銀行からの融資(たのしく学ぼう日商簿記3級の超入門 第2回)

はじめに

まずは出資と融資です。株主からお金を預かるのと銀行から借りるのとではどのような違いがあるのかについてまとめておきましょう。

株主からの資金調達

事業に必要な資金を集める方法(調達方法)として、株主からの出資です。
これは返済しなくてもいいのです。預かりっぱなしで基本は返済しません。

そして利益から配当金を支払うことがあります。これは一般的に株主総会というところで決まります。

会社の所有者なので立場が強いです。株主は経営にも口を出してくる可能性があるわけです。

銀行からの資金調達

そして今回やるのがもう1つの資金調達方法で、銀行からお金を借りるパターンです。
もちろん自己資金だけで商売ができればいいけど、なかなかそうはいかないので、自己資金では足りない部分を銀行などの金融機関からお金を借りることによって自分以外の人からお金を調達してビジネスを拡大することができます。

金融機関(銀行など)からの融資(借入れ)をした場合、返済をする必要があります。
100万円借りたら100万円は5年後とか3年後とか、あるいは分割で返済します。

そして利息を払います。金利というのは元本を保証しているので若干配当よりも低く設定するイメージがあります。

リターンの要求と負債の違い

株主が要求するリターンは、株価を上げるとかあるいは配当するなど、リターンの要求する率が高いのです。

だいたい上場企業でよくあるのは7%ぐらいの利回りを要求したくなるなどです。でも今の経済情勢でいきますと金利が低いでしょう。

借入金が多分1%とか2%とかです。5%、10%はなかなかないと思うのです。
株式投資の場合は株主が人事権を持っていますから、取締役というのは解任される可能性がありますので、株主の顔色をうかがう必要があります。

これが実は株式投資のポイントで、株主にお金を返さなくていいのですが、ハイリスクハイリターンだからたくさんリターンを要求されますので、だいたい多めで7%から8%ぐらいです。感覚的には少し高めのリターンを要求されます。

これは配当だけに限らず、配当と株価の上昇を合わせて7~8%、できれば10%です。
それくらい高いパーセントを要求されることがあるので、わりとプレッシャーはきついです。返済しなくてもいいのですが、一方で金融機関、銀行から借りた場合は返済しなければいけないので、元本は債権者に対して返済を保証しているわけです。

株主は保証していません。上がるかもしれませんし下がるかもしれません。銀行の場合は元本は必ず返済して保証することを考えているので、安定投資ということで低めになっています。

そして株主まで立場は強くないが、借りている弱みは多少あります。経営には口を出さないのが一般的です。ただ経営が厳しくなるとコンサルタント担当を紹介してきたりします。

100億や200億など大きい規模になってくると銀行からかなりきつい指導が入ることがあります。返済が難しくなったら、です。基本的には株主の方が「もの言う株主」なので、やはり経営に対する権力は株主のほうが高いです。

銀行も一応配慮しますが、基本的には株主ほどオーナーではないので、株主ほど支配権を持っているわけではないというところが違うと思います。

それをふまえて財産の状態は、貸借対照表と言いますが、財産一覧表にどのように表示されるかです。

自己資本と他人資本の重要性

まずは現金100万円、左側は会社の中にある財産です。今回資本金とするのは100万円と同じです。株主からの出資です。
100万円だったのを300万円に増やしたいと思ったら、他人資本と言いますが他人からお金を調達します。例えば銀行です。

自己資本というのは株主から見たら自分の資本だから自己資本と言います。それに対し株主から見て別の人から会社にお金を注入することを他人資本という言い方をすることもあるのです。参考までにですので覚えなくていいです。

株主から見ると他人です。第三者からお金を調達します。商売で300万円使えるので、規模が大きくなります。

自己資金だけだと100万円の規模で商売しなくてはいけないのですが、200万円借りることによって3倍です。だいたい3分の1ぐらいが1つの目安になります。

自己資本が3分の1で他人からの資本の注入が3分の2で借り入れを使って合理的に商売を拡大するということがあります。一般論で商売をするなら3分の1くらいは自己資金を用意するというイメージがあります。

起業のお世話や相談を受けるときに、3分の1は自己資金で用意するくらい、お金を計画的に貯められる人は銀行からも信用されます。

一つの目安として300万円の商売をするなら、3分の1近くを自分で資金を注入する、あるいは集めてくる。スタートの段階で忍耐力があるかどうか、ある程度勝負が決まります。

僕は安全策をとって3分の1くらいは自己資金で準備と言います。返済不要の資金を集めてくれるのならオーケーです。銀行は2倍くらいです。
一つの目安です。このような計画性があるとわりと成功しやすいです。

300万円が現金、合計は左側、右側は調達方法です。借入金と資本金を合わせて300万円、必ず合います。

今回は自己資金が100万円で、3倍のレバレッジが商売を拡大できます。借り入れというのは、ビジネスを大きくできるとかちゃんと儲けの根拠があるならば、300万円の投資に見合った利益を得られるのならば、100万円でやるよりも300万円で始めたほうが商売が大きくなりますので、勝てる自信があるならばお金を借りてもオーケーです。

これがいい借り入れです。ビジネスを拡大できるのだけど、自分は手持ちが100万円しかない、200万円を調達して300万円だったらもっとビジネスを拡大できる、世の中に貢献できるというある程度の根拠があるならば、事業計画をしっかり作って、お金を借りて3倍の資金にしてやるほうが世の中のためにもなりますから、 これはいい借り入れなのでおすすめです。

借り入れは絶対にやるなということではありません。株主からの出資による資金調達と融資の資金調達です。今回は事業を拡大するために必要な資金調達についての話となります。

借入金の活用と仕訳処理

借入金とは、ポイントです。金融機関からお金を借りた額のことです。
将来、返済する義務を負います。将来何らかの義務を負うものを「負債」と言います。金融機関の例としては、銀行・信用金庫・政策金融公庫などがあります。
昔は国民金融公庫と言いました。

皆さんがスモールビジネスで、例えば年商一億円以下、数千万単位など小さく始めるときに日本政策金融公庫は非常におすすめなので、まずはここに相談してください。

あるいは、皆さんの知り合いや地元の税理士の先生に相談して、政策金融公庫から融資を受けたいです、と言えばいいと思います。

皆さんおなじみの大きな銀行は大きな会社を想定しますが、小さいビジネスをするときの資金調達は地域密着型の信用金庫などがおすすめだと思います。

例えば、セーフティネットや日本経済成長・発展への貢献、地域活性化への貢献という3つの役割が、日本政策金融公庫を略して日本公庫にはあります。簿記の勉強をするときにも、こういったところからお金を借りるのが借入金なのだなと、実践的になるのでよかったら日本政策金融公庫のホームページを1回見てください。このように融資がたくさんあります。例えば、運転資金4800万円や、運転資金7200万円、このような状況を見ながらビジネス計画を立てます。ご参考になさってください。

政策金融公庫などからお金を借りました。現金が入りました。普通預金になったりするでしょうが、ここでは便宜上現金ですが、現金という資産が増えました。左側です。

仕訳帳に書いて、総勘定元帳に自動的にパソコンで転記されます。パソコン会計の場合は仕訳帳に入力してそのあとは自動転記で現金が入ります。

そして、右側の空いているほうに理由を書きます。借入金、これは負債です。現金が増えた原因は負債、将来返済義務を伴います。借方左側現金100、貸方右側借入金100を入れます。これがお金を借りた場合の処理です。

次、利息を払いました。今度は現金が減ります。現金5万円を払いました。右側貸方現金5と入力します。空いた左側に現金が減った原因ということで、支払利息という費用が発生します。借方左側支払利息5で、左下の費用の部屋に支払利息を書きます。

次は借金を返しましょう。さきほどの反対です。現金が100減りました。貸方右側です。減った原因として借入金が左側です。借入金は右がプラス、左がマイナスで、現金と反対です。

これは深く考えずに、そういうものだと思って3回か5回、白紙に書いてみると頭に入ります。そんなものかで結構です。以上が借入を返済したときの処理の仕方です。

練習しましょう。問題文、①銀行から3,000,000円の創業融資を受け、普通預金が増えた。どうなりますか。左側普通預金が増えて、右側借入金3,000,000、このような感じです。②翌月の返済日に、利息1,500円と借入の返済額48,500円が普通預金から引き落とされた。50,000円が引き落とされます。

見てみましょう。まず利息、右側普通預金1,500が引き落とされ、左側支払利息です。右側貸方普通預金1,500、左側借方支払利息1,500、普通預金という資産が減った理由です。

費用の部屋が支払利息1,500となります。普通預金がもう一つ減りました。48,500が減りました。そして借入金が返済されました。動きを見てみましょう。

普通預金が左、借入金が右です。利息の支払いは普通預金が右、支払利息が左です。次は普通預金が右、借入金が左です。

まとめ

今回の授業のまとめです。
一つ目、出資と融資、資金調達方法の違いです。融資による資金調達が加わった場合は商売を拡大できます。レバレッジ、てこの原理です。

特に政策金融公庫のようなところは、地域経済の活性化や中小企業のサポートをしますので、ちゃんとしたビジネスプランがあれば、わりと貸してくれます。

適当にやったら貸してくれません。ちゃんとビジネスプランを決めて相談をすれば貸してくれることが多いです。

詳しくは私のようなみなさんの知り合いの公認会計士、税理士に相談するのもありです。
借入金200万円を足すことによって商売が拡大できます。現金100万円よりも300万円の方が商売は大きくできます。

2つ目、金融機関から借り入れたとき、左側現金100、右側借入金100です。
次、利息を払った場合、右側現金マイナス、左側支払利息5です。
そして最後、借入を返済したら、右側現金100、左側借入金100のような形で書くということを知っておいていただけばいいと思います。

今回の借り入れにかかる一連の取引について理解を深めてみました。

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