・――――――――・――――――――――・
 |   ↑    |    ↑     |
   3か月分   |  3か月分
   3000万円 | 3000万円
   (当期の費用)|  (翌期の費用)

この未払費用は、会計理論上は、本来、必ず上げるべきです。
なぜなら、当期の業績を正しく計上するには、
3月までの働きに対して支払うべき賞与を未払いでも
計上しないと、利益が正しく計算できないからです。

これが極端な話になると、
3月に働いてもらった給料について、
支払日が3月かたまたま数日ずれて4月かの違いで、
3月に支払えば3月の費用、
4月に払えば3月に費用にならない、というのでは、
ちょっとおかしいですよね。

支払条件は、会計上の費用を考える場合、問題ではありません。
会社の消費行為(ここでは、従業員に働いてもらった
という事実)があったときに費用として認識するのです。

<バランスシートと損益計算書の関係> 経費の「現金払い」と「未払い」

(ケース1)費用を現金で支払ったとき。

       バランスシート         
 ―――――――――――――――――――
 現金預金▲3000|
 (資産▲)    |
          |
          |利  益▲3000←←・
          |           ↑
                      ↑
                      ↑
        損益計算書         ↑
   ――――――――――――――     ↑
                      ↑
       :              ↑
   販売費及び一般管理費         ↑
       ○○費   3000(▲)  ↑
       :              ↑
   ――――――――――――――     ↑
    利    益   3000(▲)→→・

(ケース2)費用を決算で未払費用として計上した場合。

       バランスシート         
 ―――――――――――――――――――
 現金預金   ±0|未払費用+3000 (負債+)
          |      ↑
          |      ↑   (資本▲)
          |利  益▲3000←←・
          |           ↑
                      ↑
                      ↑
        損益計算書         ↑
   ――――――――――――――     ↑
                      ↑
       :              ↑
   販売費及び一般管理費         ↑
       ○○費   3000(▲)  ↑
       :              ↑
   ――――――――――――――     ↑
    利    益   3000(▲)→→・

3月決算における、賞与の未払い計上は、まさに上記のケース2に
該当します。


賞与という費用を、決算で未払費用として計上した場合。

       バランスシート         
 ―――――――――――――――――――
 現金預金   ±0|未払費用+3000 (負債+)…6月に支払予定
          |      ↑
          |      ↑   (資本▲)
          |利  益▲3000←←・
          |           ↑
                      ↑
                      ↑
        損益計算書         ↑
   ――――――――――――――     ↑
                      ↑
       :              ↑
   販売費及び一般管理費         ↑
    賞    与   3000(▲)  ↑
       :              ↑
   ――――――――――――――     ↑
    利    益   3000(▲)→→・

いかがですか?こうすると、将来支払うべき費用の一部を、
当期の決算で前倒し計上することができます。
特に、昨今の好況を背景に、利益を合理的に小さくするために、
今まで未払いの賞与をキチンと上げていなかった会社は、
この機会に税理士さんや公認会計士さんと相談して、
未払費用のネタとして計上を検討してみてください。

※なお、このような通常の賞与は、税務上は損金に落ちません。
 いわゆる有税の処理になりますので、ご注意ください。

 また、ある種の決算賞与などは、実は一定の要件をもとに
 税務上も経費に落とせます。
 紙面の都合上、
 そのあたりの「節税にもなる賞与の未払い計上の方法」は、
 会員制CDセミナーの方の、ワンポイントでお話いたします。
 → http://bokikaikei.net/info-cd.html

 どうせ決算賞与を払うなら、節税に利用したいですものね。

ともあれ、せめてボーナスのうち10%くらいは、
なにか自己啓発のために投資してみてください。
「消費と投資のバランス」が、自己実現のコツです。

これからも、私自身が身銭を切って手に入れた情報を、
ご提供していきますので、よろしくお願いします!!

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