商品の仕入(三分法) (たのしく学ぼう日商簿記3級の超入門 第7回)

商品仕入れの基本と大きな流れ

今回は、商品仕入れのビジネスの大きな流れ、商品を現金払いで買ったときにどのように仕訳をするか、記録をするか、掛仕入のときの仕訳の仕方、転記の仕方、記帳の仕方を学んでいきます。
ではビジネスの大きな流れを理解した上で、仕入れの仕方、記帳の仕方を学ぶといいと思いますので、まずは全体像を見ていきましょう。

商売は何のために行うかということで基本的なことですが、商品を安く仕入れて高く売ることで儲けを得るのが目的、それが商売の目的で商売の目的に従って仕入れのときにどう書くのか、売り上げたときにどう書くのかというのを細かく見ていくのが簿記なのです。

動画内の図をご覧ください。主役は真ん中のお店です。
私達はケーキ屋さんやお菓子屋さんとかお店をやっています。小売業と言います。
一つ一つを小さく小口化して、一人一人のお客さんに小売りをする。小さい単位で売ることを小売りと言います。店頭で商品を売ります。

例えばケーキ1個500円。そのケーキをまとめて仕入れたら安くなります。ある程度の単位でまとめて買う、これを仕入と言いますが、まとめて売るほうを卸業者と言います。

卸売と言うのは、我々小売業者みたいな業者さんに対して、企業に対してまとめて売る、こういった役割を担っている業種のことを卸売業と言います。

物流機能もあります。配送です。商品を仕入、売上を業者に対して行う。
我々小売業者などに商品の売上を行い、そして配送もする。
仕入、売上の契約、売買契約をして尚且つ、配送をする。物流まですると卸売業と言います。物流機能がすごく大事です。我々以外にもいろいろなお店があるわけです。

例えば30個×4箱で120個まとめて買います。120個まとめ買いするから安いのです。
原価120円。1個1個売るということは、小口化するので1個の単価が上がります。
120円と400円の差額が1個あたり280円の利ざや、利幅、利益がのっています。
こういった形で売るのが商売の仕組みです。
それをふまえて120円の原価のほうの仕入れの仕方についてこれから学んでいきます。

もう少し見ていきましょう。卸売業は更に元があるのです。
もっと大きな商売の流れを見ていきましょう。お店が右側にきました。これは我々です。

卸売業者が例えば30個×4箱で原価120円という安い金額で売ってくれます。
これでも彼らは商売だからもっと安く仕入れるのだけど、その時はさらにたくさん扱うから、メーカーさんとか製造業の方とか生鮮食品の方たちは、たくさん買ってくれるから安くできるのです。たくさん買うことが大事です。1個、2個だったら小売業と変わりません。1個、2個は400円くらいなのだけど、我々も少しまとめて120円で買います。

卸売業者はさらにもっとたくさん扱うのです。
例えば、100箱、1000箱の可能性もあります。30個×300箱とか、桁が1個変わります。
30個×100箱×原価100円。たくさんいろいろなメーカーさんを集めて集配するのです。

例えば、私達がA店とすると、B店、C店、100とか1000くらいの取引口座があって、小売店の業者さんに対して卸業者さんはトラックで配送します。この物流機能があるのを卸売業と言います。

物流機能がないと、商社と言います。伊藤忠商事とか三井物産とか三菱商事とか、あのような有名な大きな商社さんは、配送は基本的に考えていないのです。

配送まで入るとよくある何とか物流という形です。卸売業社さんと商社さんの違いは一般的にそう言われています。
商社も仕入れ売上を仲介します。もちろん仕入れもやります。

配送はまた別の機能として、1回横に置いておくのが商社さんです。商社の考え方に物流配送が入ってくると卸売というふうに知っておく。

卸売業さんを想定しましょう。小売屋さんです。メーカーから仕入れました。
そしてこれをいろんなお店に配分します。そのうちの1個が私達です。30個×4箱×原価120円で仕入れました。

卸売りについてもう少し見ておきましょう。卸売りとは何か、この機会に知っておくとビジネスの知識の勉強になります。
簿記は、こうやって勉強すると、簿記の勉強しながらビジネスの仕組みを学べるのです。

卸売りとは、物を作ったり、物を収穫したりするメーカーなどの業者、物を収穫することは生鮮と言います。物を作ることを製造と言います。

ちなみに、建築業も製造業の一つの応用系です。建設業もこの製造業に入ります。
ソフトウェアを作るときも受注生産ソフトウェアも実は建設業の一つのカテゴリーに考えられますのでメーカーです。
メーカー、建設業、受注販売のソフトウェアとか、そういったものは基本的にはここです。

皆さんのイメージとしては、建設業と製造業、あとはこの生鮮食品が集まっている収穫する会社です。
水産業とか林業とか、そういったメーカーの業者から商品を安く大量に仕入れ、小売業者、店頭などで小分けして売る人、1個1個細かく一番高く売ります。
小売業者などに対してその商品を販売、配送がポイントです。配送などをするのを卸売業と言います。こういう仕事を卸と言います。

そしてある卸から別の卸に売ることを二次卸と言います。こうやって見ると、商売の仕組みが簿記で学べます。業者から商品を仕入れます。卸売業から小売業に商品を卸す。ある程度まとまった量を安く売るのが卸。その卸から我々小売業者は買います。

仕入れ取引の仕訳と三分法

では仕訳の形に行きましょう。商品を仕入れたときの仕訳、三分法というやり方を学びます。まずは仕訳の型を覚えましょう。

仕入原価は購入代金+引取費用、付随費用と言います。購入代金に引取費用を足します。
これが仕入れの原価です。この引取運賃、送料を払ってまでもその商品を欲しいと思ったのだから、商品の評価には引取費用が入ります。

イメージとして、引取運賃は必要経費かなと思ってしまうでしょう。そうではないです。
商品を買うために必要なので、購入代金+付随費用と言って、これを足します。

今回、商品を購入し、現金で払いました。そして先ほどの事例ですが、30個×4箱なので120個の商品を仕入れました。
1個あたり120円なので14400円に引取運賃500円を足して14900円。少し仕入原価が変わります。仕入のときの評価額を原価と言います。
支出額です。現金14900円払った。借方仕入14900、貸方現金という資産がマイナス14900。

そこで今回は三分法をぜひチェックしておいてください。よく出る言葉です。
商品売買の取引を仕入、繰越商品、売上の3つの勘定科目に分けて記録する方法を三分法と言って、3級ではよく使いますし、2級でも1級でも本当によく使う言葉なので、ぜひこれをしっかりと理解して欲しいと思います。三分法、または三分割法とも言います。

では仕訳の仕方、転記の仕方を見ていきましょう。
取引の例、×1年度、5月1日、商品を30個入りの箱で4箱分仕入れ、現金を支払いました。
1個当たりの原価は120円。なお、商品を引き取った際に、送料500円も現金で支払いました。ということで仕入原価の計算です。

30個×4箱=120個。120個×120円で14400円。14400円の購入代金+500円の付随費用で14900円なので、借方仕入の費用14900円、貸方右側、現金という資産マイナス14900。

この書き方は100%と言ってもいいくらい試験に出ます。実務でも大事ですから、しっかりと理解を深めてください。

掛仕入れと買掛金

では次です、後払いにいきましょう。商品を後払いで仕入れたとき、掛け仕入れと言います。信用に基づいて後払いで仕入れること。

やはり信用してくれないと掛けで仕入れられません。最初は現金払い。私は昔、たい焼き屋さんをビジネスの研究でやったことがあります。

会計事務所の名刺を持ってあんこを仕入に行ったのです。20年くらい前にやったことがあります。あんこ屋さんはびっくりしていました。いろいろやったのですが、最初はやはり初めてやるので、大丈夫かなということで1回1回現金で払っていました。

でも少し経つと、信用してくれるので、後で1か月分まとめて後払いでいいよと待ってもらえます。これが信用がついた状態で信用取引と言います。
①その場で現金がなくても仕入れができるので便利、これはメリットです。
②毎日のように取引があるときはまとめて払ったほうが楽です。だから掛け取引は便利です。この2つはメリットです。
③は売るほうにとってもデメリットです。売るほうはお金がすぐに入らないでしょう。後払いなので。資金繰りが悪くなる。あとはお金をもらわないうちに倒産したり、夜逃げされたらくいっぱぐれますので、回収不能と言います。貸し倒れのリスクがあります。

そのリスクも管理しながら、ほどほどのところで掛け取引をやればいいです。だいたい1か月くらい待つのが普通です。あとこれに手形などが入りますが、手形はまた別の機会にやります。

仕訳は借方仕入10000、費用、貸方これは未払いなので負債です。買掛金という負債はとても重要です。100%と言っていいくらい毎回試験に出ます。実務でも大事、買掛金はよく出ます。商品代金の未払いを買掛金というのに特別に区別しています。

その他の例えば、建物を買ったりしたら未払金、未払金というのはその他の取引の未払いです。負債です。買掛金は未払金と区別します。商品代金や外注費もそうです。

商品売買に関係する取引の未払いは買掛金です。だいたいこれは商品の仕入れ、材料の仕入れ、あるいは外注費の支払いは買掛金のことです。商品と材料の仕入れは確実に買掛金です。外注費に関してはいろいろな解釈があるのですが、商品の仕入れと材料の仕入れは買掛金だと思ってください。

外注費も買掛金になるケースも多いですし、未払金になるケースもあると考えていただければいいでしょう。

では次です。買掛金の取引です。商品を30個入りの箱で4箱分仕入れました。120個×120円で14400円、これは買掛金です。500円の送料を現金で払った。

これは割と試験問題に出やすいです。仕入の合計に対して、一部は買掛金、一部は現金というケースが結構問題であります。実務上はどっちも買掛金になってしまいます。
送料は1か月分まとめて、宅配業者さんもそうですが、業者さんと契約して、商売上だいたい毎日払っていられないから。配送業者さんも買掛金になることが多いです。
仕入れに関しては買掛金です。この500も買掛金になるケースが多いのですが、問題でよくあるのは業者さんの配送には現金で払うというケースを問題としてやりましょう。

借方仕入14900円、費用、貸方買掛金という負債が14400円。そして現金の資産マイナス500円というふうに考えていただければいいでしょう。

まとめ

本日のまとめです。
まずはまとめ1。商売は商品を安く仕入れて高く売ることで儲けを得るのが目的です。
例えば、原価120円30個4箱14400円で仕入れました。業者が商品を安く仕入れて120円で仕入れて、400円で小売りをする。これが基本です。

卸売業者はもっと安く仕入れて卸売をします。これは卸売業者です。どのような商売でも安く買って高く売る、この差額が利益、粗利と言われるものになりますが、ぜひご理解いただければと思います。

次です。今度は商品を現金払いで買ったときのまとめですが、三分法です。
商品売買の取引は仕入れ、繰越商品、売上の3つの勘定科目で記録する方法、これを三分法と言って、本当に試験に出ます。実務でも出ますのでしっかりとマスターしてください。

ということで仕訳の型としては、借方仕入、貸方現金。あとは購入代金+引取費用です。
3番目、商品を後払いで買ったときどうするか。商品を後払いで買った場合、信用に基づいて後払いすることです。その場で現金がなくても仕入れができるので便利。毎日のように取引があるときはまとめて払ったほうが楽。売るほうにとっては少しリスクがあるけども、これをやることによって、商売が拡大するので売るほうも掛けを利用することが多いです。

ということで仕訳の型は、借方仕入10000。貸方負債である買掛金10000と知っていただければいいと思います。

商品の仕入れ三分法、商売のビジネスの根底に関わること、根っこに関わることなので、しっかりと。最初は分かったつもりで、半分理解でオッケーなので、練習を何度もして書けるようになってください。

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