サービス、商業簿記

「サービス」について説明します。
経済用語では、サービスとは、売買において相手に効用や満足を提供する形のない財のことを指します。
法律用語ではこれを「役務」と呼びます。
また、サービスを提供して得た収益は、売上ではなく「役務収益」として区別されます。

会計の観点では、サービスが問題になるのは、そのサービスがどの事業年度に実施されたかという点です。
例えば、映画の前売り券を販売した場合、その映画を実際に観せるサービスが提供されていなければ、映画会社は売上を計上することはできません。
具体例として、3月末決算の映画会社が3月中に前売り券を販売し、代金を受け取った場合を考えます。
しかし、映画のサービス提供が翌月4月に行われるのであれば、その収益は翌年度の役務収益として計上され、3月の決算時点では売上として計上されることはありません。
このように、サービスが提供された事業年度を正確に把握することが重要です。決算日をまたぐ取引の場合は、特に注意が必要です。

次に、「商業簿記」について説明します。
商業簿記は、工業簿記と対になる概念です。
商業簿記は、完成した商品を購入して販売する企業の取引を管理するための簿記です。
商業簿記で扱う「商品」とは、製造された製品とは異なり、すでに完成しているものを仕入れて販売するものです。
一方、「製品」は材料を加工して作り上げたもので、工業簿記で扱う完成品を指します。
製品は、未完成の状態から加工を行い、完成させたものです。

商業簿記は、小売業や卸売業など、商品を仕入れて販売する業種に適用されます。
簿記の中でも最も基本的な部分を扱っているため、ほとんどの企業で決算や会計処理に利用されます。
一方、製品を製造して販売する企業には、工業簿記が適用されます。
また、業種ごとに特有の簿記も存在し、農業簿記や銀行簿記などがそれに該当します。
これらは、応用簿記として分類されます。

PREV
手形、精算表、倒産
NEXT
未収収益(3級・2級商業簿記)