何度解いてもできない簿記の問題への(心の)対処法

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「何度解いてもできない問題への対処法」について考えてみたいと思います。

これは物の見方を変えるということが本質であって、細かいテクニックのようなその場しのぎの応急処置のことを言っているのではありません。

本当にあなたが日商簿記検定1級の合格に向けて地道な努力をするための“心の処方箋”のようなものだと思ってください。
これは非常に大きなインパクトをあなたの今後の人生に与える可能性があります。

私は専門学校の講師時代にこれを経験していて、日商簿記検定1級というのはレベルが高く、上場企業の経理実務で目にするような上級レベルの簿記の知識なので、簿記1級というのは簿記2級の合格直後の方からすると高いレベルを目指すことになります。

したがって、最初は分からないこともありますし何度解いても解けない問題があります。社債の抽選償還や、割賦販売の未実現利益整理法や、成果連結の未実現利益控除や、持分法や、税効果というのが苦手になりやすい論点です。

その場ではできるけれども少し時間をおいて解き直してみるとできなくなっていることがあります。

そうすると、何度解いてもできないから「自分には簿記の才能がないのでしょうか?」というような、本人にとって非常に深刻な相談を受けることがあります。

そのときに、私が申し上げていたことは何かというと、当時は意識しないでやっていましたが、今思うと「リフレーミング」という、カウンセリングの根本となるひとつの技術があります。

私はよくコーチングで話をしますが、コーチングやカウンセリングのベースとなるようなスキルがあります。

NLP(Neuro-Linguistic Programming)というのですが、人間の行動というのは過去の体験で刷り込まれた脳の自動的なプログラムによって行動が決まっていて、それを書き換えることがNLPの1つのポイントになるのですが、無意識だから自分自身は気づかないのです。

例えば、問題を何度解いてもできるようにならないという場合は、普通のプログラムだと「自分には才能が無いのではないか」と思ったり、「次回もできないよね」と思って嫌になります。

リフレーミングというのは思考の枠組み、あるいは物の見方を変えるということで、今ならば理論的に説明できます。

5年前や10年前に専門学校でカウンセリングをやっていて受講生の悩みを聞いていると、「受かるタイプ」「受からないタイプ」というのがあります。

受からないタイプというのはまさに今の発想法で、何度解いてもこの問題ができないから自分には会計士が向いていないとか簿記1級に向いていないと思ってしまいます。
自分はこの程度の問題もできない、だから自分には向いていない。

何度解いてもできなくて嫌になるというふうに、受験勉強を途中でリタイヤしがちな発想法になります。
相談してくれた方はまだそれを講師に言ってくれただけ良いのです。

私の場合は「レッスンアンドライフアドバイザー」として心理カウンセラー的なこともやっていたので、おかげさまで「ライフ」のほうの質問も受けていたのですが、そのときにどうするかというと、気持ちの切り替えというのは根本的な思考の枠組みを変えるときに心が開放されます。

これによって、本当に気持ちが切り替わって最終的に会計士に受かった方がいらっしゃるので、簿記1級合格にも必ず使えます。

リフレーミングの「フレーム」とは枠組みのことで、思考の枠組みを変えることです。
簡単に言うと、「事実」というのがありますが、問題を何度解いても解けないというのは無色透明で単なる“現象”なのです。

単なる自然現象に対して人間がどう考えるかによって、気持ちの浮き沈みがある。

つまり、物の見方の“クセ”があるのです。

私たちは義務教育の頃から、できないことがあると先生から怒られているため、このようなマイナスイメージから「できないことは悪いことだ」と思ってしまっているのです。
そのフレームを変えるのです。

事実は無色透明ですが、どんな見方をするかによってあなたの人生や私の人生が変わってきます。

私は営業の頃から上手くいかないことのほうが多かったのですが、そのときにどうやって思考のフレームを変えるかによって行動を変えてきたのです。
これはあなたにも今日からできますので、ぜひ考えていただきたいです。

こんなに何度も解いているのに問題ができるようにならないという場合、普通のプログラムだと、憂鬱になったり、嫌になったり「自分には才能がないのではないか」と思います。

逆に、みんながそう思うからこそあなたにもチャンスがあるのです。
そう思わなければいいのです。
どう考えるか?

これは私が成功したパターンですが、これだけ何度もチャレンジできるあなたのやる気や根気がすごいと考えたらどうでしょうか。
5回も10回も問題を解くあなたの根気はすごいですから、そこを褒めましょう。

私が「すごいじゃん、君」って言うと、相手は「えっ!?だって、私できないのですよ?」という顔をするのですが、私は笑顔で「それは結果であって、結果にフォーカスするのは10年早いよ」というのを良い意味で言ってあげます。

何度も解いたあなたがすごいのです。

「今まであなたが日商簿記検定1級に挑戦しなかったら、こういった難しい問題を5回解こうと思いましたか?簿記1級の勉強に出会わなかったらこんなに努力はしましたか?」と聞くと「しなかった」と言うのです。

「ほらね、あなたは努力の練習をしているのです。5回問題を解いて悩むということは素晴らしいことです。悩めるあなたは成長の証しです」と言うと、「自分もすごいのだ」と思えるのです。

まずは努力にフォーカスしてみましょう。
これがリフレーミングの1つです。

逆に言うと、これだけ何度もチャレンジできるあなたのやる気や根気や忍耐力がすごいのです。

質問を変えて、「簿記1級に出会う前の今までのあなたというのは、こういう問題があったらどうしましたか?」と聞いてみると「すぐ止めました。そもそもそんなに努力しません」と答えました。

「では今はどうですか?」と聞くと「簿記1級に受かって会計のプロになりたいという大きな目標を抱くようになってから努力をするようになりました」と答えました。

「どうですか、簿記1級に出会ってあなたは変わりましたか?」と聞くと「変わりました。たしかに1日3時間勉強しています。でも分からないのです」と答えますが、「結果は急がないで、今は努力した自分を認めましょう」とリフレーミングをします。

そうすると、「この練習は色んな意味で将来に繋がるのだな。自分は変わっているのだな」と思ってもらえます。

もう1つ、「これだけ練習をしているのだから見えないところで必ず力がついているよね」というのもリフレーミングです。

「できる・できないという最終目標ではなくて、途中でこれだけ5回も簿記に触れているのだから少しは簿記の力がついていると思わない?」と聞くと「付いていると思います。問題文が見えるようになりました」と答えます。

これがリフレーミングです。
まずは何度もやって努力できることを認めることです。

そして、「すぐに問題は解けないかもしれないけれど、これだけ練習をしていればその途中段階で見えない進歩はしています。これだけ何度も仕訳を切っているのだから、仕訳についての理解は深まっていますよ」と言います。

「今のあなたの努力はすぐには最終ゴールに結びついていないかもしれないけど、この練習は色んな意味で将来に繋がる」というふうにリフレーミングをしてください。

何度努力してもできないというのは、できないことが悪いのではなくて、ここまで努力できるようになった自分がすごいのです。
努力することが尊いのです。

何度もできる自分を褒めてあげてください。
そこまで努力できる自分がすごくなったのです。
成果を実感してください。

見えないところであなたの力は着々と付いています。
柴山が保証します。

簿記1級を目指してがんばりましょう。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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