第135回日商簿記1級の工業簿記は良問です

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「第135回の工業簿記は良問である」というテーマでお話をしたいと思います。

11月17日は第135回の日商簿記検定がありました。
受験された方はお疲れさまでした。

これまでの努力は、知識として必ずあなたの頭の中に残って役に立ちますので、自信を持ってください。
これまでの努力について、自分を褒めてあげてください。
結果は後からついてきます。

今回の商業簿記は少し難しかったのですが、得点戦略的に大雑把に言うならば、商簿・会計でだいたい30点です。
きついけれども28点から30点は取ってほしいです。
工簿・原計はどちらも20点を狙えるので、ここで40点以上を取って、合計で70点以上を目指してください。

最近は商簿・会計が30点、工簿・原計が40点というパターンが多いです。
商簿は難しかったのですが、会計学は語句の穴埋めと正誤問題でした。
色々な問いかけに対して自分で考えて、文章で答えるような問題が純粋な理論問題であって、日商検定1級で出題される問題は、多少理論っぽいですが、これは知っているかどうかが問われている、暗記問題です。
なので、これは理論ではありません。

だから、私はこれを理論問題だとは言いません。
記述と論述は違うもので、論述はもっと違う知識が必要になります。
論述というのは、起承転結のようなものを踏まえた理論なので、これは理論ではなく、知識問題と言ったほうがいいかもしれません。

知識問題が増えたので、ネット上では少し驚きの反応があるようですが、私からするとこれは基本に戻っただけであって、大したことはありません。
テキストを普通に復習するだけという、基本に戻っただけであって、これと過去問の組み合わせだけで確実に受かります。
過去問に対しての誤解があるようなので、それに関してはまた別の機会にお話をします。
過去問は予想問題ではありません。

8割くらいの受験生は過去問の使い方を間違えている気がします。

例題とテキストの本文で受かるというスタンスは、今回で確信できます。
そこをきちんとやっていないだけです。
テキストの復習をきちんとしているか、キーワードを覚えているかで決まります。
今回はキーワードを覚えているかどうかで決まるのです。
会計学はまた別の機会にお話をしますが、会計学も過去問とテキストの本文と例題をやれば受かるのです。

商業簿記は難しかったので、足切りをされない程度に12・3点でも仕方ないと思います。
15点いけば御の字です。
会計学は15点以上いって欲しい問題です。

今回は工業簿記のお話をします。
工業簿記は、低く見て18点、できれば20点取って欲しい問題です。
原価計算も確実に20点を取って欲しいです。
なので、この2つで40点以上を取ります。

今回の工業簿記に関しては、「原価計算基準に従って」といっていますが、柴山式のテキストの本文のあちこちに原価計算基準を載せています。
「直接材料費、補助材料費等であって、出入り記録を行う材料に関する原価は、各種の材料につき原価計算期間における実際の消費量に、その消費価格を乗じて計算する」とテキストの最初に書いてあって、板書つきでお話しています。

今回試験に出たのは「材料の実際の消費量は、原則として『継続記録法』によって計算する」という部分です。
「キーワードを抜き出して、3回見て覚えて」と私はいつも言っていますが、それで良いのです。
基準は無理して暗記する必要はありません。
大事なところはテキストに散りばめてあるので、テキストのキーワードを拾えば十分なのです。
これは理論ではなく、単なる知識です。

「材料副費」を答えさせる問題もありましたが、材料副費は簿記2級でやったことです。
なので、これらは本来すべて2級の知識なのです。
日商簿記検定1級といいながら、今回の語句穴埋め問題は簿記2級の範囲なのです。
簿記2級の材料費計算がきちんとできていれば5点取れます。

要するに、テキストの基本に戻りましょうということです。
出来ないからといって悪いとは言いませんが、次回以降はきちんとテキストを確認してください。
こういった足元を見る問題もすごくいいと思います。

柴山式のテキストも他社のテキストも、だいたい原価計算基準をベースにしてテキストを作っているので、ここをしっかりやっておけば、わざわざ原価計算基準を丸暗記する必要はないのです。
一番怖いのは、今回、「原価計算基準」という言い方をしたから、原価計算基準を全部覚えようと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、全部覚える必要はありません。
それをやってしまったら、泥沼にはまってしまいます。

だから、原価計算基準の暗記は、あえて「要らない」と言います。
テキストを丁寧に復習すれば、基準も覚えることができるのです。
テキストには忠実にキーワードを挙げているので、テキストを丁寧に復習してキーワードを頭に入れるだけでいいのです。
特別な対策は必要ありません。
今まで意識していなかった基本に重点を置いて勉強すれば良いのです。
このテキストの1ページ目は、PDFをアップロードしていますので、よかったらご覧ください。

それから、計算例について、問1がすごく良い問題です。
今回の工業簿記の出題者の方に拍手を送りたいぐらい良い問題ですので、ぜひやっていただきたいです。
費目別計算の全体像が分かって、工業簿記の全体像が分かるような基礎的な理解が問われています。
これが出来ないということは、「基礎力の練習をもう少しがんばりましょう」というメッセージだと思います。

私も下書きを書いてみましたが、勘定体系が分かるすごく良い問題です。
主要材料費と買入部品費は直接材料費になるということを知っておけば良いのです。
主要材料は今回求められていませんが、差し引きで出してみました。
材料の払出というのは簿記2級でもやっていますが、直接材料に行く分と間接材料に行く分があります。
間接材料のなかに消耗品とかがあります。
棚卸減耗は間接経費ということなどの基礎知識がすべて問われている良い問題です。
賃金勘定の分析は、今回は月初と月末の未払いが分かりませんが、そこは“?”でいいのです。

今から20年くらい前の出題形式に戻っているのです。
木を見て森を見ずではなくて、木を見たすごく良い問題です。
1990年前後の問題に回帰している、非常に良い問題です。
勘定連絡と費目別計算が広く浅く分かるという問題です。

最後に売上から逆算するというやり方も昔の過去問では結構出ています。
最近の過去問には出ていないけれど、第85回とか95回ぐらいの問題をこのテキストの例題に反映させているので、古い過去問の類題も入っているのです。
30回ぐらい前に遡っても対応できるように例題を作ってあるので、例題と最近の過去問を組み合わせればどんな問題でもある程度対応できますから、大丈夫です。

新しいことをやる必要はありません。

あくまで基礎力です。

この下書きもダウンロードできるようにしてありますので、参考にしてください。
下書きメモを書いてみましたが2・30分で書けます。
45分のうち30分以内にこの計算を終わらせて、15分で問2と問3をやります。
特に問2は5分でできます。

私のテキストのキーワードを押さえていれば、5点は取れます。
問3は記号選択があるので、部分点を拾えれば20点はオーバーします。
今回の工業簿記は基本に戻った良い問題だと思ってください。
多くの専門学校や市販本の簿記1級テキストというのは、原価計算基準をベースにして、きちんとキーワードを載せているので大丈夫です。
新たに原価計算基準を1から覚える必要はありません。

テキストの復習をきちんとやることが、「理論」と言われているものの対策の王道です。
今まで以上にテキストの復習をマメにやって、基本に返ってコツコツ勉強しようということを改めて意識させられた、非常に良い問題です。
柴山式ならば、「テキスト本文のキーワードの地道な復習」「例題」「最近10回分ぐらいの過去問」の3点セットで受かるということを改めて確信できる良い問題だったと思います。

私はいつもあなたの簿記1級合格を応援しています。
頑張ってください。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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