「人を動かす」という和訳のタイトルから想像しにくい、もう一つのニュアンス

今回の「前を向いて歩こう」は、デールカーネギーの「人を動かす」という日本語訳のタイトルに関するお話をしたいと思います。

昨日は事務所で「人を動かす」に関する勉強会を行いました。
7名の方に参加していただきましたが、この方たちは繰り返し勉強していただいています。

本当にこの本に書かれていることを実践しているかどうかを毎月振り返っています。
今回は第2回目ですが、先月から今月の間に色々なことを実践されて、既に成長の兆しがあります。

私はそれが非常に嬉しいです。
1か月でも人は変われるのです。

「人を動かす」というのは自分が変わる本なのですが、この「人を動かす」という言葉のインパクトが強くて、「自分は変わらないけれど、人を変える」といったテクニック本のようなイメージがあります。

原書のタイトルにも「人を動かす」という意味は含まれていますが、全く強調されていません。
ですから、誤解を招きかねないのです。

ただのハウツー本ではなく、「自分自身を変える」というニュアンスが含まれています。
日本語訳の「人を動かす」というタイトルはとても分かりやすく良いタイトルなのですが、あまりにも簡潔で、ニュアンスがこぼれ落ちてしまってもったいないのです。

原書と比べると、もう少し前半部分に対する配慮が欲しいと思っています。
簡潔なタイトルであるが故に、原書を読まないと分かりづらい部分があります。

以前も動画でお話ししたかもしれませんが、原書のタイトルは“How to Win Friends & Influence People”です。

原書でまず強調しているのは“How to Win Friends(友を得る)”なのです。
この場合の「友達」というのは、自分を好きになってくれる人のことだと私は考えています。

お互いに人間として認めている、良い印象を持たれる、信頼関係を得るという意味だと思っています。

要するに、自分自身のメンタルの変化も想定している本なのです。
しかし、「人を動かす」という言葉だと、自分は変わらないけれど小手先のテクニックで人を変えてしまうという印象を与えかねません。

“Influence People”の部分を意訳したのが「人を動かす」だと思うのですが、確かに自分の考えた通りに、強要せずに、恨みを買わずに人々の行動を変えるというノウハウはあります。

しかしその前に、“How to Win Friends”とあるように「人に好かれる」というニュアンスが入ってくると和訳のタイトルもしっくりくると思っています。

色々な見方がありますが、私だったら「人に好かれる」という部分をもう少し強調したいと思っています。

とにかく、この本はとても素晴らしい本ですし、この和訳も素晴らしいと思います。
前述した通り、原書のタイトルは“How to Win Friends & Influence People”ですが、これには“How to Win Friends”と“Influence People”という2つの工程があります。

まず“How to Win Friends”ですが、これは「人に好かれるような動き方をしましょう」ということで、自分のパフォーマンスの変え方を言っています。

その上で“Influence People”、つまり人に影響を与えるような行動をとるのです。
結局、自分の行動を変えるのです。

「人を動かす」というと人を動くイメージですが、実は自分が動くのです。
自分が動いた結果、人が動くのです。

ですから、人を動かすために自分の動きを変える本なのです。
私は“How to Win Friends”の部分を強調したいです。

人に好かれてからでないと話は聞いてもらえません。
嫌いな状態で人を動かすテクニックというのは使いづらいですし、逆効果です。

ですから、まずは人に好かれるような行動をとりましょう。
相手に関心を持ったり、褒めたり、信頼を得るようなパートを意識して読むと良いと思います。

人から好かれて信頼できる友人を得るというのは、人を動かす前提となります。
仕事でいえば得意先もある種の友人です。

仲間として好かれるための原則も強調しておきたいと思います。
信頼される人間になってから人に影響を与えるのです。

“How to Win Friends”という部分も意識してこの本を読んでいただければと思っています。
ぜひご参考になさってください。

私はいつもあなたの成功・スキルアップを心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

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