がんばろう日商簿記1級合格、今回は「連結 期首商品の未実現利益と柴山式総勘定元帳」というテーマでお話をしたいと思います。

簿記1級

先日は連結について、期末商品の未実現利益の控除を、柴山式総勘定元帳を使って説明したやり方が非常に好評で、メールでも「非常に分かりやすかった」という喜びの声をいただきました。

みなさんが簿記1級の勉強をする過程で悩んでしまう内容について、柴山式総勘定元帳を用いて解説しようと思っています。

期末の棚卸資産の未実現利益の調整をやったならば、翌期になってそれが期首商品棚卸高の調整、いわゆる“繰商・仕入”ということになります。

簿記の勉強をすると、期末商品は「借方繰越商品、貸方仕入」とやって、仕入勘定から繰越商品に振り替えます。

簿記3級でやる内容ですが、みなさん苦手にします。
そして、翌期になって、期首商品棚卸高はどうなるかというと、繰越商品の貸方に書いて引いて、借方は仕入になります。

期首商品の調整について、個別決算でやったことをどのように連結で調整するかという話をします。

先日お話しした期末商品の調整をおさらいしながら、翌期になったらどうなるかということを1つのストーリーとして説明します。

まず、子会社の期首商品(×1期)を0だったとします。
子会社による親会社からの仕入を「ダウンストリーム」と言いますが、親会社からの当期仕入は220あって、買掛金は220です。

ここには10パーセントの内部利益(未実現利益)が乗っている状態です。
220の10パーセントなので、20が内部利益です。

「売上原価(当)」と書いてあるのは、当期商品仕入高の売上原価です。
「売上原価(末)」と書いてあるのは、期末商品棚卸高です。

親会社から220の商品を仕入れましたが、親会社は元々200で買っているものです。
連結全体では、親会社が200で買ったものを内部取引として子会社が220で仕入れました。

このうち20は内部利益ですので、もし、このまま在庫として残るのならば、連結のグループの外に売れなければ実現しません。

これは本支店会計と同じです。
本店から支店に売ったものは、支店から外に出なければ未実現になります。

だから、内部利益を控除するのです。
この220は期末に売れ残ったとします。

期末は「貸方売上原価(末)220、借方繰越商品220」となります。
この結果、貸借対照表上、子会社の個別決算で繰越商品220、すなわち、商品勘定220は個別では間違っていません。

しかし、親会社のほうには20の利益が乗っています。
この20の利益は個別決算では実現しますが、親子会社間でまとめた連結グループで見たら親会社の倉庫から子会社の倉庫に移動しただけで20の利益を乗せるはおかしいという、本支店会計と同じ理屈です。

したがって、この20は架空の利益なので、消すことになります。
売上原価(末)の220のうち20が過大なので、これを戻します。

連結決算上は「借方売上原価(末)20、貸方繰越商品20」とします。
これはあくまで連結決算上の処理なので、個別決算には関係ないことに留意してください。

これが、「借方売上原価20、貸方繰越商品20」と言っている市販のテキストの本質です。
結局、売上原価を「当期商品仕入高の売上原価」と「期末商品棚卸高の売上原価」に分ければ簡単だということです。

当期商品仕入高の売上原価は220で変わりません。
これは成果連結の照合勘定で、後で親会社の売上高と相殺します。

売上原価の期末で220引きすぎたのを、連結上、20を足し戻して200にしたというだけです。

貸方売上原価(末)200、借方繰越商品200というふうに“連結上は”しただけです。
でも、個別決算は220で合っています。

ここからが今回のテーマですが、翌期(×2期)では、個別では220でいいのです。
つまり、連結上の修正は全く反映されません。

これは総勘定元帳ですから、連結の前期の20のマイナスは全く反映されませんから、そこで開始仕訳です。

開始仕訳は資本連結なのですが、前期の決算をもう一度再現します。
つまり、前期にやった「借方売上原価(末)20」に相当する仕訳を再現します。

しかし、この再現を×2期の損益計算書の売上原価に反映させてはいけません。
売上原価というのは損益項目ですから、0にリセットします。

したがって、×1年度の売上原価はもはや×2年度の売上原価ではなく、去年の損益の修正なので、繰越利益の期首残高の修正です。

これが「繰越利益期首残高の修正」と言われているものです。
これが分かると、新しい会計基準で学んでいる、いわゆる「会計上の見積の修正」とか「修正再表示」みたいな形で、過去に遡って修正する意味がわかるのです。

去年の損益を今年の売上原価にしたらまずいです。
去年の損益は、回り回って、損益振替・資本振替で繰越利益剰余金が増加しているので、繰越利益剰余金の期首残高が連結上過大なのです。

こういう説明をすると分かりやすくなるはずです。

連結上、去年の繰越商品は200なので、220の売上原価から20を引くということは、費用の減少が個別上多すぎたので、利益が増えてしまうのです。

その分だけ繰越利益剰余金に溜まっているはずなのです。
個別上は220でもいいのです。

繰越商品が20多いということは、繰越利益剰余金も20多いということです。
これがピンと来ないから連結が苦手になるのです。

したがって、繰越商品が220で20過大ということは、繰越利益剰余金も20過大なのです。
これを消さなければいけません。

どうするかというと、連結上は、再現をするけれど今年は売上原価の期末はできません。
去年の売上原価の期末は、今年は、回り回って繰越利益剰余金の期首の過大に繋がっているので、再現する仕訳は「借方繰越利益20、貸方繰越商品20」となります。

問題は、個別決算上、期首商品は決算で「貸方繰越商品220、借方売上原価(首)220」とやって、消しているはずです。
これがポイントです。

個別上の期首が220ならば、個別の決算で「貸方繰越商品220、借方仕入220」とやりますが、この「仕入」は売上原価期首のことです。

そうすると、この売上原価期首が過大になります。
だから、これを取り消します。

この取り消すことを、一般のテキストでは「実現した」という言い方をします。
要するに、払い出して売上原価にしたということです。

ここはよく考えると、簿記3級で丸暗記した“仕入・繰商・繰商・仕入”の意味を本気で考える機会になるのです。

一般的には「実現」というふうにサラッと言っていますが、払い出したということが「実現」なのです。

払い出したとみなして費用に落としているのです。
220は払い出しすぎなのです。

だからこれを連結上、戻すのです。
その場合、「貸方売上原価(首)20、借方繰越商品20」とします。

これで正しく200の振替になりました。
結局は、連結の親会社が元々仕入れた200のベースに戻すということです。

売上原価(首)は、本来ならば借方200なのです。
でも、220と過大に計上しているので、「貸方売上原価(首)20」として、繰越商品の貸方も220と引きすぎているので、戻しましょうということです。

その仕訳が「借方繰越商品20、貸方売上原価(首)20」となるのです。
まず、前期の再現をした上で、こんどは個別決算で「貸方繰越商品220」「借方仕入(売上原価(首))220」のそれぞれ20が多いから、その分だけ反対に書いて直すということです。

このやり方をぜひ理解してください。

これは、専門学校で私が会計士の上級講座の基礎レベルのところでやって、みなさん連結が得意になりました。

このように、柴山式を使って未実現利益の調整を丁寧に見ていくと、理屈が分かるようになります。

そして、一般のテキストでは「実現した」といいますが、つまり払い出したことによって、費用にした金額が20多すぎるから、その20を調整するのが、貸借対照表上は「借方商品20、貸方売上原価20」となります。

期首の売上原価で借方が20多いのを貸方で20引いて、元々親会社が外部から仕入れた原価ベースの200に直すというのがポイントなのです。

これは、理解しないで丸暗記している人が多いですが、この機会に“仕入・繰越商品・繰越商品、仕入”という、繰越商品の決算整理仕訳の本当の意味を考える良い機会になると思うので、この簡単な事例で取り組んでみてください。

あなたの連結決算の処理がレベルアップすることを私はいつも応援しています。
あなたの簿記1級の勉強に少しでも役に立てれば幸いです。

頑張ってください。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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