135回 1級商業簿記 セール・アンド・リースバック 

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「第135回商業簿記 セール・アンド・リースバックとテキスト例題の関係」というテーマでお話をしたいと思います。

セール・アンド・リースバック取引というのはリース取引のなかでは応用論点で、10年以上前に私が専門学校で講師をやっていたときには、セール・アンド・リースバック取引は簿記1級で出るというイメージがなかった論点です。

当時、セール・アンド・リースバックというのは、公認会計士試験の論文式で出ていたような論点なので、それを考えると簿記1級というのは最新の理論や高度な話も出てきているのです。

大変とも言えますが、高度な理論を垣間見ることができるという、前向きな捉え方もできます。

セール・アンド・リースバック取引は高度な取引ですが、できれば得点をしてほしい論点です。

135回の商業簿記では、損益勘定と繰越試算表という、「決算3勘定」と言われている問題で、いわば損益計算書と貸借対照表の原型みたいなものです。

大陸式簿記法ならば「残高勘定」に相当しますが、要するに「損益項目」と「残高項目」の一覧表を作るということです。
決算整理後残高試算表の応用形です。

今回のセール・アンド・リースバック取引に関しては、リース債務の残高とか減価償却費も影響します。

それから、長期前受収益にも影響するので、今回は「リース債務」と「長期前受収益」の2つは取ってほしい論点です。

今回の簿記1級の商業簿記は少し難易度が高いので、セール・アンド・リースバック取引でも得点をしてほしいです。

ただ、柴山式も含めて、世の中の教育機関はそのようなトレンドを踏まえていますので、安心してください。

セール・アンド・リースバック取引に関するテキストの解説と例題と、ポイントを書いたメモを、アメブロと、私が主宰している“bokikaikei.info”という日商簿記検定のご案内サイトに掲載しています。

また、YouTubeのほうには、PDFでダウンロードできるように関連リンクを貼っておきますので、良かったら参考にしてください。

簿記1級レベルのセール・アンド・リースバック取引はこれで足りると思います。
セール・アンド・リースバック取引のポイントは3つあります。

まずは、いったん固定資産を売却して、それをすぐに借りるということです。
これは実務であることです。

昔、私が監査法人にいたときに、連結グループで、親会社が子会社との間で子会社の資金調達のために、いったん子会社から親会社に不動産を売ったことにして、それをバックするというような、セール・アンド・リースバックに近いような取引をしたことをあります。

いったん売って売却代金をもらいますが、その物件はそのまま借りていることにして使用して、賃借料の名目で払うのですが、その実態は利息込みの分割返済という、金融取引に近いものです。

私は、こういった実務的な話も若干折り込みながら講義を展開するのが好きなのです。
ポイントは、固定資産の売却損益は特別損益にせず、いったん長期前受収益または長期前払費用として計上します。

135回の試験も私のテキストに出ている例題も、長期前受収益になるケースです。

この金額はできるようになってほしいです。

次に、減価償却費の割合に応じて配分を加減します。
だから、備品勘定が定額法で原価償却をしているならば定額法、定率法だったら定率法で減価償却費に加算・減算します。

次に、所有権移転の場合、売却価額は貸し手の購入価額になりますが、これはテキストの81ページの解説で書いてありますが、こういうところを理解していただきたいです。

テキストの例題27と135回本試験の主な違いですが、基本的には、やることは同じです。
だから、例題27をしっかりやっていただければ、本試験の問題も解けるのです。

例題27の償却方法は定額法ですが、本試験では定率法になっています。
200パーセント定率法という、現在の税法に従った方法ですが、問題文に忠実に従えば大丈夫です。

2つ目に、売却益の金額が例題は22,000ですが、本試験では1,600の長期収益になります。
この金額を、後で定率法に応じて配分すればいいのです。

3つ目に、取得原価は例題では600,000ですが、本試験では5,600ですので、スタートの金額が変わるというだけです。

長期前受収益とリース債務の計算は配点がきやすいところなので、多分ここで2点・3点はゲットできますので、がんばっていただきたいです。

そして、テキストにもセール・アンド・リースバック取引の会計処理についての解説がでていますが、なぜセール・アンド・リースバック取引をするのかというと、色々な考え方があります。

1つは、リース資産の維持管理をリース会社が行うので管理業務が楽になることと、もう1つは、売却していた代金を有効に活用できるということで、この金融取引の側面というのは結構大きいのです。

そして、繰延経理した長期前払費用または長期前受収益などは、リース資産の減価償却費の割合に応じて配分します。

このようなテキストの内容を画像で示してあります。
そして、例題についてですが、余計な問題をこなす必要はありませんので、1個の問題をしっかりやってください。

リースの場合は、解説として、リースの支払いスケジュールは一度検討したほうがいいと思うので、こういうことを踏まえて、例題27と解説を、必要に応じて2回3回4回と繰り返し読み込んで、繰り返し解いていただければ、今回の本試験も問題文の指示に従って解くことができたのです。

このように、基本に返りましょう。

新しいことをやる必要はありません。

今、あなたがやっている勉強で、テキストのポイント、キーワード、例題、問題で大事なものを1つ絞って、それを徹底的に解きます。

そして、解説を含めて理解を深めます。
セール・アンド・リースバック取引も含めて、基本に立ち返って勉強してみましょう。
今後の勉強の参考になれば幸いです。

私はいつもあなたの簿記1級合格を応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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