のれん

のれんとは、現行の会計基準では「営業権」と呼ばれているものです。

簡単に言うと、ある会社を買収した時に、土地や建物や設備など、目に見える
財産だけでなく、さらに見えないブランド価値とかノウハウなどを評価した
額のことです。

   「のれん(営業権)」=「ブランド、ノウハウなどの見えない財産」

会計理論的には、「超過収益力」などとも言います。

連結決算ならば、子会社の株を時価で購入した時に、その時価が、
子会社の株主資本のブックバリュー(帳簿価額)を超える部分になります。

ここは、実は凄く大事なはなしなのですが、非常に抽象的でとっつきにくい
方もいらっしゃるでしょう。

でも、最初は、細かいところは気にせずおおざっぱにイメージするように
心がけてみてください。

では、事例です。

(事例)A社は、クリーニング店を都内に展開するという事業戦略を
    とることにした。そこで、都内の個人営業で利益が出ている店舗
    を第一号店として買収し、
    自社の一事業としてスタートさせようと考えた。

    ターゲットとなる都内の個人クリーニング店(B店とする)の、
    バランスシート

           B店のバランスシート
      ―――――――――――――――――――
      現金預金  100|短期借入金 200
      有形固定資産300|その他負債  50
               |・・・・・・・・・
               |資 本 金 150
      ―――――――――|―――――――――
      総資産   400|負債・資本 400
            ===       ===

※有形固定資産とは、建物、土地、機械装置、車両、備品など、形がある
 設備資産であって、長期にわたり利用できるようなもののことです。

さて、A社としては、上記のバランスシートより、
名目上、B店の正味の財産(純資産、自己資本)は、150万円だと
いうことがわかっていますね。

ならば、B店の買収に必要な資金は、
「正味の財産に相当する150万円」、すなわち、

バランスシート(そのもととなる会計帳簿上の価値「ブックバリュー」)
記載の実物財産ベースの金額と考える人もいることでしょう。

しかし、です。
もしもあなたがB店を長年経営していた店主さんで、その店は、これまで
毎年何百万円もの利益を稼ぎ出しており、さらに優良な固定客がついて
いる、という状態だとしたら、ほんとうに実物財産の評価額=150万円
だけの金額でその優良店を手放すでしょうか。

いえ、そんなもったいないことはしないですよね。

「実物財産ベースの純資産150万円に、会計帳簿には明記されて
こなかったが長年の営業で培ったのれん代をたとえば120万円たして、
しめて270万円なら、お譲りしてもよござんしょ!」

ってな感じになるはずですよね。

そして、A社だって、270万円投資しても、その後のキャッシュフロー
が数年で投資分以上回収できるならば、そのM&Aに踏み切ることでしょう。

では、270万円でB店のM&Aが成立したとしたら、A社のバランスシート
はどのように変動するでしょうか。

           A社のバランスシート
      ―――――――――――――――――――
               |
       (A社の資産) |(A社の負債)
      現金預金 ▲270|(A社の資本)
       :     : |    :
               |
       (B社の資産) |(B社の負債)
      現金預金  100|短期借入金 200
      有形固定資産300|その他負債  50
      のれん   120|
      ―――――――――|―――――――――
      資産の変動+250|負債の変動+250
            ===       ===

以上のように、買収(M&A)の前には、B店のバランスシートに載って
いなかった「のれん(営業権)」が、買収というひとつの節目をもって
店全体の事業価値の再評価が行われ、時価ベースに引きなおした評価増の額
として、計上されたわけですね。

このように、M&Aに際して、買収対象を時価評価して買い取るんだ、
ということを、まずは知っておいてください。

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