第138回会計学はテキストの読み込みで対応可能です

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「第138回会計学はテキストの読み込みだけで十分に対応可能です」というお話をしたいと思います。

11月16日に第138回の1級試験が終わりました。
受験された方の感想を聞いてみて思ったことですが、第二問の連結包括利益計算書を見てショックを受けた方には厳しいことを言いますが、まだ修行不足です。

あれは、実は10点満点中4点取れます。
あれが全滅だという人は、まだ甘いです。
あの問題を全滅させてはいけません。あれが全滅してしまう場合は、今回は合格するようなレベルに達していなかったということです。

まずは精神的な面で、すぐにショックを受けてしまうのはダメです。
普段の修行が足りないのです。

もう1つは、空欄がなぜ項目にあるのかということを考えて欲しいです。
あれは、出題者の立場からすると、点数をあげたいと思って設けているのです。

大手専門学校の配点予想を見ましたが、あそこに配点を乗せないのはダメだと思います。
ダメとは言いませんが、私はあそこに配点がくると思っています。
あそこに配点しないと、合格率が変わってしまいます。

私は5点来てもいいと思いますが、バランス上、10点満点だと思うので、6点ぐらいが金額だと思いますが、金額はほぼ全滅だと思います。

今回も1万人以上受験していると思いますが、おそらく、あの金額が解答できる人は1パーセントもいないような気がします。

普通に勉強していたら、あそこまでは準備できるわけがないです。
もちろん、できたらそれは素晴らしいですが、あそこまで準備する時間があるのなら、他にやることがあります。

社会人が多いので、社会人の方が連結包括利益の金額まで出すのは、経理でもやっていない限り、私はほぼ不可能だと思います。
それぐらいあそこは特殊でした。

1級のレベルを超えているので、あの金額で合否が決まるならば、問題の質としては1級のレベルを逸脱していると思います。

ああいう問題を出すことは悪くはありません。
ただ、出題者的な考え方をすると、そこに配点が集中するとは考えにくいのです。

その部分は出題者の方も考えてくれていて、連結包括利益のところに、左側の項目に7か所の空欄がありましたが、そのうち4か所ぐらいは配点が来ると思います。

4つぐらい配点あげないと、第二問が全滅だとさすがにきついです。
そうなると受験生がさらに減ると思います。

商工会議所の側も、受験生の数が年々減っているのはわかっているのです。
ここで合格者が出なければもっと減ってしまいます。

ですので、まともなマーケティング感覚があるならば、あそこに5点配点をあげます。
とりあえず項目だけでも記入すれば引き上げてあげるというメッセージを出さないと、1級の受験生が離れていってしまいます。

連結包括利益の金額の部分を完璧にしないと受からないような試験ならば、その試験自体の存在意義が疑われます。

良識のある配点基準ならば、という前提ですが、受験生が減っている傾向を考えるならば、第二問の項目には最低でも4点は配点があると思います。

大手の専門学校出している配点基準のなかでは、第二問についてはTACさんの配点を私は支持します。

あそこは4点入れるべきだと思います。
ただし、TACさんと見解が違うのは、第三問は2点ではなく、私ならば4点にします。
そうでなければバランスが悪すぎます。

大問が3つあって、第三問が2点というのはおかしいです。
4点あげないとおかしいと個人的には思います。

結論を言うと、会計学の配点は第一問が11点、第二問が10点、第三問は4点がバランスが良いと私は思います。

第二問については、10点のうち5点は項目の暗記にあげたいです。
ということは、今回の会計学は、合否に関係する部分では数字の計算がほぼありません。
5点ぐらいしか無いはずです。

8割は用語を覚えているかどうかが勝負です。
なので、今回は用語の暗記の問題なのです。
ここに気付けば、実は会計学はそれほど難しくはないのです。

今、書き出してみましたが、第一問は11個あって、これは確実に1点です。
11個のうち10個は柴山式のテキストに載っているものです。
残りの1個の割賦基準はどちらかというと財務諸表論の世界なので、割賦基準は答えられなくてもいいです。

私が作っているこのテキストは全部で294ページです。
受講されている方は、これだけ薄くしている意味を考えていただきたいです。
これを隅から隅まで読むように言っていますが、このテキストを読めば11個中10個は出てくるのです。

たとえば、空欄aとbの「時価ヘッジ会計」、「繰延ヘッジ会計」はテキストの234ページに載っています。
今回、ひっかかる人が多いのは、テキストには繰延ヘッジが原則で、時価ヘッジが容認というふうに覚えているので、先に繰延と書いた人は入れ替えてしまって間違えますので、よく読んでください。

当期の損益に反映させない方法と書いてあるので、ここをきちんと読めば、空欄aが時価ヘッジであるとわかるはずです。
ここは国語力の問題です。
知っているのに引っかかった人がいました。

このように、どれもテキストに出ています。

空欄cの「秩序性」もテキストの158ページに出ています。
「簿外資産」「簿外負債」も271ページに太字で出ていますので、太字のところを中心に読んでいただければできる問題です。

それから「税込方式」「税抜方式」についてはできなければ論外です。
このように、今回は基本的部分が多いのです

なので、第一問は10個できます。
第二問は178ページのひな形を見ていればできます。
きちんと見ていないだけなのです。

私は、財務諸表の科目は書けるようにしなさいと講義で言っているはずです。
言った通りにやっている人は受かります。

その他の包括利益とか、その他有価証券評価差額金とか、為替換算調整勘定、あと、包括利益のところなんて場合によっては1点つきますからね。
書くだけでいいのです。

これで4点は取れるはずです。
275ページにその他包括利益の事例が出ていますので、きちんと用語をチェックしてください。
ここまでやることが「テキストをきちんとやる」ということなのです。
だから薄くしているのです。

通常なら1,000ページはあるものを300ページ以下にしてあるのは、隅から隅まで用語をチェックして欲しいという意味もあります。

1級に関しては、商業簿記の対策で会計学はできるのです。
難しくもなんともないです。
できないのは、単にテキストの読み込みが甘いというだけです。
心配しないでください。

新しいことをやる必要はないのです。
このテキストの用語をきちんとチェックすれば、今回の会計学は18点は取れるのです。
第三問も全然難しくありません。

58ページにも四角で囲ってありますが、減損会計の減損の判定です。
「割引前将来キャッシュ・フロー」の「・」があるか無いかはどうでもいいです。
それと「総額」という言葉も、あってもなくても本質には関係ないので採点上は正解とすべきです。

「帳簿価額」は「適正な帳簿価額」と書いてもいいですし「帳簿価額」でもいいです。
第三問は4点のはずです。
私だったら4点とします。
2点だとすると、第三問として独立させる意味がありません。

そうすると、10点、4点、4点で18点になって、3点失っても15点は取れます。
ということは、会計学は15点取って当たり前なのです。

ここが15点取れないということは、あなたの勉強の仕方が間違っていると思ってください。
もし柴山式のテキストで勉強をしていて点数が取れないならば、テキストの内容が不足しているのではなくて、あなたの読み込みが甘いだけなので、テキストはきちんと読んでください。

5回ぐらい読み込んでおけば苦労はしないはずで、10点切るかどうかなどという心配をする必要もないはずです。
本質は連結包括利益なんかではありません。

第一問で10個を取って、第三問で4個を取れば、これで14点になります。
商業簿記も18点ぐらいは取れる問題なので、15点と18点で33点になります。
工業簿記については、柴山式の勉強をされている方の多くは25点ぐらい取っていますので、原価計算が20点だとしたら工簿・原計合わせて45点です。

ですので、今回は本気になれば8割取れるのです。
今回の工業簿記はテキストの例題に近い問題が出たので25点狙えました。
その代わり、テキストをきちんとやってください。

今回の会計学が15点いかなかった人は、全員イージーミスをしたと心得てください。
この問題は難しくありません。

難しいのは連結包括利益の計算だけで、あそこの配点は5点ぐらいのはずです。
あそこの配点を10点にするということは、今の簿記検定の受験人数の減少傾向に気付いていないだけですから。

センスがあるならば、本来は理論に配点がこなければおかしいです。
合格率を10パーセントぐらいにしたいならば、項目と金額の両方が合っていないと配点しないということはしません。

あそこは救ってあげないと受験生が可哀想です。
項目を空欄にした人はテキストの187ページの読み込みが甘いだけなので、反省してください。

ひな形を覚えるというのは大事なことです。
テキストをきちんと読み込むことがいかに大切かということかが、今回の会計学で学んでください。

少し厳しい言い方をしましたが、それぐらい丁寧な読み込みをすればいいというだけの話です。

しかし、多くの方がテキストの読み込みが若干甘かったのも事実です。
今回の会計学で10点いくかどうかで不安になっている人は、テキストの読み込みをもっと丁寧にすればいいのです。

このテキスト以外の教材を無理してやる必要はありません。

あるいは、柴山式以外でも、今お持ちのテキストの他に新しいことを無理してやる必要はありません。

ただ、量が多いと思ったら、もっと絞った教材を使ってください。
もう1度言いますが、今回の会計学は難しくありません。
難しいのは第二問の連結包括利益の金額だけです。
そこを過大評価してはいけません。

わからない問題が出るとすぐに過大評価をする人がいますが、それは違います。
そういう問題は、捨てるのです。
それが、合格する秘訣です。

今回も70点から80点で合格するチャンスはありました。
イージーミスをしても75点か73点ぐらいで合格すればいいのです。
ぜひ頑張ってください。

年2回のチャンスがあるのが日商検定の良いところです。
今回の問題は特殊ではなく、標準的な問題だと思ってください。

私はいつもあなたの1級合格を心から応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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