簿記の上達プロセスと弁証法の関係

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「簿記の上達プロセスと弁証法」というテーマでお話をしたいと思います。

哲学の話である弁証法と簿記の話は関係ないようにも思えますが、何事も活用してしまうのが柴山式です。

私は哲学の専門家ではありませんが、人様に物を教えるときに、自分自身の教養を広げておきたいと思って、社会科学的なものや思想的なものなど、自分なりに興味を持って勉強しています。

そのなかで、弁証法というものに数年前に行き着いたのですが、私なりの解釈で、弁証法と「論語」や「易経」は近いということに気付きました。
私は学問的なことを知っているわけではありませんので、一般の社会人としての教養レベルでお話をします。

私は弁証法を色々な企画や仕事に活かしたことが何度もあります。
まず、弁証法というものを簿記を例にして簡単に考えてみます。
「テーゼ」「アンチテーゼ」「ジンテーゼ」というものがあります。
『エヴァンゲリヲン』というアニメで「残酷な天使のテーゼ」という歌がありますが、私はこの歌が好きなのですが、その「テーゼ」です。
「テーゼ(ある主張)」に対して、「アンチテーゼ(反対論・矛盾)があるとき、その矛盾に目を背けるのではなくて、反対も取り込んでしまうのです。
反対を認めて、これらを上手く合わせて、最終的に高い次元にレベルアップすることを「ジンテーゼ」と言います。

そして、テーゼを「正」、アンチテーゼを「反」、ジンテーゼを「合」と言いますが、簿記の場合、「合」は合格の「合」だと勝手に解釈しています。
正と反が交わると新しいものが出来上がるということはすごく大事なことで、反対を取り入れる度量の大きさが必要なのです。

これは身近な生活でも使えるので、あなたも使ってみてください。
あることをしたいと思っていて、それについての反対論が出たとき、反対論を排除してイエスマンしか横に置かないような状況では発展しないということです。
アンチテーゼを排除しまくっていると、よりレベルの高いジンテーゼが出てこないということです。

では、これを簿記に置き換えてお話をします。
ある論点を理解したり、ある例題を解けるようになった(テーゼ)けれども、問題が解けない(アンチテーゼ)という状況があったとします。
論点を理解したら、そのテーマに関しては問題が解けるようになりたいですよね。
あるいは、例題が一通りできるようになれば、過去問も少しは解けるようになるのではないかと期待してしまうのです。
それはテーゼの部分なのですが、アンチテーゼで現実を突き付けられます。
実は過去問は全く解けないのです。
これがアンチテーゼです。

それに対して、シュンとなってしまうか、逆ギレするか、落ち込んでしまうかで、その人の器量がわかります。
あるテーマを理解したり、例題が解けるようになることはすごいことですが、だからといって過去問が解けることには繋がらないのです。
これがアンチテーゼなのです。

ここで対症法がいくつかあります。

状況に応じてアドバイスの仕方を変えますが、ここでいくつかの例を示します。
まずは、経験値を積むこと。
経験(練習量)不足が原因で過去問が解けないのならば、経験不足を補えばいいのです。
また、問題に対する分析力が弱い人であれば、問題を小口化して考えてみればいいのです。
過去問というのは20や30の論点の塊なので、一口に「過去問がわからない」といっても、実はわからないのは問題の一部分だけであって、そのわからない部分を過大評価してしまって、問題の全部がわからないと勘違いしている場合が多いのです。

その場合、問題文を小さく切り分けて、自分がわからない部分がどこなのかを見つけて、わからない部分だけをピンポイントに学習することで克服することができます。
物事を分析するときには小口化をします。
大きな塊の問題を大きな塊のまま見てしまうと、全体がわからなくなってしまいますが、それを一口サイズに切って1つずつ分析して、わかる物・わからない物に分けていくと、わからない部分というのは実は全体の20パーセントくらいである場合も多いのです。

そして、部分的に知識が不足しているならば、テキストの該当部分に戻らせます。
このように、アンチテーゼへの対応の仕方はいくつもあるのです。
行動を改善することによって、レベルアップをしてジンテーゼ(合格)へ行くのです。
そして、この「正」「反」「合」のサイクルは、らせん階段を上るように永遠と続くのです。
「合」というのは、レベルの高い新たな「正」を呼びます。

そして、またアンチテーゼを呼び、さらに高いレベルの「合」になるのです。
このように、らせんを描くように少しずつレベルが上がっていきます。
他にも考え方があると思いますが、私がイメージする弁証法とは、このような、らせん状の発展プロセスであって、実務家としてはこのような弁証法の使い方が最も役に立つと考えています。

柴山会計もこのように発展しています。

矛盾やマイナス面は発展の肥やしとして必要なのです。
「問題が解けない」という意識は、あなたにとって発展のチャンスなのです。
「正」「反」「合」の「合」に到るチャンスだと思ってください。
弁証法とは「正」「反」「合」を繰り返して、らせん状に発展していくプロセスと考えると、簿記の上達プロセスと弁証法はマッチしていて面白いと思いませんか?
これは、簿記に限らず生き方や成功法にも繋がる内容だと思うので、この考え方を実践してみてください。
実践こと成功への近道です。

頑張りましょう。
私はいつもあなたの簿記1級合格を心から応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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