デリバティブ取引で代表的な2つのテーマである先物取引とオプション取引の会計処理について学ぶ前提として、それぞれどのような違いがあるのか、一見似た取引なのですが、その大きな違いについて初めてでも分かるように簡単に解説をしてみたいと思います。

デリバティブ取引というのは金融派生商品といって、例えばドルや金などの色々な商品(資産)に対して派生して出てくる取引で、有名なものとしては先物取引があります。

先物取引というのは将来の取引価格を今決めてしまうのです。
先物取引に対して、リスクを限定するという意味合いでもう1つ大事な取引がオプション取引です。

オプション取引は権利の売買です。
その他には、例えば簿記1級で学習する内容としてはスワップ取引というものがあります。

今回は、どちらも似ていて初心者の方が迷いやすい先物とオプションについて、この違いを事例を使って明らかにしていきます。
例えば今は10月1日として、1ドルが100円だとします。

今日売り買いするのではなくて、11月や2か月後といった将来の期間におけるドルを売りたいというときに、11月のドルの売り価格を100円としたい場合、これを売り先物といいます。

一方、将来に100円で買うと決めたならば、買ったら売らなければいけませんので、売るときの価格が円安になって105円になっていれば儲かります。

もし買う予約であれば、買いもできるし売りもできます。
買いならば100円で買って将来110円になれば10円儲かります。

今は100円で買うという約束をして、将来売るときに90円の円高になったら損をします。
売りから入ることも買いから入ることもできますが、今回は売りでいきます。

将来の取引価格を売る約束もできます。
これを売り先物といいます。

今は10月1日ですが、将来の取引価格を予め決めることを先物取引といいます。
なので、将来1ドルを100円で売ると約束します。
この約束は必ず果たします。

たとえ105円のドル高円安になろうと95円のドル安円高になろうと、必ず反対売買、つまり買い戻して、そのときの将来の時価で買って売らなければいけないのです。

ドルを持っていないのに売る(空売り)ということは、そのときに調達をして売る約束を果たします。

ということは、今100円で売ると決めたら、例えば11月30日に反対売買をします。
売るためには買わなければいけません。

だから、将来の11月30日にそのときの相場で買います。
例えばそのときに105円というドル高円安になっていると、100円で売らなければいけないので105円で調達しますので、5円値上がりしていますから5円の損失になります。

損をしても必ず買わなければいけません。
不利な方向に価格が変化しても必ず取引を実行しなければいけないのが先物のつらいところです。

しかし、反対に将来予定通り95円にドル安円高になれば、今度は100円で売ると決めていて95円で買うのですから5円の利益になります。

これが先物取引で、リスクがあります。
思った通りに価格が変動しないと損をします。
先物は五分五分で損失が出るし利益も出ます。

それに対してオプションは、オプション料という費用は掛かりますが、将来自分が思った方向と違う方向に行ったときにはその権利を放棄して取引を離脱することができます。

権利を放棄すれば取引をしなくても良いので、リスクを限定できるのがオプション取引です。

例えば10月1日に将来のドルを売りたいというときに、売る権利を購入しました。
売る権利を買うということもできるし、売る権利を売ることもできますが、通常はオプションを買います。

売る権利も買えるし、買う権利も買いますが、買う権利はコールオプションといいます。
今回は売る権利のお話です。

将来有利な方、要するに100円で売ると決めて95円にドル安になればいいのです。
95円に下がれば当然儲かりますので、その場合は売る権利を行使します。

反対に105円というように不利な方向に行ったら、放棄して買わないという選択肢が持てます。
不利な取引をしないという権利を持っているのがオプションなのです。

売るほうはプットオプション、買うほうはコールオプションといいますが、今回は100円で売るというプットオプションを買いました。

そのときのオプション料金は2円とします。
2円を払って将来100円で売る権利を購入しました。

ということは、2円損しているので98円まではオプションはやっても意味がありません。
オプション料は必ず払います。

だから、97円になればオプション料の2円を引いても1円儲かります。
その代わり、98円よりドル高円安の場合は権利を行使しないという場合もあります。

ですから、先物と比べてオプション料の分だけ利益は減りますが、損をしたときの損失が無限にならないので、オプションはリスクが限定的です。

先物に比べて利益は減るけれども、リスクを限定できるので非常に安全という見方もできます。

100円でプットオプション(売る権利)を買って、11月30日に売るかどうかを判断して、そのときに105円にドル高円安になっていたら、105円で買っても100円で売らなければいけないので、取引するわけがありません。

ですから、権利を放棄して買いません。
このとき、オプション料の2円は損しますが、5円の損失は免れることになります。

100円でプットオプション(売る権利)を購入していますが、将来95円にドル安円高になれば、5円の差が出ているので売る権利を行使して、11月30日に95円で1ドルを買って、100円で売る権利を行使します。

95円のものが100円で売れるので5円の利益が出ますが、2円のオプション料との差し引きで3円の利益になります。
この場合、先物だと5円の利益なので多少は利益は少なくなりますが、利益は出ます。

先物取引に対してオプション取引はオプション料という費用は掛かりますが、その代わり自分が思った方向と反対の損失方向に価格の変動が進んだときに権利を放棄できるという点で、オプションのほうが先物に比べて利益はやや少ないですが、リスクは制限されているという意味で安全な取引なのです。

このあたりの背景を知った上で簿記1級のデリバティブの取引について、先物の利益やオプションの利益の発生状況を意識して会計帳簿の記録を考えていただくと勉強しやすくなると思います。

ぜひ参考になさってください。
私はいつもあなたの日商簿記1級合格を心から応援しております。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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