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2008年07月 アーカイブ

2008年07月02日

東武ストアの純利益55%増は粗利率の改善が一因(日経2005.6.30*17)

東武ストアは、6月29日、2005年3-5月期の四半期業績を発表しまし
た。

それによると、前年同期比で、連結売上高は横ばいの197億円でしたが、
営業利益が11.0%も増加した4億3千7百万円となっています。
ちなみに、前年同期における営業利益は3億9千3百万円でした。

当期純利益に至っては、前年同期の1億9千万円を55%上回る2億9千4百
万円を記録しています。

東武ストアのホームページを拝見すると、経営成績(連結)の進捗状況に関する
定性的情報等において、高品質・高鮮度の食品の多彩な品揃えと共に、
値引ロス・廃棄ロス削減の改善が奏功したという印象を、受けました。

確かに、値引ロスは売上の減少要因、廃棄ロスは売上原価のかさ上げ要因と
なり得るものですから、これらのロスを低く抑えることにより、P/L上の
利益率を高めることは、充分に可能となりますよね。

このように、P/Lの各項目について、細かいところをチェックしていくと、
経営改善の効果が数字に現われたりするものなのです。

2008年07月04日

法人税・住民税・事業税に関する支出と、損益計算書の表示の関係

もともと今回は、カネボウ粉飾と元役員逮捕に関する話題をとりあげようと
思っていたのですが、ちょうど住民税に関する記事が出ていたので、めったに
税金の会計処理に関するお話をするチャンスがなかった折、いい機会だと思い、
こちらを取り上げることにしました。

さて、企業活動における税金には、どのようなものがあるでしょうか。

【類型1】所得(税務上の利益)に対して一定率で課されるタイプの税金

                        課税主体
                       ――――――
                       国  地 方
(例)●法人税                ◎  
   ●所得税                ◎
   ●住民税(都道府県民税、市町村民税)      ◎
   ●事業税                    ◎

【類型2】所得以外の一定の行為や文書などに課されるタイプの税金

                        課税主体
                       ――――――
                       国  地 方
(例)●消費税                ◎   ◎
   ●印紙税                ◎
   ●登録免許税              ◎
   ●固定資産税                  ◎
   ●不動産取得税                 ◎

参考までに、課税主体(納税者に対して、税を徴収する者)が国の場合は
国税、地方(都道府県・市町村)の場合は、地方税と呼ぶのですね。

なお、会計の世界では、「所得を課税の基準とする税金(法人税・住民税・
事業税)」か、「それ以外の基準で課される税金」かで、普段の帳簿処理と
財務諸表への表示が変わってきます。

簡単に考えましょう。

企業の利益計算は、大雑把に行くと、つぎのようになります。

<事例>
   ☆ある企業の、収益合計と費用合計の要約表(P/Lの概要)☆
   -----------------------------

   ■売上や利息・配当金などの収益    960億円
   
   ■仕入や経費・利息などの費用     816億円 ←ポイント

    ―――――――――――――――――――――

    企業活動の成果(=利益)       44億円

    =====================

ポイントは、
「その税金の性質から言って、営業活動上の経費といえるか、
 あるいは、利益計算結果に対して一定率をかけて計算するものか」
を判断することなのです。

たとえば、消費税。
これは、「資産の譲渡」すなわち、売上などの行為に対して本来かけられる
税金です。

次に、印紙税。
これは、契約書や領収書といった法律上の文書で、一定額以上の書類には、
印紙を購入して、その書類に貼付し、割り印をおすかたちでで納税します。
従いまして、「契約行為」、「代金回収行為」などの一環で発生するので、
経費として考えられますね。

そして、登録免許税は、不動産や会社に関する登記申請のときに、
    固定資産税は、不動産を保有している場合に、
    不動産取得税は、不動産を取得した場合に、
それぞれ支払う税金ですから、やはり営業活動の一環で生じる経費と
考えられます。

上記のような、【類型2】のタイプの税金支出は、「費用」として、
「販売費および一般管理費」などの区分に表示されます。
簿記上の勘定科目は、「租税公課」といいます。
実務的には、「公租公課」という科目名を使っている場合もあります。

下記の「3」の表示区分ですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※参考までに、消費税につき、大企業では、「税抜き方式」という経理処理
 をすることが多いですが、この場合は、消費税の支払額はまったくP/L
 には反映されません。
 この論点は、日商簿記2級レベルの話です。
 わかりずらければ、ここでは無視して、先に進みましょう。
 いずれ、機会を見て、消費税の処理については、解説するように考えて
 みます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<表示例>
                損益計算書   (単位:億円)  
      ―――――――――――――――――――――――――  
      1売  上  高             960   
      2売 上 原 価             660(-) 
 税金→→ 3販売費及び一般管理費          180(-) 
 費用              ――――――――――――――  
          営 業 利 益          120   
      4営 業 外 収 益              30   
      5営 業 外 費 用              54(-) 
                 ――――――――――――――  
          経 常 利 益           96   
      6特 別 利 益              10   
      7特 別 損 失              62(-) 
                 ――――――――――――――  
         税引前当期純利益           44   
 利 益 に→→  法人税、住民税及び事業税       20(-) 
 課税する            ――――――――――――――  
 タ イ プ     当 期 純 利 益           24
          前期繰越利益(※去年までの利益) 136(+) 
                 ――――――――――――――  
          当期未処分利益(※処分可能な利益) 160 
                 ==============

そして、【類型1】の利益に対して課税するタイプの税金は、収益と
費用の差引計算が終わった後の最後、税引き前当期純利益の次で控除
されるのです。

したがいまして、日経新聞などで、
「当期のZ社の営業利益はA億円、経常利益はB億円、最終利益(当期純利益)
 はC億円」
と表現された場合、営業利益のA億円と経常利益のB億円の計算過程で、
【類型2】に相当する租税公課は、控除されていることがわかります。

そして、【類型1】の法人税等は、営業利益・経常利益にはまったく関係なく、
最終利益の計算の直前で、やっと控除される、という扱いになるわけですね。

…このように、支払われる税金の類型によって、P/L上の表示場所が全然
違ってくることも、知っておかれるとよろしいでしょう。

2008年07月06日

業績への影響が大きい「固定資産に関する損失」と、P/L表示の関係

会社の資産は、バランスシートの左側に表示されるのでしたね。

           バランスシート(B/S)
     ――――――――――――――――――――――――
     ( 資 産 )     |( 負 債 )
                 |( 資 本 )

       ↑
     1カ ネ(現金預金)
     2モ ノ(棚卸資産、固定資産…)
     3ケンリ(売掛金、短期貸付金…)
     4カブ等(株式、社債、デリバティブ…)

このように、バランスシートの左側には、お金、現物財産、売掛金(売上代金
の未回収額;つまり「ツケ」)などの権利、株式などがたて一列に並べて記載
されます。
右側には、借金である負債と株主へ帰属する資本が書かれかれます。

      (左側)  バランスシート  (右側)
      ―――――――――――――――――――
       (資産の部)  | (負債の部)
       現金預金    | 買掛金
       売掛金     | 短期借入金
       未収金     | 賞与引当金    ←注目!
       短期貸付金   | 退職給付引当金  ←注目!
       立替金     |・・・・・・・・・
       有価証券    | (資本の部)
       棚卸資産    | 資本金
       固定資産    | 当期未処分利益
               |   :

ここで、今回は、上記の左側の下に書いてある「固定資産」を売却したとき
の決算書表示について、学習したいと思います。

固定資産とは、「企業が一年を超える長期にわたって使用する資産」のこと
です。
具体的には、
 ○建物 ○付属設備 ○構築物 ○機械装置 ○車両運搬具 ○備品
 ○土地
などがあります。
ここで、付属設備とは、建物にくっついている給排水設備とか、電気設備
などの設備類です。また、構築物とは、土地に付着するアスファルトや塀
などです。

ちなみに、不動産鑑定士の鑑定評価の対象になるのは、通常、建物とか
構築物とか土地などですね。

こういった設備とか土地などの売却は、企業の本来の営業活動とは異なる
取引ですよね。
一年のうち、そうめったに生じるわけでもないです。
      ↓
      ↓
「固定資産の売却は、商品の売上げとはちがって、臨時的で特殊な取引である」

そして、この設備の売却は、通常、固定資産が古くなったための除却とか、
事業再編にともなう設備の刷新にともなう処分として行われたりするので、
それなりに多くの費用や損失がでることが多いです。

この特殊な費用・損失を、従業員の給料や光熱費や交際費などの営業コストに
含めるのは、やはり性質が異なる以上、無理がありますよね。

そこで、下記の業績の計算書(損益計算書といいます)の表示上、営業コスト
としてではなく、「7特別損失62」の中に含められて表示されるのです。

<業績の表示例と、固定資産処分損(売却損・減損損失など)の表示場所>

                損益計算書   (単位:億円)  
      ―――――――――――――――――――――――――  
      1売  上  高             960   
      2売 上 原 価             660(-) 
 営 業→ 3販売費及び一般管理費          180(-) 
 コスト              ――――――――――――――  
          営 業 利 益          120   
      4営 業 外 収 益              30   
      5営 業 外 費 用              54(-) 
                 ――――――――――――――  
          経 常 利 益           96   
      6特 別 利 益              10   
固定資産→ 7特 別 損 失              62(-) 
処分損              ――――――――――――――  
         税引前当期純利益           44   
         法人税、住民税及び事業税       20(-) 
                 ――――――――――――――  
          当 期 純 利 益           24
          前期繰越利益(※去年までの利益) 136(+) 
                 ――――――――――――――  
          当期未処分利益(※処分可能な利益) 160 
                 ==============

このように、売上高という、業績上最も大事な項目を最上段に書き、
その下には、重要な順に費用やその他のもうけを少しずつ区切って表示
していくのが、現代の業績表示の方法です。
  
なお、今年の4月から上場企業等で全面適用となった新会計基準
「固定資産の減損会計」は、企業の持つ固定資産の将来の収益性が減少する
場合に、その減少分を特別損失として費用計上し、資産価値を切り下げる
処理です。去年くらいから、日経新聞でも、よくこの会計用語が取り上げら
れています。
今話題の減損会計は、損益計算書(P/L)の特別損失という区分に関連
しますので、この機会に覚えておいてくださいね!

2008年07月08日

プロトの9月中間計上益、29%上方修正

9月10日の日経新聞第12面で、固定資産に関連する費用・損失の話題が
2つ、掲載されていました。

損益計算書との表示の関係を勉強する上で好材料と思い、とりあげました。

まず、自動車情報誌のプロトコーポレーションは、9日のニュースリリースで、
平成17年9月期(平成18年3月期の中間決算)における業績予想を上方
修正しました。

(業績修正の状況 表示:億円未満四捨五入)
         前回予想    修正後予想   増  減

  中間売上高  97.1     97.4   +0.4

  経常利益    5.9     11.2   +5.3

  中間純利益  ▲3.7    ▲ 0.1   +3.6

まず、今回の業績修正で、売上高の予想はほぼ変化がなかったのに比べ、
経常利益(特別利益・特別損失を控除する前のノーマルな利益)は、
なんと5.3億円も予想値が上昇しています。

その理由としては、ニュースリリースでは「外注コスト見直し等による売上高
原価率提言効果に加え、広告宣伝戦略の一部見直し等により、当初計画を大き
く上回る見込みとなっております。」とのことでした。

そして、経常利益11.2億円に対して、税引き後の中間純利益が▲0.1億
円と、その落差が11億円以上ありますね。
この間に出てくるコストには、特別損失と法人税等の税金コストがあります。
なお、当社では、賃貸不動産に対して固定資産の減損会計を適用することから、
6億円弱の特別損失を予定しているそうなので、11億円の落差の半分は、
減損会計などによる特別損失が原因である、といえそうです。

次に、固定資産売却に伴い、特別損失が発生するケースです。
上記のプロトコーポレーションの記事のすぐ下に、中堅ソフト開発の
インフォメーション・ディベロップメント社が、業績の下方修正をした、との
記事が載っていました。(H17.9月の中間決算)

(インフォメーション・ディベロップメント 業績修正のプロセス) 億円

         前回予想    修正後予想   増  減

  中間売上高  57.9     62.2   +4.3

  経常利益    1.8      3.4   +1.6

  中間純利益   0.9      0.6   ▲0.3

ここで面白いのが、経常利益は前回予想よりも1.6億円増えていますが、
中間純利益が逆に0.3億円(3千万円)減少していることです。

これは、「都内の独身寮2ヵ所を売却するのに伴い二億三千万円の特別損失が
発生する。」(日経記事)ことに起因しているようです。

このように、固定資産の減損・処分による損失は、特別損失といって、
経常利益から純利益を計算する過程で、控除されるのだ、ということを
知っておいていただけるとよいでしょう。

2008年07月10日

資源価格の上昇と、影響を受ける決算書の表示科目

世界的に、原油価格が高騰している、という状況は、ご存知だと思います。

この状況は、2001年を過ぎたあたりから恒常化してきたのですが、
歴史を紐解きますと、1971年と1973年に2度、石油価格の上昇によるパニック
がありました。
いわゆる「石油ショック」です。

このときは、中東の輸出国による輸出中止や戦争による供給減が原因であり、
供給側の数量不足がきっかけとなっています。

しかし、今回の原油高騰は、ちょっと事情が違うようです。

産油国の輸出引き締めも、軍需による供給減も目立ったところはありません。
むしろ、近年、経済的に台頭してきた中国やインド、米国の好景気といった、
需要の逼迫に大きな原因があるとの見方が一般的です。

なお、モノの値段が上がるのは、自然現象として、
       需要側(買いたい人) > 供給側(売りたい人)
というように、需要側の方が大勢を占めているときです。

したがって、今後も継続的に需要側が活発ならば、継続的に物価が上がり続け
る可能性も十分にありますね。

ところで、原油価格の上昇は、企業の決算書のどこに影響するか、
こたえられるでしょうか?

答えは、
「売上原価・販売費及び一般管理費といったP/L」に及ぼす影響、
「製品在庫・原材料の在庫・設備の評価額といったB/S」に及ぼす影響など、
多岐にわたる、です。

具体的には、原油を材料として化学製品を作るメーカーなどは、
バランスシートの製品中に含まれる材料費が上昇するため、製品原価を
増加させます。もちろん、原材料の備蓄にも影響がありますね。
              貸借対照表
      ――――――――――――――――――――
      (流動資産)     |
        :       |
       製 品      |
       仕掛品      |
       原材料      |
        :       |
     (固定資産)     |
        :       |
       車両運搬具    |
       備   品    |
        :       |

上記のバランスシート(貸借対照表)を見ると、
流動資産(資金化が近い資産)の中に、
製品・仕掛品(未完成の製品)・原材料とあります。

これからは、原油価格の高騰とともに、膨張しうる資産項目です。
ほうっておけば、在庫金額を月次の売上原価で割った
「棚卸資産の回転月数」という指標が大きくなり、過剰在庫を
示すことになりますね。
※適正な在庫の回転月数は、業種にもよりますが、一般に
 1ヵ月~2ヵ月あたりが平均でしょう。それ以上だと、
 過剰在庫である可能性があります。

つぎに、固定資産(設備など、すぐには全部が資金化されない資産)では、
原油から精製されるナフサを原料とした樹脂が材料の一部として使われる
自動車・家電製品などが高くなる可能性を秘めています。
ただし、日経新聞のリポートを見る限り、現状ではまだそこまでの
価格転嫁はないようですが…
なお、家電製品で多額のものを購入すれば、やはり固定資産(備品)として
会計処理されることになります。

ここで、インフレなどの影響で怖いのは、将来、再投資するときに、
今以上に設備がどーんと値上りしていることなのですね。
再投資のときに、いまより値上りしていると、同レベルの設備投資を
阻害する要因ともなります。

また、損益計算書の面でいきますと、「売上原価」と「販売費及び一般管理費」
への影響が大きいですね。

               損益計算書
           ――――――――――――――
           1売  上  高    A
           2売 上 原 価    B
                      ―――
             売上総利益     X  ←(A-B)
           3販売費及び一般管理費 C
                      ―――
             営業利益      Y  ←(X-C)
                       :

原油価格の値上げが、販売価格に転嫁できなければ、
売上高のAは変わりませんが、製品に原油を原料とする化学薬品が含まれて
いれば、材料費という原価要素が異常に高額となりますので、当然、
Bの売上原価が大きくなります。
これにより、売上総利益(粗利)が圧迫されます。

企業の要(かなめ)は、粗利をいかに確保するか、にあります。
※参考「中小企業・決算書の基礎知識」
 → http://bokikaikei.net/tyusyo-dvd.html

原油を原材料にしているメーカーは、粗利にダメージを受ける可能性がありま
す。

次に、これはすべての業種に共通することですが、
輸送コストが上昇しますね。

最近では、ガソリンの値上げがすごいです。
これは、損益計算書の上では、販売費及び一般管理費を構成する「旅費交通費」
に跳ね返ってきます。

ちなみに、近年の原油の値上げ幅はすさまじく、
年間10%はザラです。

ここで、もしも年間10%ずつ、ガソリンが3年間連続で値上りしたと仮定し
てください。

インフレの怖いところは、複利計算であることです。

たとえば、現在のガソリンが100円だとして、
100円×1.1×1.1×1.1=100円×1.331=133.1円
です。

自動車10台を使って年間に10000リットルのガソリンを
消費するとしたら、

 100円×10000リットル=100万円が、
 133.1円×10000リットル=133.1万円にもなります。

4年後なら、1.331×1.1=1.4641倍と、ほぼ50%の
コスト上昇になります。

同じ使用量でも、毎年10%ずつの物価上昇で、100万円の旅費が
146万円以上にもコストアップすることになるのです。

ちなみに、粗利(売上総利益)に対する販売費一般管理費の割合は、
75%程度が平均ですから、もしもすべての財の値段が一斉に10%ずつ
3年間上がり続けたら、どうでしょう。

 営業利益を100とし、販売費及び一般管理費を75とすると、
 100-75×1.331=100-99.825≒0
です。

 知らないうちに、物価上昇は、粗利を食い尽くしていくのです。
…こわいですね。

インフレは、度を越えると、企業の粗利から順に各費用・利益を直撃し、
収益を生む力を奪い取っていきます。

数年の長期的な観点で、管理・分析するのが望ましいでしょう。

2008年07月12日

原油高の影響と価格転嫁が、業界でバラツキ(日経2005.9.24*12

 9月24日の日経12面・13面は、非常に怖い記事です。
会計的な視点はもとより、今後の経済を占う上でも、絶対に外せない
情報ですね。

やはり、全体を通して3回は読み込んでおきたいところです。
12面の原油相場の上昇グラフは、驚異的です。

ニューヨークで、2001年の終わりが1バレルあたり20ドル弱で
あったのが、2005年9月20日には66ドルと、3倍以上の
伸びです。

このコスト高は、下流に行けば行くほど、最終消費者に近づき、
値上げしにくい構造となっています。
したがって、原油精製の上流にある石油開発会社などは、売価の
はね上がりから好業績となります。

価格転嫁の様子を表す図としては、日経記事13面(9月24日)が、
非常に貴重です。

石油関連製品は、原価計算の分野では「連産品」と呼ばれ、
もとの共通製品から、その製造過程でさまざまな製品が生み出されます。

それらの製品が、その後、どの用途に至るかで、業界ごとに、価格転嫁
の影響が大きく異なります。

たとえば、下流の最終需要に対して、一番価格転嫁できずに業者が苦労
している業界としては、食品容器・包装材を用いる日用品・飲料、
樹脂を用いる自動車・家電、軽油などの製品があります。

その一方で、ガソリンは、1リッターあたり130円台にまで価格
が上昇するなど、大きな影響を最終消費者が受けていますね。
あと、重油を用いた電力も、同日の記事の図からすると、価格転嫁が
すすんでいると見ることができます。
もちろん、航空運賃なども、ジェット燃料の高騰が、影を落とすことに
なるかもしれないですね。

最近、日本経済はデフレに慣れているので、インフレに対する感度が
鈍くなっているように思います。

インフレは、さまざまな局面で、営業コストや商品原価に忍び寄って
きますので、単年度ベースではなく、複利計算を前提とした中長期ベースで、
収支を計画されると良いかと思います。

2008年07月14日

為替相場の変動と損益計算書の表示

外貨換算会計については、昨年も取り上げたことがあり、
そのときの読者様からもご感想のメールをいただいたりして、
非常に好感触でした。

あれから、ものすごく読者数が増えたこともあり、はじめての
方も多いと思いますので、
今回は、久しぶりに為替換算についての会計的なお話をいたします。

まず、外貨建てで表示されている取引のことを、「外貨建て取引」と
いいます。

この外貨建て取引、高度に国際化された昨今では、未公開企業の規模
でも、非常に活発に行われるようになりました。

取引の証拠資料となる原始証憑(げんししょうひょう;帳票類のこと)
が、外貨で表記されているケースもままありますね。

ところで、この外貨取引、会計記録を行ううえで、どんな影響が
でてくるのでしょうか。
入門的なことを、まずは一緒に考えてみましょう。

(事例1)A社は、輸出業を営んでいる。
     8月中の掛け売上高は500

2008年07月16日

日本電産が、中間業績を上方修正(日経2005.10.22*12)

モーターや電子・光学部品などを製造・販売する日本電産は、
10月24日に2006年3月期/中間業績修正の発表を行いました。
それによると、従来予想されていた連結業績が、下記のとおり
上方へと訂正されたのでした。

         前回発表の予想   今回の修正予想

 売上高      2450億円    2560億円

 営業利益      250       250

 税引き前利益    250       300

 当期純利益     150       200

上記を見ると、売上高が増収、営業利益は同水準となっています。
営業利益段階では前回発表の予想と変わりませんが、
税引き前利益で50億円が増加しています。

この50億円の大部分が、どうやら円安の影響による為替差益
のようです。

このような好業績の結果、期末の配当も積み増しが予想される、
と10月22日の日経新聞は報じています。

輸出企業にとって、円安は営業外収益(為替差益)が発生する
要因となりますが、輸入企業にとっては、逆に営業外費用(為替差損)
が発生する要因となりますね。

企業の立場が違えば、同じ経済現象でも、反対の影響を業績に
与える場面もある、ということです。

2008年07月18日

経営戦略と営業利益の関係(範囲の経済性と営業コストの削減)

今回は、先週の土曜日にご案内した「大手ガス3社の業績修正」に関する
トピックに関連して、ちょっとめずらしく「経営戦略」と「会計知識」に
関する、濃いめのお話をしましょう。

大学の専門課程やゼミの題材にもなりそうな、興味深い話ですよ。

まず、ここで取り上げたい戦略のテーマですが、
わかりやすく、簡単にいきます。

専門用語なら、「事業のドメイン」を決める、ということなのですが、
こんな横文字並べられても、人によっては「なんのこっちゃ!?」です
よね。

ぶっちゃけ、
「あなたの会社は、どの分野で生きていきますか?」というお話です。

たとえば、私、しばやまならば、
本業が公認会計士ですから、
「会計に関連するビジネス」です。

もう少し絞り込みますと、
●税務・会計事務所として、「記帳代行」、「税務代理」、「税務相談」
●財務系のコンサルタントとして、「コンサルティング顧問」
●日本トップレベルの部数のメルマガを配信する「メルマガ事業」
●会計系の教育カリキュラムを提供する「会計教育事業」
●専門学校やセミナーで講義をする「講演業」
●会計系の資格図書・ビジネス書を執筆する「作家業」

とまあ、こんな感じです。

…え?
分野の数が多くて、絞り込んだっていう印象がないですか??

…すみません。
気がついたら、これだけやっていることに気付きました。
欲張りなんでしょうか(笑)

実は、このほかに、インターネットを使った集客ノウハウを利用するべく
別の製品販売業者さんと提携していますので、
もう一つ、これから本格参入する事業領域があるのですが、
それはおいおい、ということで…

このように見ていくと、
柴山の活きる道は、
「会計という一つの学問領域」から発展した、
「会計実務・会計教育」関連事業なのですね。

これが、私のドメイン設定です。

そして、柴山会計が目指すテーマは、
 「会計は、エンターティメントだ!」です。

「……」

「……」

え?引きました!?

でも、めげません。

そもそも会計を学問だと言って、
しゃっちょこばって構えるから、つまらなくなるんです。

会計の勉強を「義務」とか「修行」にすると、
長続きしません。

そう、「エンタメ」であるとか、「ゲーム」であるとか、
「趣味」のように、気楽に入っていった方が、長続きします。

それが、柴山会計のミッションです。
だから、「会計はエンタメ」「会計劇場」

そんな風に、日本の学生さんや社会人の方たちにとって、
敷居が低くなるよう、日ごろから、工夫していたんですね。

…と、話がながくなってしまいました。


つまりは、「商売人としての自分の居場所を決める」ことです。
これは、非常に重要です。

事業領域を決めるときに、私は絶対「粗利分析」と
「営業利益分析」を十分に行うべきだと思っていますが、

たとえば、1990年ごろの経済情勢では、「これでよし!」
と十分な営業利益が見込めると思って決めた領域が、
15年経った2005年の今でも、「このままでオッケー!」
みたいなことって、意外に少ないんですよ。

1990年ごろといえば、たとえば携帯電話は、
まったく庶民には手が出ない代物でした。

でも、いまではへたをすれば小学生でも持っている…

また、1990年ごろといえば、パソコンはMS-DOS,
つまり、あの真っ黒画面でした。

でも、いまはウィンドウズにマウス…
今時、MS=DOSの画面で仕事をしている会社を見つけること
は、奇跡に近いです。

このように、ビジネス環境・生活環境が数年で激変するような
現代において、ひとつの「事業領域」ないし「製品」を、
なんらの改善も加えないまま「既存のシステム」で供給し続ける
ことは、極めてリスキーです。

はい。ポイントです。

「事業領域」
「製品」
「システム(提供方法)」
のどれも、ずうっと同じでは、やがて淘汰されます。

少しずつですが、それぞれのファクターを、
見直してみて、小さな改善を加えていきたいところです。

そのときに役に立つのが、「利益率分析」

やはり第一は「粗利」です。
粗利は、「売上高-売上原価」

次に、「営業利益」です。
営業利益は、「粗利-営業コスト」

柴山会計なら、
税務顧問事業での粗利と営業利益、
メルマガ事業での粗利と営業利益、のような
感じで、事業別(セグメント別)に営業利益の額や対売上比を
比べて、今後、どの分野に人・物・金・情報を重点投資するか、
について考察するのです。

つまり、
「セグメント別の営業利益-粗利益分析」が、
ドメイン戦略と財務会計を結びつけるキモなのですね。

だから、自社の「粗利」の、時系列分析と他社比較分析は、
しっかりと行ってください。

あと、粗利と人件費・減価償却費・設備費(家賃含む)の
占有率の比較分析も、超重要です。

そのドメインに弱体化の兆しがてきめんに出るのが、粗利-営業利益の
ラインの崩れですから。

さらに、地域密着型の経営をしている場合は、その地域の人口動態
を予測することは、死活問題です。
たとえば、大阪圏は、ある調べによると、10年後、50年後、
他の地域に比べて大幅の減少予測がなされています。

そのあたりを踏まえて、「企業経営のガソリンである粗利を確保」
するための事業領域を、ぜひ、経営者の視点から、定めていきましょう。

2008年07月20日

大阪ガスの目指す非エネルギー戦略考(2005.11.1)

 さて、今回、大阪ガスを取り上げたのは、ホームページでも取り上げました
とおり( http://bokikaikei.net/info-cd.html )、
大手ガス3社のうち、唯一業績アップの予測がなされている、という
だけでなく、その生存領域におけるシビアな将来予測が、中期経営計画に
如実に現われており、非常にビジネススキルアップに役立つと思えたから
なのです。

(資料)平成18年3月期の業績予測 
  会社名  売上高予想(年間)  経常利益予想(年間) 
  東京ガス  前期比5%アップ   前期比25%ダウン
        (1兆2480億円)     (990億円)
  東邦ガス  前期比5%アップ   前期比16%ダウン
         (3550億円)     (200億円)
  大阪ガス  前期比3%アップ   前期比3%アップ
        (1兆0050億円)     (1000億円)

この理由として、日経新聞の記事によりますと、
「東京ガスと東邦ガスは、値引きした」
「大阪ガスは値引きせず、M&A戦略をとりいれ、収益源が増えた」
というポイントが指摘されています。

で、これ自体は、そのとおりです。
そして、業績予想の各社の実態面にも、反映しており、
説得力があります。

…と、ここまでは、一般的な分析の域です。

たいていの会計の専門家もこの水準まで現状を把握しておけば、
まずまず、という感じでしょうか。

でも、これで終わらないのが柴山君です(笑)。

もう一歩、深読みしましょう。

実は、ここからが財務分析の本当に面白いところでして、
「ある財務比率←値下げせず、M&Aで多様な収益源の確保」
までで終わっては、標準レベル

「ある財務比率←値下げせず、M&Aで多様な収益源の確保←なぜ?」
                            ―――
                             ↑
                             ↑
                            ここ、
                            ポイントです
なぜ、多様な収益源の確保が必要なのか、
なぜ、ねさげしないのか。

そこを推理するのが、本当の財務分析の醍醐味です。

たとえば、M&Aによる事業多角化を目指す背景は、
大阪ガスのホームページを見ないと分かりません。

だから、
「本気で財務分析しようと思ったら、
 その会社のサイト、めっちゃチェックせんかい!」
…ということになります。

すると、
「大阪ガスは、将来も天然ガスを中核とするエネルギー会社であり、引き続き、
都市ガス事業が収益の中心であります。一方で、近畿圏の経済成長率の鈍化、
人口の減少トレンド、競合他社との競争を考えると、エリア内都市ガス事業
のみを事業の中核とすることは将来の継続的な成長発展の可能性を狭めて
しまうリスクがあります。
 今後とも大阪ガスが持続的な成長を実現するためには、都市ガス事業の
競争力を引き続き強化していくとともに、電力事業の本格展開やエネルギー
事業の広域展開など、新たに中核となる事業を強化してマルチエネルギー
事業者へと発展していくことと、アドバンテージある非エネルギービジネス
を拡大していくことが急務と考えております。
…以下略(大阪ガスホームページ Design 2008より引用)」

私は、この中でも、人口の減少トレンド、競合他社(おそらく、電気・石油
などの周辺エネルギー分野も視野に入っているのでは?)との競争、
という観点から見ても、「マルチエネルギー事業者」としての
生存決定をしているように思えました。

既存のモデルから脱却しようとする強い意志を感じます。
力強いですね。

だから、M&Aにしても、実は、北海の石油・ガス開発事業への進出
によりエネルギー供給源を新たに確保したり、米国IPP(卸発電事業)
を買収してマルチエネルギー化を進めたり、上流への垂直的統合や
周辺事業への範囲の経済性追求に余念がありません。

そのために2005年に入ってから、2度にわたり社債を発行し、
400億円の資金を調達しています。
かなり本気なのでしょう。

これが2年後、3年後、どのような結果をもたらすか、
大いに興味が沸きませんか?

そのときの指針は、「粗利は増えたか?」「営業利益は増えたか?」です。

会計数値を上手に使えば、その会社の経営戦略の後日の姿が、
非常に分かりやすいですよね。

なお、12月15日号の会員制CDでは、本稿に関連して、
M&Aないし、事業多角化に関連するコスト面の効果などの話を、
もう少し「会計+戦略論」とのからみから、興味深く解説していきます。

請うご期待!

2008年07月22日

人件費とP/L、B/S表示

今回は、久しぶりに人件費ネタです。

去年の上半期は、結構人員削減の企業発表が多かったんです。
それが、今年の決算期に入ってからの利益増に貢献したことは、
多くの場合、間違いないと思います。

ところで、会計上、人件費は決算書のどの部分に関係すると思いますか?

・メーカー(製造業)の場合と
・商業(小売・卸売・サービス)の場合で、分けてみてもいいです。

・メーカー
(1)売上原価⇔棚卸資産(売れ残りに集計される人件費)
(2)販売費
(3)一般管理費
(4)特別損失

・商業
(1)販売費
(2)一般管理費
(3)特別損失

以上です。

まず、メーカーと商業に共通の項目から行きましょう。

販売費とは、企業の販売活動で生じる費用のことです。
したがって、販売活動で発生する人件費は、すべてここに
収容されます。

例としては、営業所の職員の給料、外務員の報酬、社会保険料、
福利厚生費、賞与、退職給付費用、諸手当です。

次に、一般管理費とは、企業を全般的に管理する部署で
生じる費用のことです。
企業を全般的に管理する部署は、全般管理機能ともいいますが、
この機能を負う組織図上の名称は、「役員会」とか「本社」
とか「本店」などです。
つまり、一般管理費となる人件費は、基本として、役員報酬、
本社で勤務する社員の給料、社会保険料、福利厚生費、賞与、
退職給付費用、諸手当です。

 人件費            損益計算書   (単位:億円)  
 ―――  ―――――――――――――――――――――――――  
      1売  上  高             960   
  ○ → 2売 上 原 価             660(-) 
  ○ → 3販売費及び一般管理費          180(-) 
                 ――――――――――――――  
          営 業 利 益          120   
      4営 業 外 収 益              30   
      5営 業 外 費 用              54(-) 
                 ――――――――――――――  
          経 常 利 益           96   
      6特 別 利 益              10   
  ○ → 7特 別 損 失              62(-) 
                 ――――――――――――――  
         税引前当期純利益           44   
        

特別損失と人件費、というのはあまりなじみがないですが、
だいたいここで人件費が含まれるときは、
人員整理とか人員削減などの事業構造改革が行われて
います。

早期退職者を募集するときに、割増退職金がかかりますね。
その割増退職金相当とか、特別手当とか、関連事務コスト
などは、特別損失に入る可能性が高いです。
金額が小さければ、営業外費用とか販売費・一般管理費などに
紛れ込むこともありますけどね。

なお、製造業では、工場で製品製造のためにかかった人件費は、
材料費や他の経費とともに、製品原価に集計されます。
したがいまして、たとえば今月の工場での人件費が90万円
かかったとして、それで3台の製品を作り、2台は販売、1台
は在庫の場合、単純に計算すれば、
人件費の3分の2の60万円は「売上原価」としてP/Lに、
人件費の3分の1の30万円は「棚卸資産」としてB/Sに
表示されます。
 
      貸借対照表            損益計算書
 ―――――――――――――――   ――――――――――――
 現  金▲90|          
 棚卸資産 30|          売 上 原 価  ▲60
        |                     :
        |                   ―――
        |利  益▲60←← 利     益  ▲60 
                            ===


以上ですが、人件費の支出は、財務諸表のさまざまな表示場所に
含まれるんだ、ということを理解していただけるとよろしいでしょう。


■簿記の原理を理解すると、さらにB/S・P/Lの関係もクリアーに
 なります。
→ http://bokikaikei.net/zaimu-chart.html


 

2008年07月24日

富士重工業が初めての人員削減700人(2005.11.7)

富士重工業が、希望退職者を700人募集し、事業構造の変革に
着手する、との発表を行いました。
7日に日経新聞が記事を掲載した翌日、富士重工業が
「企業構造スリム化の取り組みについて」という表題で、プレス
リリースをしています。

その会社発表によると、2007年3月期までの5ヵ年中期経営計画
「Fuji Dynamic Rovolution-1」を掲げ、総合原価低減の推進、
商品企画の機能強化、販売体制の改革、資産効率の向上、組織・体制の
改革に取り組んでおり、その成果をより確実にするための、今回の
人員削減とのことです。

より具体的には、本体は45歳以上を対象に700人希望退職を
募り、関連会社への50歳以上ないし長期出向者300人を出向先へ
転籍させる計画、とのことです。

日経新聞の記事では、700人の希望退職で、50億規模のコスト
削減効果が見込まれています。
単純に割り算すると、一人当たり50億円÷700人≒714万円/年
の人件費圧縮ということですね。

富士重工業の従業員一人当たり平均給与と平均年齢は
6,202,463円、38.3才(平成17年3月31日)ですから、
差額の100万円弱は、45才以上の方の平均給与との差なのか、
あるいは関連する福利厚生費などの費用かもしれません。

ちなみに、上場企業の従業員一人当たり平均給与と、
従業員の平均年齢・平均勤続年数って、わかるんですよ。
どこに書いてあるか、といえば、「有価証券報告書」(有報)という
証取法で義務付けられている決算報告書類です。

その中の、「第一部 企業情報 第1 企業の概況」という
章立ての中に、「従業員の状況」という、すばらしい情報が
載っています。

公開情報ですから、各社のホームページでも有報は見れますし、
金融庁が行政サービスの一環として提供している電子開示システム
「EDINET」からなら、全上場企業の有報がみれます。
http://info.edinet.go.jp/EdiHtml/main.htm

こんなに使える「無料情報」、知らなきゃソンソン、ですよね。

2008年07月26日

投資有価証券の含み損益について

有価証券といえば、株式と債券が代表例ですね。
(そのほか、あまり知られていないものとしては、
コマーシャルペーパーという、手形の形式をした金融商品も有価証券に
含まれます。)

譲渡性のある証券類であることなどが、有価証券の大きな特徴です。

なお、有価証券は、それを取引する市場があれば、時価が市場で
形成されますよね。
いわゆる、「市場性ある有価証券」というやつです。

上場企業の発行する株式などはこれです。
もちろん、市場性のない未公開株もあります。
未公開株などは、公正な時価がつかないので、決算期においても
原則として取得原価(購入時の支出額)で評価し、バランスシートに
記載されます。

           バランスシート
     ―――――――――――――――――――
              |
     投資有価証券 ××|
              |
            ↑
  未公開株などは、原則として原価ベースで金額が記載されます。

なお、時価のある有価証券で、時価の変動による利益を獲得する
目的で所有しているものを「売買目的有価証券」といい、バランス
シート上は流動資産という区分(B/Sの左上のあたり)に
含めて表示され、時価で評価されます。

           バランスシート
     ―――――――――――――――――――
     (流動資産)   |
     有価証券   ××|未処分利益 ××
          (時価)|   (含み損益だけ増減)
              |       ↑
                      ↑
                    P/Lの当期純利益も
                    有価証券評価損益の額だけ
                    増減し、未処分利益に影響


なお、短期売買目的でもない、支配目的(子会社化)でもないような、
所有目的が明確でないけど所有しているような有価証券は、
「その他の有価証券」などとも呼ばれ、バランスシート上は
固定資産(すぐに資金化される予定はない資産の区分)に含めて、
投資有価証券という名称で表示されます。
(株式持合い、取引安定化のための取引相手の株式取得など)

そして、上場株であって、なおかつ
「短期売買目的」でもない、「支配目的」でもないような株式は、

時価があるのですから、いちおう決算日現在の時価で評価して
おきます(時価法)。

やっぱり、投資家としては、その投資有価証券が、決算日現在で
売却・換金されたらどれくらいの金額になるか、という時価に関する
情報に興味がありますからね。

○まとめ

 売買目的有価証券…時価評価

 投資有価証券(非上場)…原価評価

 投資有価証券(上 場)…時価評価
            (ただし、評価損益はP/Lを通さない)

           バランスシート
     ―――――――――――――――――――
              |
       :      |未処分利益
     (固定資産)   |  :
     投資有価証券 ××|有価証券   ××
          (時価)|評価差額金   ↑
              |        ↑
                    資本の部で直接増加
                    (P/Lの利益は無関係)


(事例1)A社(上場企業)の株式を取引関係安定のために50万円で
     取得した。

           バランスシート
     ―――――――――――――――――――
     現金預金  △50|
       :      |未処分利益 ××
              |  :
     投資有価証券 50|有価証券   0
          (原価)|評価差額金   


(事例2)A社(上場企業)の株式時価が、決算日現在、72万円に
     上昇した。

           バランスシート
     ―――――――――――――――――――
     現金預金  △50|
       :      |未処分利益 ××
              |  :
     投資有価証券 72|有価証券  12(←含み益相当)
          (時価)|評価差額金   

(事例3)A社(上場企業)の株式時価が、次の年の決算日現在、
     47万円に下落した。

           バランスシート
     ―――――――――――――――――――
     現金預金  △50|
       :      |未処分利益 ××
              |  :
     投資有価証券 47|有価証券  △3(←含み損相当)
          (時価)|評価差額金  

…いかがですか?

上記の事例2(含み益の場合)、および事例3(含み損の場合)の
ように、投資有価証券の時価と原価の差額は、「有価証券評価差額金」
のような名称を用いて、これまで表示してきたのです。
上記は、スペースが狭いので簡略化しましたが、実務上は、
「その他有価証券評価差額金」のように、長い科目名だったりします。

なお、上記のような投資有価証券が、著しく下落(おおむね50%以下
への異常な下落)をしたような場合で、回復する見込みがある以外の
ケースでは、評価損を損益計算書の「特別損失」という異常な損失を
表示する区分で処理することもありますが、これは応用論点として、
会員制CDセミナーでプラスワン解説することにいたします。

以上、投資有価証券の含み損益に関するお話でした。

(♪~コーヒーブレイク~♪)

♪財務会計に関する、初心者向けの体系CD(5枚)講座です♪
■やさしい現代会計の入門講座は、体系立てて入門知識をマスター
 → http://bokikaikei.net/gendaikaikei-shopmaker.html

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 → http://bokikaikei.net/zaimu-chart.html

2008年07月28日

フジテレビ、ライブドア株含み損300億円(2006.2.10*17)

2月10日の日経記事を見ますと、17面で民放キー局5社のうち
3社が、第3四半期で増益を記録した、と報じられています。

経常利益(本業の儲け+金融収支など)が、フジテレビで前年同期比
7%増、テレビ朝日が前年同期比31%増、テレビ東京が前年同期比
6%増となっています。

純利益は、日テレを除く4社(フジ、TBS、朝日、東京)が
増益です。

2006年3月期の業績見込みも、フジ、朝日、東京の3社が
現状では増益予測をしています。

ただし、昨年5月にM&Aがらみでライブドア株を12.74%も
取得したフジテレビは、1株あたり329円、総額440億円の原価
に対し、13日で1株あたり61円となってしまったため、
この時点で約358億円の含み損という爆弾を抱えることになって
しまいました。

これは著しい下落ですから、この調子で3月まで行けば、
ほぼ間違いなく特別損失処理(減損処理といいます)の対象に
なるのではないでしょうか。

つまり、フジテレビの当期純利益に、マイナス300億円以上の
影響を与える可能性を秘めていると言うわけです。

ちなみに、第3四半期の業績概況では、2006年3月期の
連結経常利益予想が495億円ですから、せっかく稼いだ利益
の6割以上がライブドア株関連の損失処理で吹き飛ぶ危険性も
あるのですから、投資先の企業の財政状態悪化は、恐ろしいです。

本業以外の要因で業績の足を引っ張られると言うのは、
つらいところですよね。

※なお、ライブドアを題材とした、過年度の決算分析を試みた
 レポートは、こちらです。
→ http://bokikaikei.net/casestudy2006-1-24.html

2008年07月30日

借入金と支払利息の決算書表示場所

借入金は、金融機関や取引先などの第三者から金銭消費貸借契約
などにより資金を借り入れた額で、バランスシートの負債として
表示されます。

           バランスシート
    ―――――――――――――――――――――
    (資産)      |(負債)
              |流動負債
              |   :
              | 短期借入金 ××(要返済額)
              |   
              |
              |固定負債
              |   :
              | 長期借入金 ××(要返済額)
              |
              |
              |(資本)
              | 資 本 金
              |   :

上記のように、バランスシートの右側に、流動負債ないし固定負債
として債務額(要返済額)で表示します。

流動負債とは、近いうちに支払期限が来る負債のことです。
固定負債とは、支払期限が長期期間こないような負債のことです。

借入金の場合は、決算日の翌日から一年以内に返済期限が来るものを
流動負債、一年を超えて返済期限が来るものを固定負債とします。

借入金の額が大きいと、業績が悪化した時に、
返済負担と利払いの負担がダブルで会社を悩ませます。

借入金は、業績がよければアクセルに、
     業績が悪ければブレーキになるので、
その残高管理には注意が必要ですね。

なお、意外に経営者の方、特に中小企業の社長さんなどは
うっかり勘違いしてしまうのですが、
借入金の支払は、経費になりません。

下記のように、バランスシートの左右で同額が減少する
だけで、損益計算書の費用には、まったく計上できないので、
注意しましょう。

           バランスシート
    ―――――――――――――――――――――
    (資産)      |(負債)
    現金預金 △100 |流動負債
              |   :
              | 短期借入金△100
              |   
 

            損益計算書
       ――――――――――――――
         :
       当期純利益    (影響なし)

「…ウソ!?そんなのみんなわかってるはずだよ!」

と思っている方も多いでしょうが、
上記のような認識違いの持つ意味の背景を、あなどることは
できません。

「金を払ってなんで経費にならんのだ?」

その素朴な疑問に、
「中学生でも理解できるように」
答えられるでしょうか?

「中学生にわかりやすく説明できるか?」

けっこうむずかしいですよね。
さあ!頭のトレーニングです(笑)。

ヒントは、支出には3パターンある、ということです。

1 経費としての支出
2 他の資産の購入としての支出
3 借金の返済としての支出

なお、借り入れを起こすと、毎年、何パーセントかの
金利を支払います。
その金利の支払は、下記のように、損益計算書の
「営業外費用」という区分に表示されます。

           バランスシート
    ―――――――――――――――――――――
    (資産)      |(負債)
    現金預金   △30|固定負債
              |   :
              | 長期借入金1000
              |   
 

            損益計算書
       ――――――――――――――
         :
       営業外費用
        支払利息       30(-)

         :         :
                  ―――
       当期純利益      △30
                  ===

※営業外費用を控除したあとの利益を、経常利益といいます。
 この経常利益の説明については、下記の新ページをご覧ください。
→ http://bokikaikei.net/keijorieki.html

上記の例で行けば、1000万円の長期借り入れを従来から
おこなっており、1年間で30万円の利息を支払った、
ということがわかります。

ということは、損益計算書上の支払利息30万円を
長期借入金1000万円で割って、年利3%が推定できますね。

このように、バランスシートの借入金と損益計算書の支払利息は
密接な関係があるんだ、ということを知っておきましょう。

なお、会計の基礎知識を体系的に学習されたい方は、
入門向けの「やさしい現代会計の入門講座」
(CD5枚組み。約5時間)がおすすめです。
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