仕入・売上の返品(たのしく学ぼう日商簿記3級の超入門 第10回)

はじめに

返品とは何か、これについて改めて考えていきましょう。
次に仕入れた商品を返品した時の仕訳ということで、商品を買った後に何か理由があって商品を返しました、そういった場合にどのような仕訳、記録をするのかということを学んでいきます。
そして、販売した後に返品された時、売った商品が帰ってきた場合どのように仕訳、転記をするでしょうか。こういったことを見ていきましょう。

返品とは

返品(仕入戻し、売上戻り)とは何か。
一旦販売された商品が買い手から売り手に返されることを返品と言います。
返品が行われる理由としては商品の品違い、品質の不良、あるいは破損などがあげられます。
これらは売上げや仕入れの取り消しとして簿記上は扱います。

当社が真ん中にいて、まずは仕入れ先から商品を仕入れました。
何か問題があって返品する。これは仕入れの取り消しになります。
一方で当社がお客様に販売しました。何か理由があって取引先から商品が帰ってきました。いずれ返金しなくてはいけませんけれども、この分については売上の取り消しになります。

仕入れた商品を返品した時の仕訳を見ていきましょう。
仕入れたあとの返品(仕入戻し)の仕訳は、まずは仕入勘定、費用です。
これは左側、借方がプラスなので取り消しですから、右側に書いてマイナスにします。貸方に書きます。仕入費用の取り消しです。

具体的な事例

商品20万円を掛けで仕入れた。こういう事例を考えましょう。
まず借方は左側、仕入れ増加、費用の発生です。20万円。貸方、右側は買掛金という負債、支払い義務が発生しました、20万円です。
負債というのは何らかの義務を意味するのです。

②商品1万円分が品違いのための返品し、掛代金と相殺した。
箱を開けてみたら一部違うものが混じっていると。注文したものと違うよねと。その場合は返さないといけません。
そのままでは売れません。申し訳ないけど返品しますと、なので支払額から引いてくださいと。お金をもらうこともあります。現金ということもあります。
お金を払ったあとだったら返金してもらう。あるいは買掛金と相殺と言って、少し一部免除してくださいということもあります。
借方、買掛金1万円としました。貸方、仕入1万円。こんなことが考えられます。

では取引例です。
商品20万円を仕入れました。代金の支払いは翌月末としました。
翌月末ということは未払いですから買掛金です。借方仕入20万円、費用のグループです。
Tの字の仕入れ勘定の左側に20万円。貸方は買掛金、負債の20万円です。

では次②です。後日、一部の商品が品違いであったため、1万円分の返品を受け、掛代金と相殺した。つまり一部免除してもらって未払いを取り消しました。
今度は、貸方、仕入1万円ということで、左側の20万円プラスから、右側1万円でマイナス。差し引き仕入れ高は19万円に変わりました。

これを口頭で言いますと、純粋の純っていう言葉を書いて純仕入れと言います。
19万円は純仕入れ。20万円は総額の仕入れなので、総仕入れ高が20万円、純仕入れ高が19万円と表現するということを知っておいてください。

一方、買掛金は、貸方20万円プラス負債が増えました。
借方は返品によって一部免除されました。取り消されました。
20万円引く買掛1万円で19万円が買掛金の残高です。
仕入れの方は総仕入れが20万円。純仕入れが19万円です。

では次にいきましょう。今度は売上です。販売した後に返品された時の仕訳です。
売上戻りです。売上勘定が元々は右側貸方なので、今度は左側借方に書きます。売上、収益の取り消しです。

では①商品20万円を掛けで売上げた。売掛金借方20万円という権利、資産です。
資産のグループは3つの性質がありました。金、物、権利、でそのうちの権利にあたります。

そして右側貸方が売上という収益が20万円ありました。
これをふまえて後日、売った後、先方のお客さんから電話か何かがきたのですね。

柴山商事さんすいません、もらった商品の一部が悪くなったかもしれないし、あるいは違うものが届いたのでこれ返しますと。1万円分返品しますと。売掛金から一部減らしてくださいということで20万円から1万円引いて19万円の請求にしてくださいという話です。
仕訳です。借方、売上という収益の取り消しマイナス1万円。貸方、資産のマイナス売掛金1万円となります。

これをふまえて取引例を一気に見ていきましょう。
①商品20万円を掛けで売上げました。借方売掛金20万円、資産プラス。貸方売上20万円。
そして②上記商品の一部の返品を受け、代金1万円は売掛金と相殺した。
今度は反対の仕訳です。借方売掛金1番、20万円から1万円を引いて19万円が純仕入れ、先ほどの仕入れと同じで売上も総売上と純売上があります。

総売上というのは全ての売上なので20万円です。
一旦引き渡した金額を総売上と言います。そしてそこから返品などを引いた差し引きの残高としての売上を純売上と言います。
総売上高が20万円、純売上高が19万円と覚えておいてください。

そして借方は売掛金20万円から貸方1万円を引いて差し引き19万円の借方残高と言います。
このような言い方にも慣れておくといいでしょう。
売掛金19万円、そして純売上が19万円です。参考になさってください。

まとめ

返品(仕入戻し、売上戻り)とは、一旦販売された商品が買い手から売り手に返されることを返品と言います。

返品が行われる理由としては商品の品違い、品質不良、破損などがあげられます。
当社から見て左側の仕入先に戻すことを仕入戻し、当社から見て右側の得意先から返ってくることを売上戻りと言います。

仕入れた商品を返品した時はどうなるか。
一旦仕入れを借方に書いて、返品したら貸方に書いて、仕入れの費用を取り消しましょう。

販売した後に返品された場合は、右側貸方売上が収益です。
返品されたら借方売上1万円を引いて、20万円引く1万円で19万円が純売上。
総売上は20万円です。収益の場合は左側に書いて取り消します。

借方、貸方、元の仕訳を反対に書くことを反対仕訳と言います。こういったことも知っておいてください。

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