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2008年08月 アーカイブ

2008年08月01日

量的緩和解除で金利負担増?短期借入への影響(2006.3.10*17)

3月10日の日経1面では、日銀による量的緩和解除の3月実施
についての記事がでていました。
これにより、すぐに金利が上がる、というわけではないですが、
2001年以来つづいていた緊急措置のような
「デフレ対策としての量的金融緩和政策」を解除して
もとの平時の金融政策スタンスにもどそう、
という意図がみられ、今後の動向が注目されます。

なお、企業財務的には、
この量的緩和解除は、将来のゼロ金利脱却→金利上昇
シナリオを予感させるわけでありまして、
現時点における借入残高が大きい企業にとっては、
十分に注意が必要な状況となりました。

特に、短期借り入れは、すぐに返済期限が到来し、
その後、また運転資金の調達のために
新規借り入れをするときなど、タイミング的に
ちょうど金利上昇の影響を受ける危険も高い、
ということで、注目を浴びつつあります。

そこで、日経3月10日の17面には、有利子負債500億円以上で
連結有利子負債に占める短期借入金の比率が高い企業の
ランキングを表にしています。(2005/9月)
なかなか興味深いです。

           短期借入比率  有利子負債
 
 1 三井住友建設   98%     1047億円
 2 ロイヤルHD   96       973
 3 カメイ      92       616
 4 ユアサ商事    85       720
 5 戸田建設     84       600
     :       :        :

まだ、今日明日という緊急さではないでしょうが、
短期借り入れから長期借り入れへのシフト、
変動金利から固定金利へのシフトが多くなるのかもしれません。

以上、短期借り入れに関するおもしろいトピックを
ご紹介いたしました。

2008年08月03日

営業利益の意味

決算書は、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つが
基本ですね。

これらは、「決算三表」とも呼ばれています。

今回は、上記決算三表の中でも、損益計算書に関する基礎知識です。

損益計算書は、売上高を一番上に記載し、そこから下の費用項目を
引いたり、売上高以外の収益(儲け)を足したりして、だんだんと
下に向かって利益を計算していく表です。

<損益計算書の記載例>

          損益計算書  (単位:億円)
     ―――――――――――――――――――
     売  上  高      100
     売 上 原 価       64(-)
                  ―――
       売上総利益       36 ←(粗利、付加価値)
     販売費および一般管理費   30(-) 
                  ―――
        営業利益        6 ←(本業の成果)
          :         :
上記の記載例で、一番上の「売上高」は、もちろん顧客に
引き渡した商品の「販売高」ですね(100億円)。

つぎに、顧客に引き渡した商品の仕入値段、つまり仕入原価が
記載されます(64億円)。

「売上」げた商品の「(仕入)原価」という意味で、
「売上原価」と呼ばれています。

売上高から売上原価を引くと、その商品の粗利が出ます。
これを、「売上総利益」といいます。
まあ、その商品の原価に付加された価値、ということもできます。

…ここまではよろしいでしょうか。

つぎに、商品の粗利から、従業員の給料とか、広告宣伝費とか、
交際費とか、水道光熱費などの、いわゆる「必要経費」をさしひくと、
「営業利益」という、本業に関する活動から得られる成果
としての利益が計算できます。

※ちなみに、営業活動に必要な経費のことを、「販売費及び一般管理費」
 といいます。ご参考まで。

上記の例では、商品の仕入原価に付加された粗利36億円から、
必要経費である30億円をさらに控除し、6億円という営業利益が
求められましたね。

なお、営業利益の額6億円を売上高100億円で割ると、その割合は
6%となります。

これを、売上高営業利益率といい、会社の本業における収益力を
もっともストレートに表示する、非常に重要な財務分析指標と
なります。

しっかりと、計算の仕方を覚えておきましょう。

ご参考までに、平均的な企業の営業利益は、だいたい4~5%くらい
ですね。
いつも2%以下だと、業種の特殊性を抜きに考えれば、
やや危ない兆候です。
反対に、8%を超えたら、なかなか優秀な会社です。
会社の判断材料として、ご活用ください。
このように、営業利益というのは、その会社の本業における
実力をはっきりと映し出すので、入門の人でも非常にわかりやすい
便利な財務指標です。

ぜひぜひ、ご興味のある会社の営業利益をチェックしてみてください!

2008年08月05日

電機大手が、業績底入れ感を強める(2006.4.29*9)

4月29日の日9面を見ますと、
電機大手の連結業績(グループ全体の業績)が、一覧表として
掲示されています。

2007年3月期の予想利益の
一部を引用させていただきますと、次のとおりです。

・日立製作所  550億円(前期比47%増)
・松下電器  1900億円(前期比23%増)
・ソニー   1300億円(前期比 5%増)
・東芝     900億円(前期比15%増)
・富士通    800億円(前期比17%増)
・三菱電機  1050億円(前期比10%増)
・シャープ  1000億円(前期比13%増)
   :     :

こうしてみると、最終利益(税金等の負担額を引いた最終的な利益)
のベースでも、1000億円を超す会社が4社もある、というのは、
非常にオドロキです。

プラズマの松下、液晶のシャープなど、主力として強力な製品を持つ
企業は、引き続き絶好調!という感じですね。

やはり、「わが社はこれが売り!!」というのを
ひとつでも持っていると強い。
営業利益では、東芝の55%増益、金額にすると2406億円という
のが、目を引きます。

一方、売上高では、日立がトップの9兆7千億円!
国家予算レベルのすごさですね~。

ソニーは、液晶テレビの改善傾向が今後も続く、との大根田CFO
の発言にも見られるように、非常に勢いに乗ってきています。
(同日の日経新聞、13面より)

ただ、その一方で、中堅のパイオニアや日本ビクターなどは、
赤字が拡大し、企業間での格差も鮮明になってきたようです。

今後、好調な大手電機メーカーの設備投資ラッシュは、なお
意気軒昂の様相を呈しているため、ますます今後は、
強い企業と苦戦している企業の差が広がっていくかもしれません。

今後の各社の動向に注意したいところですね。

2008年08月07日

配当を払う側の会計表示、もらう側の会計表示

5月1日に施行された会社法では、利益の配当は、
「剰余金(じょうよきん)の分配」と呼ばれています。
いずれにせよ、「企業が営業活動で稼いだ利益のストックや自己株式
の売却で得た余剰金などを、株主に還元する(返還する)」という
ことです。

「お金を運用させてくれて、ありがとう!」というお礼ですね。
この剰余金の分配は、これからは、年二回に限定されること無く、
3回でも4回でも実施できます。

とくに上場企業の配当政策が、これからどのように変わっていくか、
興味のあるところです。

ところで、配当金を企業から株主へ支払われた時、その処理は、
決算書のどこに現われるのでしょうか。

「配当を払う側」と、「配当をもらう側」に分けて、見ていきましょう。

1.配当を払う側(単位:万円)

      バランスシート             損益計算書
 ―――――――――――――――――――   ――――――――――
 現金預金 △100|               影響なし
          |
          |                ――――――
          |利益剰余金△100       
          |                ======

このように、配当を支払う側では、バランスシートの左側(借方)で
現金がマイナスされ、同時に、バランスシートの右側(貸方)で
利益剰余金という項目が、直接、同額だけマイナスされます。
上記は、100万円の配当を支払った、というケースですね。

損益計算書にはまったく記載がされず、業績には影響しないという点に
ご注意ください。
つまり、配当金の支払いは、「損益確定後の利益の事後的な分配」
であり、「業績計算上、売上獲得に貢献する必要経費ではない」という
見解に立っています。

たしかに、損益計算上の費用は、広告費にしても、従業員の給料に
しても、売上を上げるなどの企業の日常活動に貢献するコストです。

この点、配当というのは、株主に払うものであり、利益の計算要素と
いうよりは、利益計算後の事後処理項目としての性質を持っている、
というわけなのです。

2.配当をもらう側の処理(単位:円)

      バランスシート             損益計算書
 ―――――――――――――――――――   ――――――――――
 現金預金 +100|              :
          |            営業外収益 +100
          |              :
          |                ――――――
          |利益剰余金+100 ←←当期純利益 +100
          |                ======

このように、配当金をもらう側では、株式投資(財務活動)の成果として
配当をもらったと考え、損益計算書上は、「営業外収益」という区分で
表示されます。

もらう側では、配当の受取額を業績の計算過程に組み込む、
というところが面白いですね。

2008年08月09日

NTTの大幅増配と、みずほの500円増配。(2006.5.3*1)

ゴールデンウィーク中の5月3日・1面の日経記事に、
配当に関する話題が2つ出ていました(関連記事が3面にも)。

2006年3月期も、引き続き企業業績が好調であることを
示す象徴的な話題ですね。

まずは、NTTです。
2007年3月期の年間配当を8000円~9000円と
前期(6千円)より3割から5割の増加をする可能性が高い、
とのことです。

これまでは、NTTの株主利益還元策としては、
自社株買いによる方法が多かったのですが、
その背景には、政府が保有していた株式の放出による
需給バランス悪化を緩和する狙いもありました。

しかしながら、ここにきて政府保有株の売却が一段落し、
株主への利益還元として配当を強化するという方針への
転換が見て取れます。

なお、5月9日現在の
NTTの配当利回り(1株あたり配当/株価)は、
(6000円/532000円)×100≒1.12…%でした。

これが、もしも9000円の配当になれば、
配当利回りは(9000円/532000円)×100≒1.69…%に
上昇しますね。

配当利回り1.5%以上は、今時、なかなかの魅力です。

つぎに、みずほフィナンシャルグループが、2006年3月期の
年間配当を4000円とし、従来計画より500円増配する、との
方針が明らかにされました。

本業の回復により、連結最終利益が過去最高を記録したようで、
その結果、株主への利益還元を強化することになりそうです。
連続の増配です。

なお、みずほの株価は、上記の新聞記事を好感したのか、
前日比3.06%アップの101万円の取引値となりました。

そういえば、NTTも前日比で4.31%も株価を上昇させ、
532000円としましたね。

増配の報道は、株価上昇の有力な材料といえます。

2008年08月11日

売上高の本当の意味、きちんと説明できるようになりましょう。

売上高は、損益計算書の一番上に表示される、
最も重要な情報のひとつです。

              損益計算書   (億円)
      ――――――――――――――――――――

      1 売  上  高       1000

      2 売 上 原 価        600
                      ――――
             売上総利益     400

      3 販売費及び一般管理費     330
                      ――――
              営業利益      70
               :        :

ここで、上記の売上高1000億円とは何か?について、
説明することができるでしょうか。

「え?売上高は、売上高でしょ?」
はい。
そうですね。

なんとなく、「売上」という言葉の日常的なぼんやりとした
感じで、分った気にさせられてしまいます。

では、もうちょっと突っ込んだ質問をします。
「売上に関する活動って、どこからどこまでをいうのでしょうか。」

「…」
さあ!困ってきましたよ!

でも、このような足元を突いたような基本的な質問に、
案外答えられない、というのが普通でしょう。

逆に、答えられたら、ある意味たいしたものです。
ビジネスってものをよく分っている証拠です。

では、これから、あなたにも、「ビシーッ」と説明
できるようになっていただきましょう。

まず、「売上に関する活動」ですが、
次のようにご理解いただけるとよろしいでしょう。

「売上に関する活動とは、商品の問合せから代金の決済までを
含んだ、一連の業務の流れである。」

これですよ、これ!
では、一般的な例を図にしますね。

売上に関する活動(販売活動)の流れ
 1 問合せ(既存客ならば、省略もあり。)
    ↓
 2 受注(注文・契約)
    ↓
 3 製品の用意(生産、または仕入)
    ↓
 4 出荷(引渡し)
    ↓
 5 検収(先方の受取確認)
    ↓
 6 請求書の発行
    ↓
 7 入金
 
…いかがです?

ざっと見ただけでも、7つものステップがあるのですね~。
そして、極端な話、上記の1「問合せ」から7「入金」までの
時間差(タイムラグ)は、へたすると数ヶ月や半年にも及び
ます。

ひとくちに売上活動といっても、これだけの幅があるんですよ。

だから、会計ルールとしても、ある程度はきちんとした指針を
決めておかないと、各企業の都合で、適当に売上を計上されてしまい、
単純に企業間で財務諸表を比較できなくなってしまいます。

もちろん、利益の計算や税金の計算をする上でも、大きな支障と
なります。
そこで、こうかんがえます。

「いったい、どの段階が、「売上が確実になった!」と
社会通念上、言えるだろうか。。。」

あなたなら、どの段階だと思いますか?
まあ、単純に考えれば、
「どの段階で、「商品代金の受け取りがほぼ確実」といえるか」
という問題です。

結論を申しますと、
「商品の引渡し時」には、
売り手も買い手も「商品を引き渡したのだから、売買成立だよね!」
と納得するし、売上代金も確実になったといえるだろう、という
解釈が一般です。

 1 問合せ
    ↓
 2 受注(注文・契約)
    ↓
 3 製品の用意(生産、または仕入)
    ↓
 4 出荷(引渡し)        ←←←☆この段階(=実現!)
    ↓
 5 検収(先方の受取確認)
    ↓
 6 請求書の発行
    ↓
 7 入金
 
このように、売上活動の各プロセスで、「売上が実現した!」と
誰もが認められる段階の手続をもって、売上高を計上しましょう、
という考え方を、「実現主義の原則」といいます。

そして、実現した、といえるもっとも決定的な段階は、
引渡しの事実があったときですね、と一般に考えます。

細かい用語の説明はよいとしまして(会員制CDの更新特典DVD
では、この点について説明いたします!更新された方はお楽しみに!)、
ともあれ、「売上の計上日=原則として実現した日(実現主義)」と
いうことを、覚えておいて下さい。

そして、その根拠は、「計算の確実性・客観性」です。

実際、出荷の事実は、出庫表や納品書の出荷日の記載などで、
比較的容易に立証ができますので、やはり信頼性は高いです。

これが、たとえば契約書を交わした受注日で売上を上げたら
どうでしょう。

あとで変更や順延されるリスクも高いですし、注文取り消し、
なんていうこともしばしばです。

だから、原則として、通常の商品販売では、受注段階で
売上を上げないのが普通です。

ここで、ITのシステム開発などを考えてみてください。
あれって、商品が現物としてあります?
ないですよね。

だから、ものの動きがわからないので、
売上の操作をしやすいんです。
だって、「プログラムの納品」なんて、
素人がどうやって目で確認するのか、っていったら、
実際無理です。

やおやさんが「大根を引き渡した日(売上)」はわかりやすい
ですが、IT業者が「システム・プログラムを引き渡した日」
というのは、目で見て分りにくいです。

しかも、プログラムの一部だけ稼動できるようなタイプの
分割納品だったら?

「…ああ、頭がおかしくなりそう!」

そうなんです。
だから、売上計上のルールは、会社の経理規定で
しっかりと明示し、それを遵守するような内部管理の体制を、
構築しなければならないのですね!
今流行の言葉で、「内部統制(ないぶとうせい)」とうやつです。

では、ここで冒頭の質問に戻りましょう。

              損益計算書   (億円)
      ――――――――――――――――――――

      1 売  上  高       1000

      2 売 上 原 価        600
                      ――――
             売上総利益     400

      3 販売費及び一般管理費     330
                      ――――
              営業利益      70
               :        :

(問)ここで、上記の売上高1000億円とは何か?について、
   説明することができるでしょうか。

はい。もう大丈夫ですね。

(答)上記の売上高1000億円は、一般に、商品の出荷高(引渡高)
   が、年間に1000億円ほどある、ということを意味している。

いかがですか?
受注高とか、入金高ではなく、商品を引き渡した時に、売上を計上する
んだ、ということを、この機会に知っておきましょう!

2008年08月13日

URBAN、過大売上高の取り消しで下方修正(2006.5.12*17)

不動産流動化、マンション分譲などを手がけるアーバンコーポレーション
は、18日に、2006年3月期の連結業績予測を下方に修正しました。

(参考)→ http://www.urban.co.jp/news.html

ニュースリリースを拝見しますと、
平成18年4月10日時点の予想が連結売上高765億円、
経常利益226億円とのことでした。

これが、今般の修正で、連結売上高643億円、経常利益106億円
と、大幅な減額となっています。


           4/10発表   5/18発表  増  減

   売上高     765億円   643億円  △122億円

   経常利益    226     106    △120
 
   当期純利益   150      78    △ 72

そのおもな原因は、SPC(特別目的会社)を利用した不動産開発
事業に係る売上高が、まだ未実現だった、ということです。

かんたんにいうと、下記の売上計上が、まだ完全に開発が終わったわけ
ではない、という監査法人の指摘で、取り消された、ということですね。

「URBANが出資しているSPCが、不動産開発事業の80%に
 あたる不動産を売却したので、その売却代金の取り分をURBANの
 売上とした。」

※↑これが、まだ完了していない案件だから、引き渡し未了との判断。

金額にして、131億円強の売上減となったそうです。
これだけの金額が、微妙な売上として監査上の問題になることは、
実はめずらしくありません。
経験上、上場企業ならば、毎年、何社かはこのような問題に直面している
と想像されます。

ただ、昨今の、中央青山の問題などもあって、監査法人としても、
より厳格な会計ルールの適用を企業にうながすことになるでしょう。
売上高なんて、ほんとうに古典的ですが、解釈ひとつで金額が
大きく変わる、意外に怖い項目なんですね。

なお、この話には後日談がありまして、
18日の発表後、悪い材料が出尽くした、との市場の判断から、
逆に株価が大幅に上がっています。

17日 1017円
18日 1217円
19日 1380円

このような株価の反応もあるんだ、ということを勉強する、
いいケーススタディーといえそうです。

今回の事例、これからの上場企業の決算について、
いろいろな角度から学ぶことが多いので、
ぜひ、じっくりとご検討なさってください。

2008年08月15日

【研究開発費】という、企業の将来を担う重要科目

「研究開発費等に係る会計基準」という会計ルールが、今から7年前の
平成11年4月以降に施行されました。

いわずとしれた「会計ビッグバン」の一環で新設された会計基準の一つ
です。
※なお、会計ビッグバンは、1996年、橋本内閣のときに提唱され、
 1999年から順次導入された一連の会計制度改革のことです。
 それまでは、外国人投資家から日本の会計制度が不透明である、との
 批判を受けてきましたが、バブル崩壊から日本経済を立ち直らせる
 ためにも、必要とされてきた制度の変革と言えます。
 この中で有名な会計基準としては、税効果会計、金融商品会計、
 退職給付会計、減損会計などがありますね。

ここで、研究開発費の意味について、みていきましょう。
研究開発費は、「研究」及び「開発」のために支出した費用です。
ここで、「研究」と「開発」という行為について、会計基準は、
明確な定義を示しています。

「研究」…新しい知識の発見を目的とした
     計画的な調査及び探求。
「開発」…下記のいずれかの目的のために、
     研究の成果その他の知識を「具体化」すること。
      1新しい製品・サービス・生産方法についての
       計画または設計 あるいは
      2既存の製品・サービス・生産方法を
       著しく改良するための
       計画または設計

かんたんにいえば、
「研究」は、新しい知識を発見するための調査・探求であり、
「開発」は、新製品や既存製品改良のための知識の具体化である、
ということですね。

このような研究・開発と言う活動が重要性を増すのは、主として
技術革新が競争戦略上欠かせない、製造業においてでしょうね。

バイオテクノロジー、半導体や電気機器、医薬品などは、まさに
先端技術の開発を競っているでしょうから、研究開発コストにどれだけ
経営資源を振り向けるかは、死活問題といえます。

もちろん、IT業界でも、研究・開発の重要性は高いはずです。

この研究開発費は、とくに「企業間比較」という観点から、
将来の競争力を判断するために、ステークホルダー(利害関係者)と
しては、注目しておきたい情報です。

会社四季報などを見ても、「研究開発費ランキング」という
データがあったりします。

このように、研究開発費は、「どの会社が他社と比べて将来のための
研究活動に熱心か」を判断する指標としての重要性が高いので、
会計処理も、企業ごとに処理方法が異ならないように、統一されて
います。

具体的には、
「研究開発費は、すべて発生時に費用として処理しなければならない。」
とされています。
たとえば、一般の事業目的で取得した機械装置は、固定資産として
バランスシートに登録し、その後、減価償却という特別な会計処理を
通じて、数期間に費用配分されます。

しかし、研究開発目的にのみ使用される機械装置は、「固定資産」と
して扱うことは許されず、すべて取得した期の費用とするのです。

こうしてみると、「研究開発費」の扱いは、発生時費用処理と
いうことで、かなり徹底されています。

それぐらい、「その年の研究開発費用の企業間比較は大事!」と
考えられているのですね。

なお、費用処理された研究開発費は、損益計算書(P/L)において、

「売上原価」または「販売費及び一般管理費」の区分に含まれます。

              損益計算書
        ―――――――――――――――――
        1売  上  高      ×××
     ☆⇒ 2売 上 原 価      ×××(-)
                      ―――
           売上総利益      ×××
     ☆⇒ 3販売費及び一般管理費   ×××(-)
                      ―――
            営業利益      ×××
             :         : 

研究開発費は、上場企業の決算短信や有価証券報告書などでは、
注記事項としても開示されています。

以上、企業の将来性を占う上で重要な研究開発費用のお話でした。

2008年08月17日

ハイテク大手の研究開発費が過去最高に(2006.5.26*1)

電気や精密機器などのハイテク企業大手が、2006年度の研究開発費を
いっせいに増やす、との記事です。
ここでの調査対象企業は、次のとおりです。

●電機
 ・日立製作所
 ・東芝
 ・三菱電機
 ・松下電器
 ・ソニー
 ・シャープ
 ・NEC
 ・富士通

●精密
 ・キャノン
 ・富士写真フィルム
 ・リコー

以上、11社が、このときの調査対象となっていました。

これらの研究開発費を合計すると、2005年度が3兆3千5百億円、
2006年が3兆5千3百億円と、予想で5.4%増が見込まれて
いるそうです。

この研究開発費合計を、単純に11社で割ると、1社あたりの
平均研究開発費は、3209億円となりますね。

3000億円以上ものキャッシュを、大手各社は、将来のための
研究開発投資に振り分けよう、ということです。

このように、さいきんの研究開発コスト拡大策をとろうとする
背景には、海外ハイテク大手の巨額投資に対抗して、
技術や品質面で競争力を高めようとする意図が見えます。

さらに、昨今の好業績により、資金にかなり余裕があるはずなので、
好調なうちに将来のために手を打っておこう、という狙いも当然の
ことながら、あるわけですね。

なお、今回の研究開発コスト増大の特徴は、これまで縮小気味だった
「基礎研究」への注力があるようです。
バブル崩壊後、企業が体力的に苦しい時期には、すぐに製品化の
めどが立たない、目先の収益を圧迫する「基礎研究」は、やや
敬遠されていました。

しかし、将来を見据えた長期戦略を念頭に置くならば、どうしても
基礎的な分野の研究開発にも力を入れていく必要がある、という
感覚は、当然と言えるでしょう。

   「お金があるうちに、将来のために使う」

経営の難しさと醍醐味の一つは、ここにあります。

   「いかに、お金を上手に回すか」

これが、経営者の手腕です。

2008年08月19日

役員報酬と役員退職慰労金のP/L表示

企業の人件費には、大きく2種類あります。

1.役員に対する経営委任に基づく対価
2.従業員に対する労働サービスの対価

ここで、参考までに申し上げますと、役員と株式会社の関係と、
従業員と株式会社の関係は、法的に異なります。

◎役員(取締役、会計参与、監査役)および会計監査人と
 株式会社の関係…委任関係(会社法330条)
◎従業員と株式会社の関係…雇用関係

考え方としては、役員というのは、会社の経営を「委任された」
専門家、ということができますね。

さて、今回のテーマは、会社の人件費が、主に損益計算上、
どこに表示されるかについて検討することにあります。

まず、基礎知識として、従業員の給与や賞与については、
商業ならば「販売費及び一般管理費」、
製造業ならば「売上原価の一部」または「販売費及び一般管理費」
です。

                損益計算書   (単位:億円)  
      ―――――――――――――――――――――――――  
      1売  上  高             960   
 給与等→ 2売 上 原 価             660(-) 
 給与等→ 3販売費及び一般管理費          180(-) 
                 ――――――――――――――  
          営 業 利 益          120   
      4営 業 外 収 益              30   
      5営 業 外 費 用              54(-) 
                 ――――――――――――――  
          経 常 利 益           96   
      6特 別 利 益              10   
      7特 別 損 失              62(-) 
                 ――――――――――――――  
         税引前当期純利益           44   
         法人税、住民税及び事業税       20   
                 ――――――――――――――  
          当 期 純 利 益           24   
                 ==============

上記のように、2パターンの表示が、従業員の人件費の場合、
考えられます。
なお、従業員の退職金は、日本においては、
「在職中の賃金・給与の後払い」という見解を取るのが一般的なので
(賃金後払い説といいます)、やはり給与などと一緒に、
売上原価(製造業)または販売費及び一般管理費に含めて
表示されますね。

つぎに、役員に対する対価の支払いですが、これが、
役員報酬(給与に相当)と役員賞与と役員退職慰労金では、
従来、それぞれが異なった会計処理・表示の方法をとっていました。

                損益計算書   (単位:億円)  
      ―――――――――――――――――――――――――  
      1売  上  高             960   
      2売 上 原 価             660(-) 
役員報酬→ 3販売費及び一般管理費          180(-) 
                 ――――――――――――――  
          営 業 利 益          120   
      4営 業 外 収 益              30   
      5営 業 外 費 用              54(-) 
                 ――――――――――――――  
          経 常 利 益           96   
      6特 別 利 益              10   
退職慰労金→7特 別 損 失              62(-) 
                 ――――――――――――――  
         税引前当期純利益           44   
         法人税、住民税及び事業税       20   
                 ――――――――――――――  
          当 期 純 利 益           24   
                 ==============
                             :
役員賞与→       総会の利益処分項目      ▲××

…と、このように、定期支給の役員報酬は経営に関わる全般管理活動
に伴うコストとして「一般管理費」処理される一方で、役員退職時に
発生する多額の一時金支給額は、臨時の支出として、特別損失処理され
ることが多かったです。

また、役員賞与は、従来は配当などと同様に、利益の存在を前提に
分け前の分配みたいな考えに基づき、損益計算確定後の利益の事後
処理項目として扱われていました。

これが、2005年11月に公表された「役員賞与に関する会計基準」
により、会社法施行後の2006年5月以降、役員賞与も役員報酬と
同様に、発生した事業年度の費用として会計処理することが要請される
ようになりました。

                損益計算書   (単位:億円)  
      ―――――――――――――――――――――――――  
      1売  上  高             960   
      2売 上 原 価             660(-) 
 役員報酬→3販売費及び一般管理費          180(-) 
・役員賞与             ――――――――――――――  
          営 業 利 益          120   
      4営 業 外 収 益              30   
      5営 業 外 費 用              54(-) 
                 ――――――――――――――  
          経 常 利 益           96   
      6特 別 利 益              10   
退職慰労金→7特 別 損 失              62(-) 
                 ――――――――――――――  
         税引前当期純利益           44   
         法人税、住民税及び事業税       20   
                 ――――――――――――――  
          当 期 純 利 益           24   
                 ==============
                             

この、役員賞与に関する会計処理の変化は、昨今多くの企業で見られる
ようになった、業績連動型の役員報酬に経済的実質面で同様に理解する
ことができることが背景にあります。

今年の中間決算においては、役員賞与がはじめて費用処理されることに
なり、前年同期比における営業利益以下の変動値算定に、影響が出る会
社も現われるかもしれませんね。

いちおう、頭の片隅に入れておきたい論点です。

2008年08月21日

株価・業績連動型の役員報酬が急増?(2006.6.27夕*1)

6月27日の日経夕刊記事です。
2006年に株価・業績連動型の役員報酬制度の導入を
公表した企業が、3月決算で101社と、昨年比で5割増加
した、とのことです。

その一方で、年功序列型の報酬という色彩が強かった
役員退職慰労金を廃止する会社も増えてきそうです。

ちなみに、私が保有している遠州トラックという株も、
このあいだ、役員退職慰労金を支払うために最終減益を
予測したこともあって、取得後、
株価が10%以上も落ちてくれました。
むしろ、そこが買い時でしたね(笑)。

過去のEPS(1株利益)および売上の成長度合いを見ると、
ファンダメンタルがまだ手堅い気がしたのと、
投資額が小さいので、ゲーム感覚で、まだもってます。

したがいまして、逆に考えるなら、
それまで成長してきた企業が、役員退職慰労金の支給や
他の理由による特別損失計上などで一時的に収益性が
見かけのうえで下がった時こそ、買い時となる
可能性、高いです。
(あくまで、私の個人的見解ですが…)

こういうのも、一種の逆張りなんでしょうか。
でも、そのような株価下落時に、自信を持って
その株に投資できるかどうかも、やはり自分なりの
事業基盤分析と企業診断のポリシーがあるかどうかに
かかってますよね。

…日経新聞の記事の趣旨に戻りますと、
役員への退職慰労金の支給などは、非常に基準があいまいで、
お手盛り(役員自身が裁量で高めに設定してしまうこと)の
リスクがあるんですね。

この点は、就業規則や退職金規定でがっちり規定されている
従業員の退職金とは、その算定根拠の強さが全然違います。

このようなこともあり、また、企業への貢献度に比例して
役員に報酬を支払うのが筋だろう、ということで、
退職慰労金から業績連動型の報酬へとシフトする傾向が、
今後さらに強まる可能性があるようです。

成果報酬型の対価は、時代の流れですね。

2008年08月23日

事業を別会社(子会社)で行う場合のメリットと会計表示

ある会社が、現在の事業ないし地域から、さらに多角化しようと
考えた場合、とるべき道はおおきく2つあります。

方法1 進出する事業(地域)に、支店を設置する。

方法2 進出する事業(地域)に、子会社を作る。

以上は、いずれにせよ本部機能(本社または親会社)の支配下としての
事業体を、進出したい事業ないし地域に設置する、ということですね。

経済的には、支店でも子会社でもその機能にたいした違いはありません。
法律的に、同じ会社の一部(支店)なのか、別の法人格(子会社)なのか、
といった相違だけです。

ただし、本部機能としてのおおもとの単独決算上は、バランスシート
において、支店を設置したか、子会社を作ったかで、おおきな違いが
でてきます。
ここがおもしろいところですね。

<事例1>
(1)A社は、東京を本店として、出資金1000万円で創立した。

       貸借対照表
 ―――――――――――――――――
 現金預金1000|資本金 1000
         |

(2)A社は、大阪に支店を設置し、500万円を支払って、
   商品在庫を購入した。(大阪では、知り合いに店舗を
   借りたが、敷金・保証金はゼロにしてもらった。)

       貸借対照表
 ―――――――――――――――――
 現金預金 500|資本金 1000
 棚卸資産 500|

(3)A社の大阪支店は、当期中に棚卸資産(=商品在庫)500を
   すべて販売し(=売上原価)、販売代金800万円を受け取った。

       貸借対照表
 ―――――――――――――――――
 現金預金1300|資本金 1000
 棚卸資産   0|利 益  300
                ↑
       損益計算書    ↑
   ―――――――――――― ↑
   売  上  高  800 ↑
   売 上 原 価 -500 ↑
   支 払 家 賃    - ↑
           ―――― ↑
   当 期 純 利 益  300→・
           ====

(4)A社の大阪支店は、当期中に、地代家賃を60万円支払った。

       貸借対照表
 ―――――――――――――――――
 現金預金1240|資本金 1000
 棚卸資産   0|利 益  240
                ↑
       損益計算書    ↑
   ―――――――――――― ↑
   売  上  高  800 ↑
   売 上 原 価 -500 ↑
   支 払 家 賃 - 60 ↑
           ―――― ↑
   当 期 純 利 益  240→・
           ====

以上のように、大阪支店はA社の一部なので、当然、
売上高や売上原価や経費(支払家賃)が、会社としての業績に
なります。
在庫も、期末の状態(在庫0円)と、社内の状況を表していますね。

では、つぎに、A社が、大阪に子会社を設立させて、
同じ事業を始めたと仮定しましょう。

<事例2>
(1)A社は、東京を本店として、出資金1000万円で創立した。

       貸借対照表
 ―――――――――――――――――
 現金預金1000|資本金 1000
         |

(2)A社は、大阪に子会社B社を設立し、500万円を出資した。
   B社は、出資の払込金を全額つかって、
   商品在庫を購入した。(大阪では、知り合いに店舗を
   借りたが、敷金・保証金はゼロにしてもらった。)

      A社の財務諸表         B社の財務諸表
 ――――――――――――――― ―――――――――――――――

      貸借対照表           貸借対照表
 ――――――――――――――― ―――――――――――――――
 現金預金500|資本金1000 現金預金  0|資本金 500
 子会社 500|        棚卸資産500|
 株式     |


(3)B社は、当期中に棚卸資産(=商品在庫)500を
   すべて販売し(=売上原価)、販売代金800万円を受け取った。

      A社の財務諸表         B社の財務諸表
 ――――――――――――――― ―――――――――――――――

      貸借対照表           貸借対照表
 ――――――――――――――― ―――――――――――――――
 現金預金500|資本金1000 現金預金800|資本金 500
 子会社 500|        棚卸資産  0|利 益 300
 株式     |
                              ↑
                     損益計算書    ↑
                 ―――――――――――― ↑
                 売  上  高  800 ↑
                 売 上 原 価 -500 ↑
                 支 払 家 賃    - ↑
                         ―――― ↑
                 当 期 純 利 益  300→・
                         ====

(4)B社は、当期中に、地代家賃を60万円支払った。

      A社の財務諸表         B社の財務諸表
 ――――――――――――――― ―――――――――――――――

      貸借対照表           貸借対照表
 ――――――――――――――― ―――――――――――――――
 現金預金500|資本金1000 現金預金740|資本金 500
 子会社 500|        棚卸資産  0|利 益 240
 株式     |
                              ↑
                     損益計算書    ↑
                 ―――――――――――― ↑
                 売  上  高  800 ↑
                 売 上 原 価 -500 ↑
                 支 払 家 賃 - 60 ↑
                         ―――― ↑
                 当 期 純 利 益  240→・
                         ====

…いかがですか?

おなじ大阪地域への事業進出であっても、
支店を設置する方式だと、A社と組織的に一体となっているので、
A社の売上高が800万円、当期純利益が240万円となります。

それに対して、事例2のように、大阪に別会社(B社)を作って、
それを子会社として運営すると、A社には、大阪事業の業績が
まったく反映されません。

経済的には、まったく同じ機能をもっているのに、
それが支店の形態か子会社の形態かで、まったく
業績がかわってきます。

つまり、大阪事業のような多角化事業が、子会社形態の場合に
まったく反映されない。これが、単独決算の欠点です。

裏を返せば、この問題を解決するために連結決算が必要
なのですね。

連結決算ならば、支店のかたちであろうと、子会社のかたちで
あろうと、事業多角化の業績は、親会社(本社)に取り込まれ、
きちんと財務諸表にも反映されますからね。

ちなみに、なんらかの事情で、将来、
上記の大阪事業から撤退しようとしたときにも、
やはりいろいろと手続き面で、支店の場合と子会社の場合で
異なってきます。

支店の場合は、A社の一部であることから、
事業の閉鎖をするためにたいへんな手間が掛かります。

でも、子会社のかたちで運営していた場合には、
その子会社株を、必要とする第三者に売却するだけで、
その事業から手を引くことができるので、
撤退戦略という観点からは、非常に機動的な処置がとれますね。

このように、子会社としてグループ運営する、というのは、
迅速な事業再編が可能となるので、便利といえば便利です。

以上、支店または子会社という、運営形態による事業展開の
違いについて、少しでもご参考になれば幸いです。

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2008年08月25日

松下電器が、CATV放送事業から撤退(2006.8.28夕*1)

今回は、夕刊記事をトピックとしてとりあげてみました。
8月28日の1面です。
それによると、松下電器が、2004年度から子会社形態で
事業展開していたCATV事業から撤退する、ということです。

じっさい、同日の松下電器のニュースリリースを見ると、
同様のことが発表されていました。

具体的には、
松下が「ケーブルテレビ(CATV)受信機器など
機器販売との相乗効果を目的として、国内3位のCATV企業
であるケーブルウェストの株式を56%取得していた」が、
今般、業界最大手のジュピターテレコム社に、「すべてを譲渡
する」、という内容です。

当初は、CATV機器販売の展開をスムーズに行うため、
ソフト面でCATV放送を平行して運営していましたが、
CATV放送が広く普及したため、自身で放送を行う必要性が
乏しくなった、というのが実情のようです。

そうなれば、ケーブルウェストの株式を売却することによって
得た収入を、主力であるデジタル家電製品に資源配分するのが、
合理的な経営判断といえますよね。

           松下の貸借対照表
       ――――――――――――――――
               |
       子会社株式 ××| ←ケーブルウェストへの出資額
         :     |


おそらく、松下の単独決算上は、上記のように、
ケーブルウェストへの株式投資額は、原価(購入額)ベースで
オンバランス(貸借対照表に計上)されていることでしょう。

これが、プレスリリースによると、9月28日に売却される予定
のようなので、今度の中間決算(9月30日付け)では、
ケーブルウェストとの資本関係は、なくなる、ということですね。

ちなみに、売却額は、総額で約409億円になるそうです。
中間決算では、単独ベースで、子会社株式の売却益が出るかも
しれません。

注目したいところですね。

2008年08月27日

子会社純利益が「親会社以外」の株主に帰属する分…少数株主利益

ある会社が、他の会社の議決権(普通株ですね)の過半数を
取得すると、親会社になります。
過半数の議決権を取得されると、その会社は、子会社となりますね。

<企業の支配関係>
 (例)A社は、B社の議決権ある株式の60%を取得した。

         A 社
          ↓
          ↓株式の60%を所有
          ↓
         B 社

このような場合、B社の株式を所有しているA社以外の株主を、
「少数株主」と呼びます。
ここでは、B社の株式を握っている、他の40%の株主の
ことですね。

ここで、B社が、一年間で1000万円の純利益を計上した
としましょう。

          B社のP/L (万円)
      ―――――――――――――――
      売  上  高    ××××
         :
                ―――――
      当期純利益      1000
                =====

ここで問題となるのは、
「B社の稼いだ利益が、すべてA社に帰属するのか?」
ということです。

かんたんにかんがえれば、
■B社の純利益1000万円→→→A社(親)600万円(60%)
              ↓
              ↓
              ・→少数株主 400万円(40%)

と、持分割合に応じて利益を分配するのが筋ですよね。

連結決算上も、これと同様の考えをとります。
つまり、子会社の純利益のうち、少数株主に帰属する分は、
連結損益計算書を作る過程で、利益から控除するのです。

■B社P/Lの部分を、連結P/Lに変換するプロセス

          B社のP/L (万円)
      ―――――――――――――――
      売  上  高    ××××
         :
                ―――――
      当期純利益      1000
                =====

                   ↓
                   ↓
                   ↓

       A社連結P/L(B社部分)
      ―――――――――――――――
      売  上  高    ××××
         :
                ―――――
         :         :
      少数株主利益      400(▲)
                ―――――
      当期純利益       600
                =====

以上のように、100%支配でない場合は、
持分比率に応じて、親会社の取り分が下がる、
ということを知っておくとよいでしょう。

なお、完全子会社(100%子会社)の場合は、
少数株主が存在しないので、子会社の純利益はすべて
親会社の取り分となります。

■連結・税効果・時価会計・減損会計…(やさしい現代会計・中級)
 日経新聞や決算書の理解が深まる新会計基準の基礎知識
→ http://bokikaikei.net/03kaikei/287.html

2008年08月29日

親子上場をやめる会社が増加中!?(2006.10.6*17)

日経新聞の朝刊、10月6日の17面に、「揺れる親子上場」
という題名で、非常に連結決算に関する興味深い記事がありました。

ここでのテーマは、
「100%出資化の波」です。

かんたんにいうと、
親会社と子会社が同時に上場している場合、
子会社の少数株主の利益が、時として置き去りにされる、という
日本の親子関係の特殊性を鋭く突いた論文となっています。

最近の現象として、
親子上場をやめるケースが増えている、ということなのですが、
その狙いの一つとして、
「上場子会社を100%出資にして事業再編を加速したり、
 少数株主に流出する利益を取り込む狙いがある。」
ということなのですね。

9月26日は、石川島播磨工業や富士重工など5社が株式交換と
いうテクニックを使って、上場子会社を完全子会社化しました。

子会社を100%出資化して上場をやめる理由として、
一番多いのが連結経営の強化のようですね。

なお、親会社側の事情もさることながら、
子会社にとっても、上場にあたっては、メリットとデメリットの
両方が存在します。

●子会社側の、上場のメリットとデメリット

 メリット…資金調達力や信用の向上
      知名度がたかまることによる人材の確保

 デメリット…少数株主の利益が置き去りにされやすい。
       情報開示の負担が大きい。
       M&Aのリスクがある。

以上の中でも、上場していながら、親会社の存在が
あることで、その株を持っている少数株主の意思とは
関係なく、親会社の意向による経営がすすめられる、
ということもありがちですね。

このように、子会社の上場に関しては、
従来からいろいろと異論がありました。

今後、親子同時上場について、新しい動きがどんどん
出てくるかもしれませんね。

2008年08月31日

当期純利益と「法人の所得(=法人申告所得)」の違い

まずは、損益計算書のカンタンなフォームを、おさらいしましょう。

            損益計算書 (単位:億円)
       ――――――――――――――――――
       
       売  上  高      800

          :
     
       営 業 利 益      135

       営業外費用(支払利息)  ▲15
       特別損失(減損損失)   ▲20

                  ――――――― 
       税引き前当期純利益    100

       法人税等         ▲48
                  ―――――――
       当期純利益         52
                  =======

上記の例では、税効果会計の適用を無視して考えることに
します。

(※税効果会計について解説した教材はコチラ
  中級講座⇒ http://bokikaikei.net/03kaikei/287.html )

また、話をカンタンにするために、法人税等(法人税、住民税
及び事業税の合計)の税率を、所得(税務上の利益)の40%
としましょう。

そうすると、上記の例ならば、税引き前当期純利益100億円に
40%をかけて、40億円ではないか、との疑問が生じますよね。

では、なぜ48億円の納税額なのか。

それは、会計上の(P/L)利益100億円と、
税務申告上の利益(申告書上の所得)が、異なるために生じる
減少なのですね。

たとえば、上記の損益計算書(P/L)で、
特別損失(減損損失)は、固定資産の特殊な評価の切り下げ
です。しかも、やたらと見積もり要素が多くて、数字の
厳格性の観点からは、株式の評価損のような「客観性」に欠けます。
つまり、見積り費用として会計上は計上しても、
税務上ではこれを認めることは、算定の客観性などの点から、
難しいのかな、ということになります。

そうすると、
「損益計算書では費用とする」が、
「税金計算上は、費用とは認められない」項目が
でてきたりしますね。

このような会計上の利益と税務上の利益(=所得)との差を、
損益計算書とは別の表(別表4)で明らかにするのです。

(参考:別表4のイメージ)

 ※当期純利益(税引き前とします) 100億円

  加算:減損損失の否認額     +20億円

  減産:(本例は、なしとします)      
                  ―――――
  所得金額            120億円
                  =====

※初心者の理解を優先し、実際の申告書と若干違う表記に
 してあります。
 (ここでは、税引き前の当期純利益からのスタート。
  実際には、税引き後からスタートする。)

上記の所得金額120億円は、
P/Lの税引き前当期純利益100億円と明らかに違います。

(ポイント)申告書の所得金額 ≠ 税引き前当期純利益
           120         100

そして、別表4で計算された所得金額120億円をもとに、
法人税・住民税・事業税などが計算されるわけですね。

         損益計算書 (単位:億円)
    ――――――――――――――――――
    
    売  上  高      800

       :
     
    営 業 利 益      135

    営業外費用(支払利息)  ▲15
    特別損失(減損損失)   ▲20

               ――――――― <別表4>
    税引き前当期純利益    100 →→+20
                      (120)所得  
                         ↓
    法人税等(納税額)    ▲48 ←←←←・×40%
               ―――――――
    当期純利益         52
               =======

上記のように、法人税の確定申告書の別表4というところで、
納税額の計算基礎となる税務上の所得金額が計算されるわけです。

なお、税務計算の対象となる「所得」金額は、
申告所得とか、課税所得などとも、呼ばれたりしています。

以上、損益計算書における会計上の利益と、
税務計算上の所得の違いのお話でした。

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