会社の設立(たのしく学ぼう日商簿記3級の超入門 第1回)

まず最初のポイントです。なぜ私たちは会社を作るのでしょうか。

個人事業のメリット・デメリット

まずは会社を作るという話の前に、一歩手前の段階で個人で商売を始める段階を考えてみましょう。

個人事業とも言いますが、個人で始める場合のメリット、どんなことがあるのか。
小さく始められる。あるいはやりやすい。

家計簿はあなたが今日思い立って、「よしこれからすぐに商売を始めよう」と思ったら、その気になれは明日からでもすぐに商売を始められます。

例えば、最近ではホームページはすぐに作れますから、ホームページを作って、商品を載せて、SNSなどで告知すれば売り上げが立つ可能性もあります。
もちろん商品を持っている前提ではあります。あるいは商品を仕入れる、知り合いから安く、仕入れてきてほしい人がいたら売ってもいいわけです。

あるいは、お肉屋さんとか八百屋さんとか、魚屋さんとか、そういったお店をやることもできますし、あとは百円ショップ、あるいはラーメン屋さんなど。

少し時間がかかりますが、2~3か月かければよいです。おそらく最初の3か月の準備期間でまずはお店に合った物件を見つけて、すぐ商売を始めることができます。

その気になれば、早ければ1か月以内で商売ができます。
インターネットならば1週間もあれば準備できるかもしれません。

ということで商売は割と個人でやるのは早く始められます。
ただ一方でデメリットもあります。簡単にできるということはいろんな問題もあるわけです。

事業の所有者、これは要するに個人事業なので自分で限られた金額、たとえば100万円かもしれませんが、限られたお金を事業をつぎ込んで始めます。

事業の所有者として個人としてやりますので、借金とか、責任のすべてが個人に来ます。
事業の所有者、出資者、負う側として事業でその商売で負った借金はすべて個人として関わっていきますので、個人としての借金を返すのであります。これは無限責任と言ったりします。

もう1つのデメリットです。やはり1人でできることには限界があります。
商売がうまくいきそうだからもっと大きくしたいと思っても、自分の持っているお金は少ないし、個人の信用だと銀行からお金を借りようとしても限られています。

そんなにいきなり何千万も借りれませんから、借りれても100万200万円です。
一気に何億みたいな仕事はできません。出資するのは自分だけなのです。いろんな人からお金を出してもらえばいいけれども、個人であることが多いので規模を大きくしにくい。
すぐできるのだけれども、規模を大きくするときにすぐできない。
こういったデメリットがあるということを知っておいてください。

会社設立のメリット

一方、会社というのは個人のデメリットを長所に転換します。
株式会社制度を前提としましょう。

メリットです。実は、会社という別の人格を作ります。
わたしたち個人の人格、これを自然人といいますが、法人というと法律上の人を作ってしまう。

人の集まりは実体がないけれども法律上の権利とか義務といった帰属主体になります。

個人の借金とは別に、会社の借金を負わせられるのでちょっとほっとしますよね。
ということで会社の借金と個人の借金は別なので、会社が万が一、1億円の借金を負っても原則として、出資者である元の持ち主である株主は、お金を返せとは言ってきません。

こういうのを有限責任といいます。株式投資をした時に大きな会社があって、何十億の借金を負ったときにその借金のお金を貸した人が「あなた株主の人にお金返して」と言われたら嫌でしょう。それがないから安心して出資できます。これを有限責任といいます。これが大事です。

簿記の世界ではあまり言わないけど、背景にこれがあります。
みなさん安心して株式投資をして、うまくすれば数倍もうかることがあるわけです。
ハイリスクでハイリターン。でもリスクというのも、出資したお金を全部放棄すればそれ以上は借金は来ないというのが会社のよいところです。

自分以外の人に出資してもらえば規模を大きくできます。これが株式会社制度のポイント。
だから事業を大きくする、世界的に意義のある事業で大きくするんだったら株式会社になります。

その代わりに借金が個人とは分離されますので、当然適当に作られては困るので、手続きをしてください。手続きが面倒なのがデメリットです。

ただやはり会社、ビジネス、商売を大きくするとなったら会社形態がいいです。
やはり危険も分散できますから。背景としては「所有」と「経営」の分離があります。
株主である出資者、持ち主と経営者は別人であると知っておいてください。

資本金、出資という話がありましたが、資本金の意味を考えましょう。
株主から事業を始めるために出してもらう元手のこと。

例えば競馬で考えるとわかりやすいです。馬券を買わないと競馬で当たらないです。
馬券を買うお金を元手と思ってください。どっからお金を持ってきて馬券を買う、投資するお金、これが資本金です。

もちろんゼロになることもあります。リスクマネーだからです。
でも当たれば1万円が10万とかになることがある。会社はもちろん事業をして、商品を売ってもうかればその配当、株を高く売れます。

そう言ったメリットがあるから株式投資をするわけです。

会社の資本金の意味

株主から、事業を始めるために出してもらう元手。会社の側からすると預かっています。
株主からすると預けています。会社からするとお金が増えます。それは資金調達、これを資本金といいます。

「商売を始めるための元手(資本金)」として、現金300万円が会社に入ったとするのならば、300万円の現金が増えた、それはなぜかというと調達方法は株主からの資本金ですといった感じです。

その状態を表にしてみましょう。
例えば100万円のお金が会社に入りました。左側が会社の側です。

自社の財産が左側。これ実は借方といいます。会社の中に財産がありました。

この財産の姿の合計100万円はどうやって手に入れたのか調達方法と一致します。
今回は資本金しかないです。馬券を買う元手。軍資金です。
株主から軍資金として100万円預かりました。

この株主との関係、貸して資金を出す、銀行だと貸し手。貸方って言います。
もともとは違う意味もありますが、気にしないでください。

左側が会社側、借り手、借方。右側が出し手、お金を出す側との関係、貸方。
本当はいろいろな言い方がありますが気にしないです。

左側は会社の側、財産の姿、あるいは資産の運用状態。どういう財産で持っているのか。
現金という形で100万円持っています。

どうやって調達したのか。資本金として100万。左側の財産の姿と調達方法の合計が左と右で一致します。

これを貸借平均の原理といいます。
例えば現金100万円あるのに、資本金90万円と言ったら気になるでしょう。
10万円は盗んできたのか、拾ったのか、宝くじ当てたのかわからないでしょう。
必ず左と右の合計が一致します。

それから例えば会社にある現金100万円は、右からこう資本金が100万入ったというイメージです。今回は元手しかありません。

利益とか借入金とか別途ありますが、それはまたいずれやります。

今は資本金しかないです。資本金というのは株主から預かった、株主との関係で株主から出資のお金が右側にある。財産の姿は現金100万、左右左の意味で一致します。

資本金の仕訳と転記

現金が増えたときの仕訳の転記していきましょう。
仕訳は簡単な役割を言いますけど、これパソコンの入力画面なんです。昔は手書きでした。

左から右に流れがあります。現金100と左半分、右半分、書くところがあります。
今回右側に書けますね。左に書くということは現金が増えたら左に書く、減ったら右です。

今、左に書いてあるので増えたということです。仕訳の左側に入力して、エンターを押して、コンテンターを押したら自動的にパソコンの裏側に大きいシートがあると思ってください。

まず十字を切って左上が資産の部屋。右上が借金、負債と純資産、元手の部屋です。
右下が収益、もうけ。左下が費用。こんな風なモノがぷかぷかと浮いているイメージです。

そして資産、財産の部屋の中に現金というTの字があると思ってください。
現金という集計場所。よくT路地で表現されます。これを勘定講座といいます。
現金という金額の集計場所の左をそのまま移します。仕訳の左はTの字の左です。

今度は右側が寂しいですね。空いたほうに増えた原因を書きます。
資本金という、原因を書きます。入力してエンターを押したら今度は右側に自動的に資本金というTの字を右側に書きます。

仕訳の左はTの字の左、仕訳の右はTの字の右。

問題文で確認しましょう。
①しばやま株式会社という会社を作りました。この会社が設立され、現金200万円が株式から払い込まれました。その原因は株式を預かった資本金、商売の元手です。
左側に現金200万円。現金と入力して200万円と打ってエンター押しました。
そしたら現金というTの字を見つけてパソコンが自動的に転記します。AIですらないです。
自動的にプログラムされてます。次に空いたほうが寂しいですね。
原因書きましょう。資本金200と書けるわけです。入力してエンター押しました。
資本金の右側に200の数字が移されました。あとはこんな感じで仕訳と転記をやっていただくのを白紙の紙にTの字に書いたりしてこれをそっくりまねてみてください。

最後、仕訳しました。現金左、Tの字左、さらに財産の状態の一番左に集められます。
現金左に200万、資本金200万。この仕訳、転記、財産の状態を2~3回白紙に書くとイメージが湧きます。ということで仕訳、転記、財産の状態の大きな流れを知っていただくことが今回のポイント、特に現金が増えた左、空いたほうに資本金と書きます。

まとめ

今回のまとめです。
会社を作る目的は事業を組織的に大きくするためにチームで行います。
組織で行い、拡大するためです。借入などの責任を無限にしないということです。
要するに、出資者に、株主の持ち主に対して会社の借入金の責任を負わせない。
有限責任といいます。所有と経営の分離ということも頭の片隅に入れといてください。

資本金とは、競馬で言うと馬券を買うための元手、事業を行うための元手、パチンコの玉を買うお金です。元手、準備資金、軍資金。商売をするために先立つもの。財産が増える最も大事な原因の一つです。

現金が増えたらどうしますか。仕訳は現金入力します。
現金、借方、200。これ借方記入といいますが気にしない。
入力してエンターボタン押したら、自動的に資産の部屋の現金というTの字の主計場所に自動的に左に書かれます。

おまけです。財産の状態、現金左側に100万円ありました。その原因は資本金100万円。これ必ず一致しますので覚えておいてください。

会社はなぜ作られるのか、規模を大きくするため、そして株主、出資者にとって会社の借金が自分のところに来ない、有限責任といいます会社を大きくするため、責任を分離するためです。

資本金の意味は、株式から預かった元手、そして現金が増えたら左側に書きます。
仕訳、転記、財産の状態、このイメージが湧けば大丈夫です。

是非、今回の知識をもとにして次回、どんどんスキルアップして楽しんで簿記の勉強をしましょう。

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