M&Aの会計処理~パーチェス法~

(1)企業結合とは

企業結合とは、ある企業又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構成する事業とが1つの報告単位に統合されることをいいます。
企業結合には、以下の3つの形態が存在します。
(1) 取得(独立した企業間のM&A)
(2) 共同支配企業の形成(ジョイントベンチャーなど)
(3) 共通支配下の取引(グループ内での事業再編)
ここでは、取得の会計処理を説明します。

(2)取得の会計処理

「取得」とは、ある企業が他の企業または企業を構成する事業に対する支配を獲得することをいいます。
いわゆる買収と言われる事例は、ほとんどが「取得」ということになる。
「取得」となる企業結合は、パーチェス法により処理する。パーチェス法とは、以下のような方法をいいます。

①被取得企業または事業の取得原価は、原則として、取得の対価となる財の企業結合日における時価で算定する。

②取得原価は、被取得企業から受け入れた資産および引き受けた負債のうち企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産および負債に配分する。

③取得原価が、受け入れた資産および負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額は「のれん」として処理し、下回る場合には、その不足額は「負ののれん」として処理する。

パーチェス(purchase)という言葉が示すとおり、普段私たちがお店で商品を購入するのと本質は同じであると考えてよいでしょう。
お店で売られている商品の価格は通常市場価格すなわち時価であるから、企業という組織体においても同じように考えれば、時価で評価し、対価を支払うのが通常ということになります。

取得した会社(事業)の貸借対照表における純資産と対価の支払学の差額は、その会社(事業)のプレミアム部分と考えて「のれん」勘定で会計処理します。

無形固定資産に計上されたのれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他合理的な方法により規則的に償却します。

負ののれんが発生する場合は、価値あるものを安く手に入れたと考えて、取得時の利益として処理します。

(仕訳の例示)B事業を買収し、現金60を支払った。
       ※B事業の貸借対照表(諸資産70、諸負債20)

(借)諸資産(B事業)70(貸)諸負債(B事業)20
のれん10現金預金60
(無形固定資産)

(3)合併(契約により、2以上の会社が一つになること)

吸収合併:合併当事会社のうち一方が他方を吸収する合併。
新設合併:合併当事会社はすべて消滅し、新設会社が消滅会社の権利義務を承継する合併。会計的には、一般に吸収合併を扱う。

(例題)A社はB社(発行済株式総数1,000千株)をX1年4月1日に吸収合併した。以下の資料に基づいてA社における合併の仕訳を示しなさい。

(資料1)合併直前の貸借対照表
X1年3月31日     (単位:千円)

資  産A 社B 社負債・純資産A 社B 社
諸資産500,000250,000諸負債100,00050,000
以下省略

500,000250,000500,000500,000

(資料2)合併に関する事項
1.B社の諸資産の時価は280,000千円、諸負債の時価は60,000千円であった。
2.A社はB社株主が所有するB社株式1,000千株と引き換えにA社株式500千株を新たに発行して交付する。A社株式の時価は1株450円である。A社の増加する株主資本は全額資本金とする。

(仕訳例)

(借)諸資産280,000(貸)諸負債60,000
のれん5,000資本金225,000

※増加する資本金:450円×500千株=225,000千円。のれんは差額で求める。

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