当座借越と定期預金のB/S表示【簿記1級】

この動画の趣旨としては、簿記検定1級を勉強されるみなさんに勉強法やモチベーション維持のノウハウの他に、個別論点について重要なものやみなさんが悩みそうなテーマに絞って講義をしていくこともあるのでよろしくお願いいたします。

 

今回は簿記1級を初めて勉強されるときに、最初の段階で出てくる預金に関する話で、当座借越と定期預金のB/S表示についてのお話です。

 

「ワンイヤールール」といいますが、このあたりのお話をしたいと思います。

結論は下に書いてありますが、貸借対照表の借方の流動資産のなかに定期預金があります。

 

これは決算日の翌日からカウントして1年以内に返済期限がくるものが流動資産で、1年を超えるものは長期性預金などの名称で固定資産となります。

 

それも有形固定資産・無形固定資産ではなく、「投資その他の資産」という区分がありますが、その中で「長期性預金」などの名称で表示することはあります。

 

これは税理士簿記論でも出ることがありますし、かつては日商簿記検定3級でもこのような内容が出たことがありました。

もちろん簿記1級で出題されてもおかしくはありません。

 

貸方は流動負債の短期借入金という表示を当座借越はするということを問題で確かめてみたいと思います。

 

日商簿記検定1級の商業簿記や税理士の簿記論で出てもおかしくないような問題文の形式をとり、問題を2つ用意してみました。

 

①当座預金勘定の期末残高は8,000円だった。

内訳はA銀行10,000(借方)、B銀行2,000(貸方)(当座借越契約あり)

 

②定期預金の期末残高は24,000だった(決算日H28/3/31)。

内訳はC銀行(H29/3/31)10,000円、D銀行(H29/9/30)14,000円。

 

これらは意図的に金額の単位を低くしています。

本当は8,000円などあり得ないのですが、学習用のために金額を低くしてあります。

 

①の8,000円というのは、複数の銀行があって、その合計です。

内訳はA銀行が借方残高で10,000あって、B銀行は貸方残高、つまりマイナス2,000です。

 

ここでは「当座預金勘定」と言っているので、2勘定制です。

「2勘定制」「1勘定制」の話は日商簿記検定3級でやっている話です。

 

今回は2勘定制ということで、当座預金勘定のマイナスがあったのです。

みなさんは分かると思いますが、当座借越勘定で処理すべき部分です。

 

当座預金を相殺して8,000としていますが、本当はA銀行の10,000の当座預金とB銀行に対する当座借越2,000の両建てなのです。

 

②については、内訳はC銀行に預けてある定期預金の満期日が平成29年3月31日ということで、ちょうど1年後です。

 

決算日の翌日、つまり4月1日から1年以内に満期がきて回収できるので、C銀行の10,000円は流動資産となります。

 

一方、D銀行の14,000は平成29年9月30日なので1年を超えるため、これは固定資産(投資その他の資産)となります。

 

では、柴山式総勘定元帳というものがありますが、左上は資産グループのT字勘定、右上は負債グループのT字勘定、右真ん中は純資産グループ、右下が収益、左下が費用となります。

 

使い方については追々説明しますが、今回は資産と負債のみを使用します。

資産のグループには当座預金と定期預金のT字勘定があり、負債のグループには当座借越だけです。

 

今回、当座預金は、実は当座預金勘定で(借方)A10,000 (貸方)B2,000というように、当座預金勘定を集めていたのです。

 

差し引き8,000としていましたが、本来は両建てすべきだということで、決算整理仕訳で(借方)当座預金2,000 (貸方)当座借越2,000として、当座預金10,000と当座借越2,000というバランスシート表示になります。

 

A銀行に対する預金が10,000と、B銀行からの短期借入金となります。

さらに、定期預金は合計24,000円ですが、勘定科目はこのままでいいです。

 

あとは表示の組み替えで固定資産に振り替えればいいだけの話なので、表示の組み替えだけならば総勘定元帳に影響させる必要はありません。

 

定期預金の借方24,000のうち10,000がC銀行で14,000がD銀行なので、貸借対照表に振り替えるときにはD銀行だけ1年を超えるので、これは投資その他の資産となります。

 

これを踏まえて表示を確認してみます。

まず流動資産ですが、当座預金はA銀行の分が10,000、定期預金はC銀行の分が10,000です。

 

もし「現金預金」という勘定科目ならば2つを合わせて現金預金20,000という表示でも大丈夫ですので、問題文や答案用紙を見て柔軟に対応しましょう。

 

「当座預金」「定期預金」と細かく分類されていたら10,000と10,000に分けて記載します。

固定資産は、D銀行に対する平成29年9月30日という1年を超える満期の預金なので、長期性預金14,000となります。

 

流動負債は、B銀行に対する当座借越2,000があるので、これを短期借入金2,000とします。

短期借入金は忘れやすいので注意してください。

 

こういったところを1個ずつ丁寧に勉強することで、日商簿記検定1級レベルの簿記の実力がどんどん上がっていきますので、焦らずマイペースでコツコツ頑張ってください。

 

私はいつもあなたの簿記1級の勉強、スキルアップ、成績アップを心から応援しております。

ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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