減価償却という手続で、お金がたまる?~減価償却の財務効果
会社は、事業活動で利用するために、建物、機械装置、車両、備品、土地などの設備を購入します。
これら、企業が事業のために長期間使うような資産のことを、
固定資産といいますね。
ここで、固定資産の内容について、基礎知識の確認です。
B/S
―――――――――――――――――――――
(流動資産) |
|
(固定資産) |
有形固定資産 |
建物及び付属設備|
構築物 |
機械装置 |
車両運搬具 |
工具器具備品 |
無形固定資産 |
のれん |
ソフトウェア |
投資その他の資産 |
投資有価証券 |
子会社株式 |
長期貸付金 |
敷金保証金 |
: |
上記のように、固定資産には、有形のもの、
無形のもの、投資その他の種類に属するもの、の
3種類があります。
今回は、有形固定資産について、
見ていきます。
有形固定資産の具体例を、もうちょっと
詳しく確認すると、次のようになります。
●建物 本社ビル
工場
倉庫
●構築物 へい、道路、看板など
●機械装置 半導体の製造設備
ノコギリ盤
切断機など
●車両運搬具 営業用車両
トラック
フォークリフトなど
●備品 事務机、キャビネット
応接セット
パソコンなど
上記のようなものは、それぞれ、
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」という法令で、
決められています。
たとえば、鉄筋コンクリート造りの事務所などの建物は、
50年かけて、少しずつ評価を下げていきます。
また、パソコンで、普通に使うものは4年で価値がほとんど
なくなる、というふうに仮定して、毎年の決算で少しずつ
評価を落としていきます。
これを、「減価償却」といいますね。
※減価償却などの、会計の基礎的な計算技法を
短期でマスターするには、下記がオススメです。
「財務チャート式・超短期簿記速習法」
→ http://bokikaikei.net/03kaikei/39.html
(取引例1)A社は、返済期間5年で200万円を借り入れた。
B/S
―――――――――――――――――――――
(流動資産) |
現金預金 200|
|
(固定資産) |(固定負債)
車両運搬具 -| 長期借入金 200
|
|
(取引例2)A社は、200万円の資金でパソコンを
10台購入した。
パソコンの耐用年数(見込まれる寿命)は
4年だった。
B/S
―――――――――――――――――――――
(流動資産) |
現金預金 0|
|
(固定資産) |(固定負債)
備品 200| 長期借入金 200
(4年で償却) | (5年で返済)
|
(取引3)1年間で、100万円を売上げ、現金を受取った。
B/S
―――――――――――――――――――――
(流動資産) |
現金預金 ※100|
|
(固定資産) |(固定負債)
備品 200| 長期借入金 200
(4年で償却) | (5年で返済)
|
|(純資産)
|
| 利益剰余金※100
↑
↑
P/L ↑
――――――――――― ↑
売 上 高 100→→→・
減価償却費 -
さて、一年後に、長期借入金の5分の1、すなわち40万円を返済
したいところですが、上記の売上による利益100万円を、
税率40%で税金でもっていかれ、さらに、残った60万円を全部
株主に配当で持っていかれたら、返済に困ってしまいますよね。
そこで、下記のような、減価償却という費用計上の決算テクニックが
重要となるわけです。
(取引4)1年後の決算で、A社は、パソコンの耐用年数を
4年、残存価額20万円(取得原価200万円の
10%の処分価値を見込む)で、減価償却した。
計算方法は、定額法による。
※毎期一定額を計上…(200-20)÷4年
=▲45万円/年
B/S
―――――――――――――――――――――
(流動資産) |
現金預金 ※100|
|
(固定資産) |(固定負債)
備品 200| 長期借入金 200
減価償却 ▲ 45| (5年で返済)
累計額 |
|(純資産)
|
| 利益剰余金※100
| ▲ 45
↑
↑
P/L ↑
――――――――――― ↑
売 上 高 100→→→・
減価償却費 ▲ 45
―――
当期純利益 55
===
上記ならば、かりに、残った利益55万円に対して、
●法人税等(約40%) …55×0.4=▲22万円。
●利益の全部を配当 …55-22 =▲33万円。
として、もっていかれたとしても、
まだ現金は45万円残るのが、わかりますか?
☆税金22万円と、株主への配当33万円を支払った後の
B/SとP/L。
B/S
―――――――――――――――――――――
(流動資産) |
現金預金 ※ 45|
|
(固定資産) |(固定負債)
備品 200| 長期借入金 200
減価償却 ▲ 45| (5年で返済)
累計額 ―――|
155|(純資産)
|
| 利益剰余金※100
| ▲ 45
| ▲ 22 法人税等
| ▲ 33 配当金
| ―――
| 0←←・
―――| ――― ↑
計 200| 計 200 ↑
=== === ↑
↑
P/L ・→→・
――――――――――― ↑
売 上 高 100 ↑
減価償却費 ▲ 45 ↑
――― ↑
税引き前の利益 55 ↑
↑
☆1→法人税等 ▲ 22 ↑
――― ↑
当期純利益 33 ↑
=== ↑
↑
↑
☆2→配当金支出 ▲33 ↑
――― ↑
B/S残高 0→→→→・
(利益剰余金) ===
…いかがですか?
ちょっと、遠回りしましたが、
備品の評価を、減価償却という手続で45万円だけ
削ったことにより、現金預金が45万円、税金にも配当にも
もっていかれず、社外流出を免れていますね。
このように、設備の評価を、毎年、一定の計算方法で
減額していくことにより、税・配当の社外流出を防ぐ手続を、
「減価償却」というのですね。
ここにいたって、めでたく、長期借入金の1年分の返済額、
200万円÷5年=40万円を支払うことができましたね。
なお、ここで参考知識です。
設備などの有形固定資産は、
寿命が来たら、ほとんど価値がないです。
だから、たとえば200万円で買ったパソコン10台も、
耐用年数の4年が来たら、ほぼ価値は0円にちかくなる
はずですが、税法の規定では、4年目に残存価値が10%
になるよう、償却計算しなければなりません。
つまり、200万円×10%=20万円は、価値があるとして
評価額をB/S上残し、200万円×90%=180万円だけ
4年間に配分して、各年度180÷4=45万円で費用化しなさい、
といっています。
==========
(参考)
さらに、税務上は、耐用年数(ここでは4年)が経過した後も、
使用し続けている場合には、さらに5%の残存価値になるまでは、
償却を続けてもよい、とされています。
結論としては、
「耐用年数が来た時点=10%まで費用化(資金留保)OK」
「耐用年数経過後 = 5%まで費用化(資金留保)OK」
ということです。
この、最大95%(残存価値5%)については、
国際的に100%(全額)償却が標準であるから、
そのレベルからすると、自己金融(財務)効果がまだ弱い、
==========
上記のように、減価償却費という「支出を伴わない費用」の
計上が、会社の資金繰りを楽にするような効果を、
「減価償却の財務的効果」
といいます。
大事な会計上のメリットなので、ぜひ、この機会に
しっかりと覚えてくださいませ。
とされる議論が、従来からあります。
==========
上記のように、減価償却費という「支出を伴わない費用」の
計上が、会社の資金繰りを楽にするような効果を、
「減価償却の財務的効果」
といいます。
大事な会計上のメリットなので、ぜひ、この機会に
しっかりと覚えてくださいませ。
[2]減価償却費を全額計上するメリット~政府税調(2006.11.22*1)
11月22日の日経1面です。
機械設備の減価償却費を
「耐用年数内で全額損金」にする、
という政府税制調査会の
税制改正に関する考え方が
明らかになりました。
ここで、ワンポイントです。
次年度の税制改正については、
●内閣総理大臣の私的諮問機関である「政府税制調査会」
●与党(自民党)の「税制調査会」
の2つの税制調査会が存在し、
これらの答申や大綱を踏まえ、政府により来年度の
税制改正が決められています。
与党の税調(税制調査会)による来年度の改正大綱は、
12月15日頃に出る予定です。
11月中旬以降は、上記に向けた議論をしている最中
なのですね。
ちなみに、従来から、政府税調よりも、与党税調の
決定力の方が実質的に強く、政府税調が出した大枠を
もとに与党税調が実質的に最終決定をしていたような
形でした。
それが、今回の安倍政権から、政府税調の存在感が
高まっている流れになっているようですね。
なお、今回の税制改正には、
2つの目玉がありまして、
1.証券税制関係
株式譲渡益・配当の軽減税率10%を廃止し、
本来の20%にもどす。
2.減価償却制度の見直し
企業の保有する償却資産(減価償却する固定資産)
について、現行の、最大95%までの償却額を、
全額償却に変更。
今回は、減価償却について、国際標準にあわせ、
95%償却から全額償却にしましょうよ、
という話が大きな話題となっています。
一企業からすると、「たかが5%」という感じですが、
日本経済全体からすると、大きな影響です。
1社当たり平均10万円の差だとしても、
日本には200万社ありますから、
100
