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2008年09月 アーカイブ

2008年09月02日

法人申告所得が14年ぶりに50兆円を超えた(2006.10.27*1)

国税庁のまとめによりますと、
今年6月までの1年間に税務申告した法人の所得総額は、
50兆3974億円だそうです。

これは、1991年度以来、14年ぶりの50兆円超えです。

黒字申告1件あたりの所得金額は、過去最高の5661万円
だということです。
たしかに、所得平均が5600万円というのは、すごいです。

実効税率40%をかけると、平均的な黒字企業の納税額は
約2240万円となりますね~。

金額的には、税務申告の面から、景気回復の一端が見える、
といえそうですね。

しかし、黒字申告した法人数の割合を見ると、
ちょっとトーンダウンしてしまいます。

法人税の黒字申告割合が31.9%と、
1990年度の50.0%に比べて、かなり低いです。

「…これは、どういうこと?」

はい、もうお分かりですね。

一部の黒字申告企業が所得金額を押し上げているわけで、
ぶっちゃけ「所得格差」が、いっそう激しくなっている、
というお話です。

いまだに、儲かっていなくて苦しんでいる法人が、全体の
70%くらいいる、という事実を忘れないようにしたい
ところです。

格差が進んでいる現在の一側面を映し出した、
非常に興味深い記事といえそうです。

2008年09月04日

企業の将来の競争力を占う財務数値…研究開発費

研究開発費とは、文字通り、「研究」または「開発」に
要した費用のことです。

技術革新のスピードが非常に速い昨今、
研究開発活動は、企業の将来の収益性を左右する重要な要素
となっています。

とくに、研究内容が高度化・複雑化するほど、その研究の
ためにかかるコストは、膨大なものとなりますね。

日本においても、自動車産業、電機産業、製薬業界など、
国をリードする主要な企業の多くが、技術の優位性を
自社の強みとするケースが強いです。

したがって、研究開発費の総額や研究開発内容などの情報は
企業の経営方針や将来の収益性を予測する上で、きわめて
重要な投資情報となるわけです。

ところが、わが国の1990年代後半までにおける
研究開発費の会計処理は、次の点で問題を抱えていました。

1 研究開発の範囲が明確でなかったこと
2 支出の一部を政策的にバランスシートの資産として計上し、
  他の固定資産の減価償却手続きのように、数年間にわたって
  任意に費用を配分できたこと

このような会計制度上の問題点をかかえたままだとしたら、
どうでしょう。

日本への投資を考えている外国人投資家や、日本が海外で
資金調達しようとしている先の外国の資本市場で、従来の
日本の会計基準の整備不足に対して、NOをつきつけてくる
可能性が高いのは、自明ですね。

研究開発費の扱いについても、
ある企業は支出の80%を資産計上し、20%だけ
費用としているのにたいして、他の企業は100%費用
にしている、なんていう不均衡なルールを黙認していれば、
企業間での財務数値・研究開発規模の比較などもできないので、
投資家は困ってしまうわけです。

(事例1)A社は、50億円を研究開発のために支出した。
     古い会計ルールでは、5年以内で均等額を消却
     すればよかたったので、支出初年度にすべてを
     費用化せず、5分の1の10億円だけを費用と
     した。

     バランスシート
 ―――――――――――――――
 現 金 △50|
        |
      ↓ |
        |
 開発費 +40|
        |利 益 △10←・
 ―――――――|――――――― ↑
  計  △10| 計  △10 ↑
 ======= ======= ↑
                 ↑
                 ↑
      損益計算書      ↑
   ――――――――――――  ↑
   売 上 高   ×××   ↑
     :      :    ↑
   開発費償却   △10   ↑  
     :      :    ↑
           ―――   ↑
   当期純利益   △10 →→・
           ===

(事例2)B社は、50億円を研究開発のために支出した。
     今期は、予想外の利益が出たので、支出額すべて
     を、費用として計上することにした。


     バランスシート
 ―――――――――――――――
 現 金 △50|
        |
      ↓ |
        |
        |
        |利 益 △50←・
 ―――――――|――――――― ↑
  計  △50| 計  △50 ↑
 ======= ======= ↑
                 ↑
                 ↑
      損益計算書      ↑
   ――――――――――――  ↑
   売 上 高   ×××   ↑
     :      :    ↑
   開 発 費   △50   ↑  
     :      :    ↑
           ―――   ↑
   当期純利益   △50 →→・
           ===

このように、1990年代までの古い会計ルール
だと、事例1または事例2の方法が任意に選択できた
ので、同じ規模の研究開発行為であっても、会社によって
会計処理方針が異なれば、まったく違う費用の額になって
しまいます。

これでは、同業の会社どうしで、開発競争のレベルを
比較検討できませんね。

したがって、
企業間比較を保持するために、研究開発費を、全額、
支出時の費用にしよう、とすることに決めたのです。

なお、研究開発費に該当する支出を「資産」として
認識しない根拠については、
「研究開発行為が、将来、企業の収益獲得にほんとうに
貢献するかどうかは、開発段階では不明」という側面も
あるわけです。

じっさい、新しい試みとか、新発見とか開発行為などは、
失敗することも多いですよね。

したがって、企業の財産としてバランスシートに計上する
には、ちょっと資産としての適格性にも疑問があるよね、
ということなのです。

なお、研究開発費は、一般に、支出した年度の損益計算書
に、「一般管理費」として表示されます。

以上、特に製造業における将来の競争力を判断するための
重要な財務データ、研究開発費についてお話いたしました。

2008年09月06日

製薬4社の中間決算、研究開発費で明暗(2006.11.8*19)

2006年11月8日の日経19面では、製薬大手の4社の中間決算
に関する話題が出ていました。

11月7日に、武田、アステラス、第一三共、エーザイの中間決算
がでそろった、ということですね。

ここで、ちょっと4社の業績をかんたんに見ていきましょう。
         
                       (単位:億円)
 
            売 上 高  営業利益  研究開発費
                       (一般管理費)

武田   2006/9(実) 6424  2362   961(+139)
     2007/3(予)13000  4250    -

アステラス2006/9(実) 4479   725   979(+419)
     2007/3(予) 9180  1800    -

第一三共 2006/9(実) 4858   784   849(+124)
     2007/3(予) 9180  1270    -

エーザイ 2006/9(実) 3193   496   522( +78)
     2007/3(予) 6530  1050    -

こうやってみると、
アステラスの研究開発費の伸びが突出しているのがわかりますね。
やはり、この点が営業利益にも影響を与えています。

営業利益の伸び率
         2005/9  2006/9

武田      2152 2362  +210

アステラス   1171  725  △446

第一三共     803  784  △ 19

エーザイ     452  496  + 44

アステラスにとって、前年同期比で研究開発費を419億円も
増やしたのが、営業利益446億円減少の主要因となったわけ
です。

しかし、研究開発費の総額が、この中間期に限っては
武田薬品を超えた、という事実は注目ですね。

売上高では、武田薬品と1.5倍程度の差ですが、
 ※2007/3ベース 13000÷9180=1.42倍

営業利益に関しては2倍以上も違います。
 ※2007/3ベース 4250÷1800=2.36倍

つまり、本業である製薬事業での競争力が、武田の方が
上であると、決算書では読み取ることができます。

しかし、研究開発費では、一時的にせよ武田を超えた
わけですから、開発への意欲が感じられます。

将来への布石として、この研究開発費の大幅増が
奏功するかどうかは、次の決算以降を見てから、
チェックしていきたいですね。

2008年09月08日

「経常赤字」の意味を吟味する

新会社法において、損益計算書の様式が、少しだけ簡潔になりました。
前の損益計算書を知らない!という方は、スルーしていただければ
OKです。

簡単に言うと、「当期純利益」という項目が、損益計算書の
末尾になったんです。

それはそれとしまして、
ここで、カンタンに損益計算書のフォームを確認しておきます。
話をカンタンにするために、税効果を無視しますね。

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※拙著「トラの子を増やす 決算書の読み方」(P47も参照)

          損益計算書  (単位:万円)
     ――――――――――――――――――――――――
     売  上  高      100
     売 上 原 価       70(-)
                  ―――
       売上総利益       30  ←(商品の粗利)
     販売費および一般管理費   21(-) 
                  ―――
        営業利益        9  ←(本業の成果)

     営 業 外 収 益        4  ←財務活動等の成果
     営 業 外 費 用        3(-) ←財務活動等のコスト
                  ―――
        経常利益       10 ←(正常な状態の収益力)
     特 別 利 益        5
     特 別 損 失        7
                  ―――
     税引き前当期純利益      8
     法人税、住民税及び事業税   3(-)
                  ―――
     当 期 純 利 益        5
                  ===

上記のように、経常利益は、
「営業利益までの段階の業績」と、
「営業外の業績」に分けて考えることができます。

「営業外」というのは、
本来の営業目的の活動とは違うが、
毎期・経常的に生じる活動という意味です。

たとえば、預金の受取利息とか、株式の受取配当金とか、
株式の売却益とか、含み益とか、為替相場の変動による利益などは、
営業外収益になります。
そうそう、雑収入なんてのもありますね。

一方、借入金の支払利息とか、株式の売却損とか含み損とか、
為替相場の変動による損失などは、営業外費用の仲間です。

おおむね、財務活動や為替変動などによる収入や費用・損失
が、営業外として取り扱われます。

ここで、ある会社の経常利益が、たまたま赤字だったとしましょう。

経常赤字、などと言われます。

その時、気をつけるべきは次の3点です。

その1 本業で赤字になったのか。
その2 本業は黒字だけど、営業外の損益で赤字になったのか。
その3 上記1または2は、
    どのセグメント(製品種類・地域など)が原因なのか。

          損益計算書  (単位:万円)
     ――――――――――――――――――――――――
     売  上  高      100
     売 上 原 価       70(-)
                  ―――
       売上総利益       30  ←(商品の粗利)
     販売費および一般管理費   36(-) 
                  ―――
        営業利益       △6  ←(本業の成果)

     営 業 外 収 益        4  ←財務活動等の成果
     営 業 外 費 用        3(-) ←財務活動等のコスト
                  ―――
        経常利益       △5 ←(正常な状態の収益力)
          :

たとえば、上記のような場合は、
本業で利益が出なかったため、結果として経常利益もマイナス
となってしまったケースですね。

そこで、つぎにチェックすべきは、セグメント別に、どこが
足を引っ張ったのか、という観点です。

会社のセグメントというのは、その会社の経営戦略
そのものですから、どの事業領域が好調で、どの事業領域が
不調かが、会社の将来を見るうえでも重要となります。

特に、経常利益の赤字原因が営業利益にある場合、
本業の度の部分が現状のアキレス腱かを、さらにチェックする必要は
大ですね。

そこを早急にてこいれしないと、次の決算期に向けて、
傷口が大きくなる可能性もあるわけですから。

このように、経常利益が悪化する局面では、つぎに、
セグメント別の業績確認が、非常に重要となってきます。

注意して業績をウォッチしていきたいものですね。

2008年09月10日

楽天の7~9月期は、21億円の経常赤字(2006.11.17*9)

2006年11月17日の日経9面です。
日経の9面あたりといえば、企業面ですね。

しかも、企業総合面ですから、企業情報としては、
非常に重要な記事として、扱われていることが見て取れます。

この、楽天の経常赤字記事が、企業財務欄でもないし、
企業面1・2でもなく、「企業総合」面であるというところに、
ある種の意義付けが感じられます。

単なる一企業の決算情報としてとらえているわけではない、
ということですね。

参考までに、
企業総合面の扱いは、
「企業ニュースの中でも、特に、日本経済や産業全体への
 影響が大きいと思われる出来事」
です。

したがって、その記事が、日経の何面に載っているかでも、
予想される影響の大きさがイメージできるわけです。

こういった読み方も、面白いと思いますよ。

さて、本題ですが、
16日に楽天が発表した平成18年12月期の第3四半期業績が、
21.9億円の経常赤字となりました。

関連ページは下記です。
⇒ http://www.rakuten.co.jp/info/ir/finance/statement/pdf/2006_11_16_02.pdf

損益計算書の概要を見ると、次のような感じですね。

      平成18年     平成17年
       7-9月      7-9月

  売上高  477億円     452億円
   :
  営業損益 △16億円     125億円
   :
  経常損益 △21億円     130億円

ちなみに、第3四半期までの累計では、黒字です。

      平成18年     平成17年
       1-9月      1-9月

  売上高 1531億円     810億円
   :
  営業損益 176億円     234億円
   :
  経常損益 186億円     245億円

ただ、売上高が倍増に近いのに、利益が逆に減ってますから、
やはり収益性は落ちてます。

収益性が大事だ、という話は、拙著「トラの子を増やす~」でも
p40~p47で、詳しく触れています。

さて、経常赤字の場合、どのセグメントがもっとも不調なのか、
を確認する必要があるのでした。

◆楽天の、H18.7-9月における、各セグメントの業績
 (単位:億円)

        売 上 高  営業損益

 EC      141    34
(電子商取引)

 クレジット・  184   △84 ←ここです!
 ペイメント

 ポータル・    31    △0.6
 メディア

 トラベル     30    13

 証券       82    22

 プロスポーツ   24     1

こうやってみると、
ECと証券とトラベルは、目下、好調を維持している、
ということですね。

プロ野球などのスポーツ事業が黒字なのは、
さすがというか、うまくシナジーにつなげたのでしょう。

さて、クレジット・ペイメントの赤字が、大打撃だった、
ということが、上記では想像できます。

楽天の業績説明をウェブ上で見ると、
どうやら、昨今話題の利息返還損失や貸倒れ関連費用の
増加が、かなり業績に影響を及ぼしたようですね。

やはり、似たような原因分析を、
日経新聞記事でも扱っています。

なお、貸倒関連費用だけを見てみますと、
H17.7-9月が74億円でしたが、
H18.7-9月は133億円と、この科目だけで、
なんと59億円も費用増加となっています。

これは、厳しいですね。

以上のように、経常利益が悪化した場合、その
原因を事業種類別にフォーカスすることは、
財務分析の基本手順として、
ぜひとも知っておきたいところです。

2008年09月12日

減価償却という手続で、お金がたまる?~減価償却の財務効果

会社は、事業活動で利用するために、建物、機械装置、車両、備品、土地などの設備を購入します。

これら、企業が事業のために長期間使うような資産のことを、
固定資産といいますね。

ここで、固定資産の内容について、基礎知識の確認です。

            B/S
   ―――――――――――――――――――――
   (流動資産)    |
             |
   (固定資産)    |
    有形固定資産   |
     建物及び付属設備|
     構築物     |
     機械装置    |
     車両運搬具   |
     工具器具備品  |
    無形固定資産   |
     のれん     |
     ソフトウェア  |
    投資その他の資産 |
     投資有価証券  |
     子会社株式   |
     長期貸付金   |
     敷金保証金   |
       :     |

上記のように、固定資産には、有形のもの、
無形のもの、投資その他の種類に属するもの、の
3種類があります。

今回は、有形固定資産について、
見ていきます。

有形固定資産の具体例を、もうちょっと
詳しく確認すると、次のようになります。

●建物    本社ビル
       工場
       倉庫
    
●構築物   へい、道路、看板など

●機械装置  半導体の製造設備
       ノコギリ盤
       切断機など

●車両運搬具 営業用車両
       トラック
       フォークリフトなど

●備品    事務机、キャビネット
       応接セット
       パソコンなど

上記のようなものは、それぞれ、
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」という法令で、
決められています。

たとえば、鉄筋コンクリート造りの事務所などの建物は、
50年かけて、少しずつ評価を下げていきます。

また、パソコンで、普通に使うものは4年で価値がほとんど
なくなる、というふうに仮定して、毎年の決算で少しずつ
評価を落としていきます。

これを、「減価償却」といいますね。

※減価償却などの、会計の基礎的な計算技法を
 短期でマスターするには、下記がオススメです。
「財務チャート式・超短期簿記速習法」
→ http://bokikaikei.net/03kaikei/39.html

(取引例1)A社は、返済期間5年で200万円を借り入れた。

            B/S
   ―――――――――――――――――――――
   (流動資産)    |
    現金預金  200|
             |
   (固定資産)    |(固定負債)
    車両運搬具   -| 長期借入金 200
             |
             |


(取引例2)A社は、200万円の資金でパソコンを
      10台購入した。
      パソコンの耐用年数(見込まれる寿命)は
      4年だった。

            B/S
   ―――――――――――――――――――――
   (流動資産)    |
    現金預金    0|
             |
   (固定資産)    |(固定負債)
    備品    200| 長期借入金 200
     (4年で償却) |  (5年で返済)
             |


(取引3)1年間で、100万円を売上げ、現金を受取った。

            B/S
   ―――――――――――――――――――――
   (流動資産)    |
    現金預金 ※100|
             |
   (固定資産)    |(固定負債)
    備品    200| 長期借入金 200
     (4年で償却) |  (5年で返済)
             |
             |(純資産)
             |
             | 利益剰余金※100
                      ↑
                      ↑
            P/L       ↑
        ―――――――――――   ↑
        売 上 高   100→→→・
        減価償却費     -

さて、一年後に、長期借入金の5分の1、すなわち40万円を返済
したいところですが、上記の売上による利益100万円を、
税率40%で税金でもっていかれ、さらに、残った60万円を全部
株主に配当で持っていかれたら、返済に困ってしまいますよね。

そこで、下記のような、減価償却という費用計上の決算テクニックが
重要となるわけです。

(取引4)1年後の決算で、A社は、パソコンの耐用年数を
     4年、残存価額20万円(取得原価200万円の
     10%の処分価値を見込む)で、減価償却した。
     計算方法は、定額法による。
     ※毎期一定額を計上…(200-20)÷4年
               =▲45万円/年

            B/S
   ―――――――――――――――――――――
   (流動資産)    |
    現金預金 ※100|
             |
   (固定資産)    |(固定負債)
    備品    200| 長期借入金 200
    減価償却 ▲ 45|  (5年で返済)
    累計額      |
             |(純資産)
             |
             | 利益剰余金※100
             |      ▲ 45
                      ↑
                      ↑
            P/L       ↑
        ―――――――――――   ↑
        売 上 高   100→→→・
        減価償却費  ▲ 45
                ―――
        当期純利益    55
                ===

上記ならば、かりに、残った利益55万円に対して、

●法人税等(約40%) …55×0.4=▲22万円。
●利益の全部を配当   …55-22 =▲33万円。

として、もっていかれたとしても、
まだ現金は45万円残るのが、わかりますか?

☆税金22万円と、株主への配当33万円を支払った後の
 B/SとP/L。

            B/S
   ―――――――――――――――――――――
   (流動資産)    |
    現金預金 ※ 45|
             |
   (固定資産)    |(固定負債)
    備品    200| 長期借入金 200
    減価償却 ▲ 45|  (5年で返済)
    累計額   ―――|
          155|(純資産)
             |
             | 利益剰余金※100
             |      ▲ 45
             |      ▲ 22 法人税等
             |      ▲ 33 配当金
             |       ―――
             |         0←←・
          ―――|       ―――  ↑   
       計  200|     計 200  ↑
          ===        ===  ↑
                          ↑
            P/L        ・→→・
        ―――――――――――    ↑
        売 上 高   100    ↑
        減価償却費  ▲ 45    ↑
                ―――    ↑
        税引き前の利益  55    ↑
                       ↑
     ☆1→法人税等   ▲ 22    ↑
                ―――    ↑
        当期純利益    33    ↑
                ===    ↑
                       ↑
                       ↑
     ☆2→配当金支出   ▲33    ↑
                ―――    ↑
        B/S残高     0→→→→・
       (利益剰余金)  ===

…いかがですか?
ちょっと、遠回りしましたが、
備品の評価を、減価償却という手続で45万円だけ
削ったことにより、現金預金が45万円、税金にも配当にも
もっていかれず、社外流出を免れていますね。

このように、設備の評価を、毎年、一定の計算方法で
減額していくことにより、税・配当の社外流出を防ぐ手続を、
「減価償却」というのですね。

ここにいたって、めでたく、長期借入金の1年分の返済額、
200万円÷5年=40万円を支払うことができましたね。

なお、ここで参考知識です。

設備などの有形固定資産は、
寿命が来たら、ほとんど価値がないです。

だから、たとえば200万円で買ったパソコン10台も、
耐用年数の4年が来たら、ほぼ価値は0円にちかくなる
はずですが、税法の規定では、4年目に残存価値が10%
になるよう、償却計算しなければなりません。

つまり、200万円×10%=20万円は、価値があるとして
評価額をB/S上残し、200万円×90%=180万円だけ
4年間に配分して、各年度180÷4=45万円で費用化しなさい、
といっています。

==========
(参考)
さらに、税務上は、耐用年数(ここでは4年)が経過した後も、
使用し続けている場合には、さらに5%の残存価値になるまでは、
償却を続けてもよい、とされています。

結論としては、
「耐用年数が来た時点=10%まで費用化(資金留保)OK」
「耐用年数経過後  = 5%まで費用化(資金留保)OK」
ということです。
この、最大95%(残存価値5%)については、
国際的に100%(全額)償却が標準であるから、
そのレベルからすると、自己金融(財務)効果がまだ弱い、
==========

上記のように、減価償却費という「支出を伴わない費用」の
計上が、会社の資金繰りを楽にするような効果を、
「減価償却の財務的効果」
といいます。

大事な会計上のメリットなので、ぜひ、この機会に
しっかりと覚えてくださいませ。
とされる議論が、従来からあります。
==========

上記のように、減価償却費という「支出を伴わない費用」の
計上が、会社の資金繰りを楽にするような効果を、
「減価償却の財務的効果」
といいます。

大事な会計上のメリットなので、ぜひ、この機会に
しっかりと覚えてくださいませ。


[2]減価償却費を全額計上するメリット~政府税調(2006.11.22*1)
11月22日の日経1面です。

機械設備の減価償却費を
「耐用年数内で全額損金」にする、
という政府税制調査会の
税制改正に関する考え方が
明らかになりました。

ここで、ワンポイントです。

次年度の税制改正については、
●内閣総理大臣の私的諮問機関である「政府税制調査会」
●与党(自民党)の「税制調査会」

の2つの税制調査会が存在し、
これらの答申や大綱を踏まえ、政府により来年度の
税制改正が決められています。

与党の税調(税制調査会)による来年度の改正大綱は、
12月15日頃に出る予定です。

11月中旬以降は、上記に向けた議論をしている最中
なのですね。

ちなみに、従来から、政府税調よりも、与党税調の
決定力の方が実質的に強く、政府税調が出した大枠を
もとに与党税調が実質的に最終決定をしていたような
形でした。

それが、今回の安倍政権から、政府税調の存在感が
高まっている流れになっているようですね。

なお、今回の税制改正には、
2つの目玉がありまして、

1.証券税制関係
  株式譲渡益・配当の軽減税率10%を廃止し、
  本来の20%にもどす。

2.減価償却制度の見直し
  企業の保有する償却資産(減価償却する固定資産)
  について、現行の、最大95%までの償却額を、
  全額償却に変更。

今回は、減価償却について、国際標準にあわせ、
95%償却から全額償却にしましょうよ、
という話が大きな話題となっています。

一企業からすると、「たかが5%」という感じですが、
日本経済全体からすると、大きな影響です。

1社当たり平均10万円の差だとしても、
日本には200万社ありますから、

100

2008年09月14日

減価償却費を全額計上するメリット~政府税調(2006.11.22*1)

11月22日の日経1面です。

機械設備の減価償却費を
「耐用年数内で全額損金」にする、
という政府税制調査会の
税制改正に関する考え方が
明らかになりました。

ここで、ワンポイントです。

次年度の税制改正については、
●内閣総理大臣の私的諮問機関である「政府税制調査会」
●与党(自民党)の「税制調査会」

の2つの税制調査会が存在し、
これらの答申や大綱を踏まえ、政府により来年度の
税制改正が決められています。

与党の税調(税制調査会)による来年度の改正大綱は、
12月15日頃に出る予定です。

11月中旬以降は、上記に向けた議論をしている最中
なのですね。

ちなみに、従来から、政府税調よりも、与党税調の
決定力の方が実質的に強く、政府税調が出した大枠を
もとに与党税調が実質的に最終決定をしていたような
形でした。

それが、今回の安倍政権から、政府税調の存在感が
高まっている流れになっているようですね。

なお、今回の税制改正には、
2つの目玉がありまして、

1.証券税制関係
  株式譲渡益・配当の軽減税率10%を廃止し、
  本来の20%にもどす。

2.減価償却制度の見直し
  企業の保有する償却資産(減価償却する固定資産)
  について、現行の、最大95%までの償却額を、
  全額償却に変更。

今回は、減価償却について、国際標準にあわせ、
95%償却から全額償却にしましょうよ、
という話が大きな話題となっています。

一企業からすると、「たかが5%」という感じですが、
日本経済全体からすると、大きな影響です。

1社当たり平均10万円の差だとしても、
日本には200万社ありますから、

100

2008年09月16日

営業外収益と営業外費用の内容

損益計算書のフォーム、平成18年5月以降に施行された会社法に
したがい、従来の「当期未処分利益」がなくなり、「当期純利益」
という区分までとなりました。

※参考 損益計算書のフォームと、他の決算書との関係(会社法)

【 資 料 】
 X社の財務情報

                貸借対照表   (単位:億円)
       ―――――――――――――――――――――――
      |現 金 預 金 300|短 期 借 入 金 540| 
      |           |―――――――――――
      |商     品 120|資  本  金 200
      |           |- - - - - -
      |建     物 480|その他利益剰余金160 ←←・
       ―――――――――――|―――――――――――   ↑
         総資産   900| 負債・資本  900   ↑
               ===         ===   ↑
                                 ↑ 
                                 ↑ 
              株主資本等変動計算書(一部)     ↑ 
      ―――――――――――――――――――――――――  ↑ 
              …|その他  |…          ↑ 
               |利益剰余金|           ↑ 
      ―――――――――|―――――|――         ↑ 
      前期末残高   …| 154 |…          ↑ 
      ―――――――――|―――――|――         ↑ 
        :      |     |           ↑ 
      剰余金の配当  …| ▲18 |――         ↑ 
        :      |     |           ↑ 
    ・→当期純利益   …|  24 |…          ↑ 
    ↑ ―――――――――|―――――|――         ↑ 
    ↑ 当期末残高   …| 160 |→→→→→→→→→→→・
    ↑ =========================
    ↑
    ・←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←・
                                 ↑
                                 ↑
                損益計算書   (単位:億円)  ↑
      ―――――――――――――――――――――――――  ↑
      1売  上  高             960   ↑
      2売 上 原 価             660(-) ↑
      3販売費及び一般管理費          180(-) ↑
                 ――――――――――――――  ↑
          営 業 利 益          120   ↑
☆テーマ→ 4営 業 外 収 益              30   ↑
☆テーマ→ 5営 業 外 費 用              54(-) ↑
                 ――――――――――――――  ↑
          経 常 利 益           96   ↑
      6特 別 利 益              10   ↑
      7特 別 損 失              62(-) ↑
                 ――――――――――――――  ↑
         税引前当期純利益           44   ↑
         法人税、住民税及び事業税       20   ↑
                 ――――――――――――――  ↑
          当 期 純 利 益           24 →→・
                 ==============

上記のように、
損益計算書の計算結果である「当期純利益」は、
すぐ上の「株主資本等変動計算書」という
「貸借対照表・純資産の増減表」の中に組み込まれ、
「その他利益剰余金」の計算結果として、
利益の最終ストック、ここでは160億円が求められる、
という流れになっています。

上記のような会社法の下での決算書の関連も重要ですね。

さて、本号では、損益計算書の営業外収益と営業外費用に、
ちょっとスポットを当ててみます。

●営業外収益とは、毎期経常的に発生する収益で、
 本業以外の活動から生じるもののことです。

営業外で、かつ毎期経常的に発生する取引といえば、
「預金や貸し付けや株式取得などの財務活動」ですね。

そうです。
営業外収益の主なものは、財務活動から生じる収益です。
(他の原因による営業外収益ももあります。)

<営業外収益の具体例>
 ・受取利息(預金の利息、貸付金の利息など)
 ・有価証券利息(保有中の債券の利息)
 ・受取配当金
 ・有価証券売却益
 ・有価証券評価益
 ・雑収益

●営業外費用とは、毎期経常的に発生する費用で、
 本業以外の活動から生じるもののことです。

主に、借入金の利息や、社債の発行に関する費用や、
株式の評価損・売却損等の財務活動による費用が多い、
という点では、営業外収益と同様の性質をもっています。

<営業外費用の具体例>
 ・支払利息(借入金の利息)
 ・社債利息(社債の利息)
 ・支払割引料(割引手形の手数料)
 ・有価証券売却損
 ・有価証券評価損
 ・雑損失

上記のような項目が、損益計算書の営業外収益や
営業外費用に含まれています。

営業外収益と営業外費用をまとめて、「営業外損益」と
いいます。

営業利益に営業外損益を足し引きすると、
計上利益という、日経新聞で、最もポピュラーな
頻出の会計利益が求められます。

本業の成果+財務活動の成果ということで、
企業の正常な状態における収益力を表す、とされています。

なお、営業外損益のうち、

「受取利息+受取配当金」-「支払利息+支払割引料」の
差額を、
「金融収支」と呼んだりしています。

金融収支がプラスだと、最も基本的な財務活動から
利益が出ている、ということの証明になりますよね。

2008年09月18日

上場企業の受取利息と配当金が3割増加(2006.12.3*1)

日経新聞、12月3日の1面です。

9月の中間決算を発表した1646社を対象にして、
受取利息および受取配当金の合計から支払利息を引いた
「金融収支」を算出したところ、
全体の金融収支は4512億円の赤字で、
前年から1300億円ほど改善したそうです

金融収支の赤字額は、ITバブルが崩壊する直前だった
2000年の4分の1にまで縮小した、ということですから、
すごい収益の改善ですね。

ところで、金融収支の改善に貢献したのは製造業です。
約420億円の金融黒字と、連結中心の決算となった
2000年以降で、初めての黒字化です。

金融収支の黒字が大きい主な企業としては、
三菱商事の591億円、
トヨタ自動車の386億円、
武田薬品工業の262億円などがあります。

金融収支改善の背景には、
ここ数年、日本全体の有利子負債削減の
傾向による支払利息負担の軽減と、好調な業績を基礎とした
各社の配当の増加の2つが、いい方に影響している、
と考えられますね。

今後、金利が上昇した時に、
金融収支がどのように変化していくか、
注目していきたいところです。

2008年09月20日

在庫の評価損が、そろそろ気になり始める会社も…?

現在、上場企業を中心に、業績が好調です。
これは、日経新聞をみて、誰もが知っていることですね。

しかし、はたと身の回りを見ると、「ほんとうに、いざなぎ景気を
超えたって、いえるのかな~??」と、いっぱい疑問符がつく、
という実感をお持ちの方も多いことでしょう。

そうです。

過去最高益とか、法人申告所得がバブル期の水準に戻ったとか
いうわりには、まだ世間では黒字の企業が全体の30%くらい
しかいない状態なので、残り70%の苦しさを肌で感じている
われわれとしては、どうにも腑に落ちない「好況?」現象なの
ですね。

ただ、一部はたしかに、かなりハイパーな好調さを
維持していたりしていますので、そのような場合はイケイケで
生産・購買を拡大しています。

で、はたと見ると、在庫が結構増えているじゃない~。
なんていうことは、好況期にはよくあることで…

大事なことは、
「利益があるうちに、バランスシートを慎重にチェック」
することですね。

とくに、いつも私がしつこくしつこく申し上げる科目に、
「売上債権」
「棚卸資産」
「有利子負債」
の3つがあります。

まずは、この3つに、最初の歪みの兆候が出やすい。

で、今回は、在庫の評価についてのお話ですね。

在庫というのは、いうまでもなく、
「将来の需要を見込んで、先に支出して仕込んだ製品・商品」
のことです。

当然、一般にはキャッシュを先に払っています。

(例1)A社は、新株を発行(=増資)し、
    現金を100万円受取った。

            B/S
     ―――――――――――――――――
     現金預金+100|資 本 金+100
             |
     棚卸資産   0|

(例2)その後、商品を購入した。

            B/S
     ―――――――――――――――――
     現金預金   0|資 本 金+100
            ↓|
     棚卸資産+100|

この結果、株主から調達した資金は、棚卸資産という在庫投資
に化けました。

このまま売れなければ、もちろん、会社にいっさいキャッシュ
は入ってきませんね。

つぎに、新株発行ではなく、銀行借入で在庫を購入した、
としましょう。

(例3)B社は、運転資金として銀行から期間1年で借入れをし、
    現金を100万円受取った。利子率は3%であった。

            B/S
     ―――――――――――――――――
     現金預金+100|借 入 金+100
             |
     棚卸資産   0|

(例4)その後、商品を購入した。

            B/S
     ―――――――――――――――――
     現金預金   0|借 入 金+100
            ↓|
     棚卸資産+100|

…この場合の、後々の恐ろしさが、なんとなく想像つきますよね。

(恐怖その1)売れなければ、金利負担が重くなる。

(例5)利息3万円を支払った。

            B/S
     ―――――――――――――――――
     現金預金▲  3|借 入 金+100
            ↓|
     棚卸資産+100|利  益▲  3

(恐怖その2)元本の返済は待ったなし。

(例6)一年後、借入金を返済した。

            B/S
     ―――――――――――――――――
     現金預金▲103|借 入 金   0
            ↓|
     棚卸資産+100|利  益▲  3


…この100万円、どこから調達することに
なるんでしょうかねえ。

金利の高い○○○金融??

いずれにせよ、在庫が予定通りはけなければ、
財政状態が悪化することは、目に見えてます。

ちなみに、ここではあえて触れませんでしたが、
この間、倉庫の建物にかかる固定資産税、光熱費、
修繕費、担当者の人件費など、あれよあれよと
いうまに、時間が過ぎた分だけ、金を食っていきます。

「売れない在庫は金食い虫である。」

もっているだけで、人・物・金が浪費されていきます。

なお、過剰在庫、不良在庫となった棚卸資産で異常なものは、
決算上、「商品評価損」などの名称で、損益計算書の特別損失
の区分に表示されることが多いですね。

(例7)一年後の決算で、過剰在庫の評価を半分に下げた。
    評価差額は、商品評価損として、特別損失に計上した。
    ※営業外費用は、支払利息である。

            B/S
     ―――――――――――――――――
     現金預金▲103|借 入 金   0
            ↓|
     棚卸資産  50|利  益▲ 53
                     ↑
                     ↑
            P/L      ↑
        ―――――――――    ↑
        売上高   ×××    ↑
         :           ↑
        営業外費用   3(-)→↑
         :           ↑
        特別損失   50(-)→・

まあ、上記はやや極端なケースですが、
他の売上があがっていて、動きが活発な商品に隠れて、
B社のように、借金して仕込んだ在庫が不良化し、
資金繰りを圧迫している、なんていうケースは、
けっこう多いと思いますよ。

また、たとえ今は大丈夫でも、将来はわかりませんよね。

一本調子で上り続けていく景気というのは、
古今東西ありえないことですので、
好業績でありながら、
5期トレンドで、在庫がハイスピードで
膨張気味の会社担当者の方、経営者の方は、
ぜひ、お金がある今のうちに、しっかりと
在庫の見直しをしてくださいませ。

バランスシートをじっくりと分析した上での
資産マネジメント、すっごく大事ですよね。

留意しておきたいものです。

2008年09月22日

トイザらス、過剰在庫の評価損などで最終赤字(2006.12.8*16)

日経新聞12月8日の16面です。
7日、トイザらスは発表業績下方修正を発表しました。
参考→ http://www.toysrus.co.jp/truj/press/2006/20061207.html

当初、売上高2000億円、経常利益35億円、最終利益7億円を
見込んでいましたが、今般の発表で、
売上高1930億円、経常利益4億円、最終損失25億円と、
最終損益ベースで32億円もの利益減少予想に大幅変更となりました。

上記の大幅下方修正に関連する話ですが、
「過去に蓄積された不稼動在庫の処分を予定しており、
これに伴う特別損失を約20億円計上する見込み」
だそうです。

子供向けのおもちゃですから、品揃えもかなり必要でしょうし、
流行とか嗜好の変化とか、在庫調整が難しい側面もあったのかな、
という気がします。

●トイザらスの発表にもとづく、
 在庫の評価損計上の影響、推測図

            B/S
     ―――――――――――――――――
            ↓|
     棚卸資産 ▲20|利  益▲ 20
                     ↑
                     ↑
            P/L      ↑
        ―――――――――    ↑
        売上高   ×××    ↑
         :           ↑
         :           ↑
        特別損失   20(-)→・

財務分析的には、今回の在庫圧縮で、
純資産の数値と棚卸資産残高の数値が低くなります。

ROE(自己資本利益率)の観点からすると、
ちょっと長い目で見なければなりませんが、
事後はROEの分母の純資産が低い状態になりますので、
同じ利益なら、利益率が相対的にあがることになります。

あと、できれば、会計上の決算手続だけでなく、
現物をきちんと処理することにより、維持管理コスト
が削減できます。

厳しい状況下で、どのような舵取りがなされるか、
注目していきたいところです。

2008年09月24日

子会社の業績が、連結決算に与える影響

まずは、連結財務諸表の基礎知識です。

連結財務諸表とは、
「親会社が、子会社の財務諸表も合算し、
グループ全体の業績を報告するために作成する
財務諸表(決算書)のことです。

◆連結決算の流れ
(1)子会社の個別財務諸表を、必要に応じて修正する。
(2)親会社の個別財務諸表(B/S、P/L)と子会社の
   個別財務諸表を単純に合算する。
(3)親子間の取引や、グループ内で生じた含み益(未実現利益)
   を相殺消去するなどして、一定の決算修正を施す。
(4)関連会社(主に、持ち株割合20~50%程度の会社)
   の株式を、持分法(関連会社等の業績に応じて、株式の評価を
   上げたり下げたりすること)により、評価する。

以上の4つが、連結決算のポイントになります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(注)連結決算、税効果会計、時価会計、減損会計など、
   アップ・トゥー・デートな会計基準の知識を
   マスターしたい方(やさしい現代会計の中級講座)
  → http://bokikaikei.net/03kaikei/252.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は、上記のステップのうち、(2)の段階に関係します。

では、以下、事例で見ていきましょう。

(事例1)A社は、10億円を出資して、
     100%子会社B社を設立した。
     B社は、ほかに20億円を借り入れた。

          A社B/S-1
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(A)390|諸負債(A) 200
・→☆子会社株式  10|純資産(A1)200
|  ――――――――――――――――――――
|   計    400| 計     400
|  ====================

・――――――――――――――――――――――――・
                         ↓ 
          B社B/S-1        ↓
   ――――――――――――――――――――  ↓
   諸資産(B) 30|諸負債(B)  20  ↓
            |純資産(B1) 10☆←・
   ――――――――――――――――――――
    計     30| 計      30
   ====================

☆A社B/Sにおける「子会社株式10」と
 B社B/Sにおける「純資産(B1)10」は、
 グループ全体としてみた場合、互いに重複している
 項目なので、連結決算上、単純合算後に相殺する。
 (詳しくは、やさしい現代会計・中級講座を
  ご参照ください。)

(事例2)
一年後、A社は60の利益を上げ、その分だけ諸資産(A)と
純資産(A2)は、60億円ずつ増加した
いっぽう、B社は15の利益を上げ、諸資産(B)と
純資産(B2)を15億円ずつ増加した。

          A社B/S-2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(A)450|諸負債(A) 200
・→☆子会社株式  10|純資産(A1)200
|           |純資産(A2) 60
|  ――――――――――――――――――――
|   計    460| 計     460
|  ====================

・――――――――――――――――――――――――・
                         ↓ 
          B社B/S-2        ↓
   ――――――――――――――――――――  ↓
   諸資産(B) 45|諸負債(B)  20  ↓
            |純資産(B1) 10☆←・
            |純資産(B2) 15
   ――――――――――――――――――――
    計     45| 計      45
   ====================

※2 A社B/S-2とB社B/S-2の単純合算

      「A社+B社」B/S-2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)495|諸負債(計) 220
  ☆子会社株式  10|純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B1) 10☆
            |純資産(B2) 15
   ――――――――――――――――――――
    計    505| 計     505
   ====================

※3 A社の連結貸借対照表(連結修正後)

         A社連結B/S
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)495|諸負債(計) 220
            |純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B2) 15 ←B社の儲け
   ――――――――――――――――――――  が、A社連結上
    計    495| 計     495  とりこまれた。
   ====================

上記で見てわかるとおり、
B社で稼いだ利益15億円は、A社連結B/Sに
取り込まれました。

この点において、きちんとB社の黒字が連結決算に
反映していますね。

つぎに、子会社が赤字のケースです。

(事例3)
一年後、A社は60の利益を上げ、その分だけ諸資産(A)と
純資産(A2)は、60億円ずつ増加した
いっぽう、B社は13の赤字となり、諸資産(B)と
純資産(B2)を13億円ずつ減少させた。
この結果、B社は3億円の「債務超過」となってしまった。

          A社B/S-2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(A)450|諸負債(A) 200
・→☆子会社株式  10|純資産(A1)200
|           |純資産(A2) 60
|  ――――――――――――――――――――
|   計    460| 計     460
|  ====================

・――――――――――――――――――――――――・
                         ↓ 
          B社B/S-2        ↓
   ――――――――――――――――――――  ↓
   諸資産(B) 17|諸負債(B)  20  ↓
            |純資産(B1) 10☆←・
            |純資産(B2)△13
   ――――――――――――――――――――
    計     17| 計      17
   ====================

※2 A社B/S-2とB社B/S-2の単純合算

      「A社+B社」B/S-2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)467|諸負債(計) 220
  ☆子会社株式  10|純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B1) 10☆
            |純資産(B2)△13
   ――――――――――――――――――――
    計    477| 計     477
   ====================

※3 A社の連結貸借対照表(連結修正後)

         A社連結B/S
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)467|諸負債(計) 220
            |純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B2)△13 ←B社の損失が
   ――――――――――――――――――――  A社連結上
    計    467| 計     467  とりこまれた。
   ====================

この結果、B社で計上した赤字分13億円は、
連結上、きっちりと(?)A社の業績の足を
引っ張ってることが、あきらかとなります。

結局、「B社に投資した子会社株式10億円」がパーになり、
さらに、「3億円もの追加の赤字(債務超過分)」をも、
背負い込んでしまった、ということになります。

この損失は、親会社であるA社が負担します。

以上、子会社の黒字・赤字を連結決算に取り込む
プロセスを、A社・B社という比較的シンプルな
計算例を用いて、一緒に考えてみました。

2008年09月26日

日経平均の会社、子会社等で債務超過額1兆円(2006.12.20*17)

日経12月20日(水)の第17面です。
小さな記事でしたが、なかなか面白い視点だと思ったので、
とりあげてみました。

日経平均(225社による株価の平均値に、
一定の修正を加えたもの)の採用銘柄となっている企業のうち、
金融・証券・保険を除く204社について、
連結会社の債務超過額を調べたそうです。

その結果、総額が約1兆円あった、ということがわかりました。

債務超過の子会社等を有価証券報告書で記載していた
上場企業が31社あったそうです。

そして、債務超過会社として記載されていた子会社等は、
延べで43社(一部重複含む)とのことですから、
単純に計算すると、

204社÷43社(債務超過会社)≒上場企業4.7社に1社
の割合で、だいたい債務超過の会社が有価証券報告書上、
明示されている、という計算になります。

「5社の決算書を見れば、どこかで1社は、
 債務超過の会社を抱えていることがわかる」

この統計数値が何を意味しているかは、人によって
さまざまに解釈できるでしょう。

ただ、表に出ているのが、全体の一部かもしれない、
という見方をするならば、1兆円どころではすまない
債務超過が隠れているかもしれません。

あるいは、債務超過一歩手前の赤字会社も入れたら…

こういった、連結決算の「ダークサイド」にも、
想像をめぐらせながら財務分析してみるのも、
時として興味深いといえますね。

2008年09月28日

専門家報酬のP/L表示

専門家報酬といえば、たとえば下記の支出が頭に浮かびますね。

1.弁護士報酬
2.税理士報酬
3.弁理士報酬
4.社会保険労務士報酬
5.コンサルティング業務報酬
6.監査報酬

会社経営に当っては、さまざまな場面で
専門家の知識とノウハウが必要となります。

報酬の支払い方としては、依頼案件ごとに支払う臨時報酬の
形式もあるでしょうし、毎月一定額を支払う顧問料の
形式もあります。

そして、個人の専門家に支払う時は、10%の源泉をして
支払ったりします。

(例)A会計事務所に、1月の税務会計報酬として、
   10万円(源泉1万円)を支払った。

           B/S
  ―――――――――――――――――――――
 ↓現金預金 ▲ 9万円|預り金    1万円↑
            |
            |利益剰余金▲10万円↓←・
  ―――――――――――――――――――――  ↑
  資産計  ▲ 9万円|負債資本計▲ 9万円  ↑
  =====================  ↑
                         ↑
           P/L           ↑
    ――――――――――――――――     ↑
    1売  上  高     ×××万円   ↑
    2売 上 原 価(▲)  ×××     ↑
               ―――――     ↑
       売上総利益     ×××     ↑
                         ↑
    3販  売  費(▲)  ×××     ↑
     一 般 管 理 費             ↑
      ・支払報酬 (▲)   10→→→→→・
               ―――――
        営業利益     ×××
          :
       (以下省略)

上記をごらんいただいてもわかるように、
P/L(損益計算書)は、B/S(貸借対照表)の
利益に関する明細説明書です。

B/Sの右下、利益剰余金(さらに具体的には繰越利益剰余金)が
10万円減少した理由(内容)は、一般管理費の一部として、
という説明になるわけですね。

なお、販売費(販売活動で発生するコスト)と
一般管理費(管理活動で発生するコスト)は、
通常、ひとまとめにして「販売費及び一般管理費」として
表示されます。
上記では、科目名は支払報酬としましたが、
ほかに、専門家報酬とか、支払手数料などの名称で処理する
ケースもあります。

ご参考までに、
監査の現場などでは、よく「SGAの予実算をチェックして!」
のようにいわれますが、SGAというのは、

●Selling Expenses        …(販売費)
●General&Adminisutrative
 Expenses                …(一般管理費)
の略語なんですね。
これは、英文会計の用語です。

ちなみに、監査上、SGAの予算と実績の比較は、
分析的手続き上、とても重要です。

異常点の糸口が良く見つかりますので…

ともあれ、専門家に支払う報酬というのは、
通常、一般管理費のひとつとして処理されるものだ、ということを
知っておいていただければ、よろしいかと思います。

専門家報酬の額の大きさで、その会社がどの程度外部のプロを
活用しているかがよくわかりますね。

2008年09月30日

有価証券報告書に監査報酬開示を義務付け(2007.1.8*1)

2007年1月8日の日経1面です。
金融庁が、2008年度にも国内の上場企業などに対し、
監査法人に支払った監査報酬の額を有価証券報告書(証券取引法
で開示が強制されている決算報告資料)に明記するよう義務付ける
方針を固めたようです。

不正に対する監査法人のチェックが厳しくなることを期待した
措置ですね。

そういえば、今から20年近く前の会計士受験生のころ、
いろいろな監査法人の募集案内を見ていましたが、
だいたい、新人の会計士の初任給は、
当時で年間400万円~500万円といった
ところだったように記憶しています。

年間の就業時間を2000時間(250日×8時間)と
すると、だいたいの時給は2000円~2500円くらい
でしょうか。

1日8時間×2500円と仮定するならば、
日給2万円くらいという勘定になるかもしれません。
もちろん、このほかに社会保険料も一部負担してもらって
いますから、人件費というくくりなら、もうすこしコストが
あがる気もしますが。

ともあれ、新人で1日2万円のコストとするなら、
ベテランでその2-3倍と考えれば、おおざっぱではありますが、
監査報酬の想定値が推算できます。

仮に会計士1人当たり3万円の人件費なら、他の原価を
無視して労働分配率を50%とするならば、
倍の6万円を1日あたりのフィーとしてチャージしないと、
監査法人としての運営は難しくなるかもしれません。

新人、ベテランおりまぜて、会計士1人当たりのコストを
平均5万円とすると、1日の監査フィーは会計士1人あたり
10万円くらいになるかもしれません。

まあ、先ほどの6万円と10万円のあいだをとって、
これもざっくり8万円くらいとすると、
5人くらいの会計士が決算期に10日程度の日程で
監査に来たら、

あくまで推定ですが、延べ監査時間400時間くらいで
8万円×5人×10日=400万円程度には
なるのでしょうか。
●400時間=5人×8時間×10日

今気付きましたが、
この計算だと、「監査人一人あたり、一時間の監査フィー
が1万円」という推定になっていますね。

この数字がどの程度実態を表しているかどうか
わかりませんが、「監査報酬の額」と「監査時間」の間に、
それなりに相関関係があるとしたら、
面白いですね。

(注)上記の数字は、柴山の想像による推測ですから、
   実際の監査報酬の算定プロセスとは異なることもあります。
   あくまで、一つの説例ないし仮定計算としてご理解ください。

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