有形固定資産の売却 (たのしく学ぼう日商簿記3級の超入門 第5回)

有形固定資産の取得と評価

有形固定資産の一生をかいつまんで一緒に見ていきましょう。
自動車の例でいきましょう。まず自動車を買いました。

そうすると有形固定資産取得ということで資産のグループに、例えば車両運搬具とか備品とか建物、そういったものが増えます。

そして1年が経ちました。これが減価償却費の計上で古くなった分の価値を減らしましょう。2年が経過するとさらに価値が減ります。

減価償却費をさらに計上します。3年目、4年目も同じようなことを続けます。

年に1回、決算でやります。そして4番目、耐用年数と言って寿命が来る前に先に売ることがあります。

途中で自動車などを売却しました。有形固定資産の売却です。これは今回のテーマです。

それとは別に参考までに、2級の勉強の時にやるのが耐用年数は来る、寿命が来た、もう使わなくなったので、除却というか取り外してもう使わなくなったと、あるいは廃棄をした。

廃棄というのは本当に無くしてしまう。捨てたり現場から取り外したものは除却または廃棄と言いますが、これについては2級で勉強しますので、しかるべき時が来ましたら勉強してください。今回はこの売却について見ていきます。

ではまずは復習です。有形固定資産の取得にいきましょう。

有形固定資産を取得した時の仕訳、覚えてますでしょうか。

1番目、仕訳の型、自動車を購入し普通預金から払いました。借方左側車両運搬具という資産のものの増加1,200です。金、物、権利です。そして貸方普通預金1,200。

2番目、有形固定資産1,200という数字をどう決めたか。まず本体の購入代金が例えば1,000としましょう。

付随費用と言って、例えば引取費用、引き取るために必要な運賃等です。送料負担というものです。
あるいは据え付けるための費用、設置費用。

それから試運転、テスト運用するための費用、それから仲介手数料、不動産などがあります。
土地や建物を買ったら不動産屋さんに払います。

登録免許税、これは土地や建物を登録する戸籍みたいなものです。登録するために登録免許税がかかります。

それから整地費用は土地です。雑草が生えていたり、凸凹になっている土地を人を使って地ならしします。ブルドーザーを使ったりいろいろな人件費がかかったりします。

これを整地費用と言って、基本的には土地の取得原価に入れましょうという話になります。こういったものを入れて1,200で評価しました。取得時の指数です。

そういったことを踏まえて取得原価が決まりました。次に長期間にわたって使いますので、見積もりの使用の期間を切ります。
これを耐用年数と言います。

減価償却費の計上と耐用年数

例えば今回の自動車は6年としましょうみたいな感じです。
それから×年後の見積もり処分価額、つまり耐用年数が来たとき、耐用年数到来時と言いますが、寿命が来たと考えられた時、6年なら6年後です、その時の処分価値を今は0円でやるのが基本的です。

実務もそうですけど。問題文も0円であることが多いと思いますが、昔は10%でやっていたので、取得原価の10%、つまり0.9掛けで減価償却しましょうということもあり得るので、問題文を一応チェックしてください。0円のケースが多いと思います。

それから毎年一定額ずつ価値が減ると考えるやり方を定額法と言います。
ストレートラインメソッド、直線的に下がっています。

最初120だったのが20減って100、さらに20減って80、3年後さらに20減って60、さらに20減って40、5年後は20になる。最後6年目は0になる。このように20ずつ減っていく。

1年後に固定資産を処分するならば、100で売れればトントン。2年後なら80で売れるとトントン、80より高ければ売却益です。

あるいは70とか80よりも低く売ったら売却損になります。いつ売るかによって売却代金との比較関係が変わります。だから減価償却は大事なのです。3年後とかにまさか120で売れるとは思わないでしょう。

やはり80くらいがちょうどいいとか、60ぐらいが常識の範囲だよねって、常識的に少し下げていきます。これは定額法でどんどん見積もり計算をして下げていくのです。

そういったことを踏まえていけばいいでしょう。1年目は評価が終わりました。

有形固定資産の売却損益

次に有形固定資産の売却をしましょう。
有形固定資産を売却した時のポイントは3つあります。まずは売却損益なし。

例えば備品を1,000で買いました。そして減価償却を1年しました。1年後は1,000-200で帳簿価額、簿価あるいは未償却残高と言いますが、この帳簿上の中古品としての評価額は1000-200で800です。800で売れれば何の差も出ません。

これは3パターンあります。売却代金がこの帳簿価額と全く偶然一致するケース。帳簿価額よりも高く売った場合は売却益が出ます、パターン2。
帳簿価額よりも安く売った場合は損が出ます。売却損、パターン3です。3つのパターンが出てきます。

最初は偶然一致することはなかなかないので、問題でも実務でもそうです。大体少し上がったり下がったりしますから、売却益または売却損が出るけど、今回分かりやすいために滅多にないことだけど、偶然一致しました。

800を800で売ったのです。これは無いことはないので一応やっておきましょう。一番簡単です。1年後に備品を800で売ったということは、帳簿上の価値と同じなので一番シンプルです。

まず借方普通預金800が増えました。次です。備品1,000を右側に書いて、左にあるものを右に書けば0になります。右にあるものを左に書けば0になります。左右の差し引きで0です。これで備品と減価償却累計額、1,000と200は帳簿上0として消えます。

そして左側から200減価償却累計額、右側備品1,000。1,000-200で右側が800多いです。その状態で普通預金800を当てはめれば必ず左右一致しますから売却損も売却益も出ません。

貸借平均の原理。必ず左と右は一致します。偶然一致します。
左側200と800を足して1,000。右側も1,000。これは何の問題もない、一番簡単なケースです。あとでもらう時は未収金になったりしますが普通預金とのお金800、そして減価償却累計額左と右側備品や車両の固定資産、このパターンを3回ぐらい口に出して読みながら書いてみてもいいです。

借方減価償却累計額200、借方普通預金800、貸方備品1,000みたいに読んで書いてみるといいです。

売却時の仕訳パターン

次行きましょう。パターン2、売却益です。
さきほど800だったのが900に増えています。まずは普通預金に900、あとは同じです。借方減価償却累計額200、貸方備品1,000とすると、左側が200と900で1,100と増えます。必ず左右一致させますので、右側に何か入れないとまずいです。右側に100を入れます。

その時の言葉が固定資産売却益100となります。面白いです。
そうすると左側減価償却累計額200と普通預金900で1,100。

右側も1,000と100で1,100。貸方の貸、借方の借、貸借平均です。必ず一致します。
そこで差額が出たら固定資産売却益100と、結局800の帳簿価額のものを900で売ったから100儲かっている。

これは右側に来る貸方の固定資産売却益、うまくできています。収益は右側がプラスです。
これがパターン2です。

借方減価償却累計額200、貸方備品1,000、借方普通預金900、貸方固定資産売却益100と読みながら3回くらい書くと頭に入りやすくなります。

でも分かりにくいと思ったら分かったつもりで先にいきましょう。半分なんとなくイメージできればオーケー。
完璧に理解する必要はありません。完璧主義にならなくていいです。これはパターン2、売却益です。

次、800の次は900だから、今度は安くしましょう。700で行きましょう。
備品1,000、減価償却累計額200、800の帳簿価額のものを700で売った。当然これは損します。

100の損をどうするのかを見ていきましょう。まずは借方減価償却累計額200、貸方備品1,000、800のものを700で売りました。

左側借方200+700で900、右が1,000だから左側が足りないでしょう。

今度は左側の空いているところに固定資産売却損100と書けば、借方減価償却累計額200、普通預金700、固定資産売却損100。200+700+100合計1,000、貸方備品で必ず合います。

これも試験に出る可能性があるので、実務でもやる可能性がありますので、この仕訳を3回ぐらい声に出しながら書いてみるとあなたの力がぐっと実力が高まります。よかったら試してみてください。理解半分でいいです。そんなものかなで結構です。

練習問題と解説

ではこれを踏まえて練習問題を見ていきましょう。

×1年度1月1日、営業用の車両120万を購入して現金を払いました。
借方車両運搬具120、貸方現金120、12月31日1年後、決算日になったので1年間の使用による車両運搬具が古くなった、老朽化した部分、劣化とも言います。少し悪くなって価値が減少した分、古くなったところを見積もって減価償却費として計上しました。
定額法、耐用年数6年、残存価額0ということは、120÷6年で20万。借方減価償却費20万円、借方減価償却費20万円。ということは車両120から20の累計額を引いて差し引き100が帳簿価額です。

この場合減価償却累計額は評価勘定と言って、資産のマイナス評価を表す特殊な勘定科目で、分身です。

それを踏まえて今度は売却の仕訳をしましょう。

ケース1この決算12月31日同日に、車両を売却して現金123万もらえました。借方現金123万、貸方は車両運搬具、借方減価償却累計額20、そうすると左側20と123で143。
143と右側124で差し引き23が売却益。帳簿価額、簿価、未償却残高は120-20で100です。100のものを123で売ったのだから23貸方固定資産売却益が出ました。

次、もう1個いきましょう。

問題3ケース2にとして、車両はさっき123万円、少し安くなります。85万という低い値段で売りました。
100万円の帳簿価額のものを85万だから当然100-85で15万損します。借方固定資産売却損15、借方減価償却累計額20、貸方車両運搬具120、100のマイナスに対して85の借方現金なので15。15が左側は足りないです。借方固定資産売却損15、これは重要です。

このような仕訳が出ることがあります。よかったらご参考なさってください。

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