キッズ簿記第11週① 決算日のあとは何をするの?

【キッズ簿記(BOKI)Step3】

念願のケーキ屋さんを開店した主人公のケイイチくんと一緒に、お客さんがたくさん来てくれる人気店をつくりましょう。

進行:柴山先生、今日はどんなことを勉強するのでしょうか?

柴山政行氏(以下、柴山):今週は、「いよいよ1年の総まとめだ!」というテーマで勉強します。
決算日を迎え、1年間の商売の通信簿が出たケイイチくん。

学生ならば、通信簿をもらった後は長い休みに入りますが、商売はその後にも大事な義務が残っています。
そのようなことを勉強したいと思います。

進行:今回ももかさん、りょうたくんの2人と一緒に勉強していきます。
そして、この番組を見ているあなたも、わかりづらいところがあったら、繰り返し見て一緒に勉強していきましょう。

キッズベーカリーが開店して1年になります。
12月31日の決算日に、12月の月次試算表や減価償却費の計算を終えて、お店の通信簿の完成まであと少しになってきました。

しかし、通信簿を完成させたら終わりというわけではなく、決算日のあとに行う総まとめが残っています。

柴山:必要に応じて修正をして、修正後の試算表を作ることもあります。
そして、お店の通信簿を完成させてから、税金の計算をして「確定申告書」というものを作って、税金を納めます。

税金を納めるのは国民の義務なので、ここまでしっかり頑張りましょう。
お父さんやお母さんが個人で働いている場合は書くこともありますが、なかなか確定申告書を見る機会はないと思いますので、確定申告書について説明をしたいと思います。

確定申告書とは、1年間の儲けに対してかかる税金を計算した書類のことです。
「税務署」という国の組織に、お店の通信簿と一緒に提出して税金を納めるのです。

それでは、みなさんに実際の確定申告書をお見せします。
カラフルですよね。

昔はこんな感じではありませんでしたが、だんだん書きやすくなってきました。
佐竹さんは確定申告書を書いた経験はありますか?

進行:毎年きちんと書いています。

柴山:確定申告書について、何かエピソードはありますか?

進行:締め切りに間に合わなくなったことも何度かありますね。

柴山:夏休みの宿題みたいなもので、いろいろ大変なことがありますよね。
子どもの宿題も大変ですが、大人にも宿題があって、それぞれ大変だということですね。
さて、話を戻しますが、税務署とはどんなところかについて説明をします。

税務署とは、確定申告書や「お店の通信簿」を持って、会社や個人事業主が税金を納める場所のことです。

税金とは、国や地方の運営に役立ててもらうために、稼いだお金の一部を国または地方に納めるお金のことです。
いわば、税金とは社会の「会費」のようなものなのです。

ところで、「税金」の「税」という字は、分解してみると面白いことがわかります。
「税」の部首は何だと思いますか?

もかさん(以下、もかさん):「のぎへん」です。

柴山:そうです。
のぎへんというのは、元々、農作物や収穫物を表します。
のぎへんの右側は「脱」という感じに似ていますよね。
これは「はぎ取る」という意味があります。

要するに、「農作物をはぎ取る」とるという、少し怖い意味になりますが、これが「税」の元々の意味なのです。
農家の方々が収穫した物の一部を持っていくというイメージです。

進行:だから、「税」にはあまり良いイメージがないんでしょうね。

りょうたくん:消費税も8パーセントになるという話ですよね。

柴山:インパクトが強いですよね。
社会の会費ではあるけれども、少しでも税金が安くなってくれれば嬉しいという思いはありますよね。

進行:ここで、いったんシバ王国を離れて、実際に私たちが暮らしている、今の日本の税金について勉強をしていきたいと思います。

柴山:ポイントをお伝えすると、1年で総額92兆6,115億円のお金が必要で、それに対して、国の税金による収入は43兆960億円でした。

税金を国の「売上」と考えると、「費用」の半分以下しか売上がなかったということになります。

足りない分は、「国債」というものを発行して、国が国民から借金をしています。
その国債は、主に銀行が買っています。

ですので、みなさんが銀行に預けているお金の一部は、国の借金に回っているのです。
ところで、借金は負債ですが、負債はどうする必要がありましたか?

りょうたくん:返済します。

柴山:そうです。
返すときには税金が必要ですが、その税金は、今の子どもたちが将来払うことになるのです。
つまり、もかさんやりょうたくんを含めた、将来の大人が払うのです。

もかさん:やってられなくなりますね(笑)

柴山:でも、ちゃんと働いてくださいね(笑)
これはとても身近な問題なのです。
今の借金を減らしてくれないと困るのです。

借金が増えれば、りょうたくんやもかさんの世代が大人になったときに、たくさん税金を集めて返さなければいけないので、借金を減らそうとしているのですが、それでも無駄遣いは終わらないのです。

では、私たち今の大人はどうすればいいのかというと、無駄遣いがないように国を監視して、少しでも借金を減らしていかなければならないのです。

92兆円や43兆円という金額が大きすぎてわかりづらいので、月収40万円の家庭におきかえて考えてみると、それに対して生活費が79万円かかっているということなのです。

お父さんの収入が40万なのに、月々の支払が79万あるのです。
今の日本はそういう状態になっているのです。

進行:この状態で生きていけるのでしょうか……?

柴山:生きていけるのです、国だから。
国にはまだ貯金がたくさんあるのです。
なので、今は過去の貯金で生活している状態なのです。

もかさん:その貯金がなくなったら厳しいですよね。

柴山:だから、その貯金が無くならないうちに借金を無くして財政を健全化するように、みんなで頑張っているのです。

79万円の内訳を見てみると、「家計の支払」が60万円で、60万のうち地方への仕送りが14万あります。

なので、自分たちが本当に使えるお金は60万-14万で46万円なのです。
そして、さらに「ローンの支払」が19万円あります。

進行:それは、先程の国の借金を返済するお金のことですか?

柴山:そうです。
2,30年前までは借金は無かったのですが、「バブル崩壊」といって、景気が悪くなったことと、政治が上手くいかなかったことも合わせて、借金が増えてしまいました。

そして、過去の借金を、今、収入の半分近くで利息と元本を払っている状態なのです。
つまり、収入40万-支出79万で、不足分が39万円もあるということになるのです。

もか:どうすればいいのでしょうね。

柴山:それをみんなで考えていかなければいけないのです。
みんながもっと関心を持って、税金の無駄遣いがないように監視をしなければいけないのです。

進行:簿記の勉強をとおして、いろいろな数字がわかるようになって、税金の仕組みや財政についても勉強できるという印象を受けました。

柴山:今まで暗い話をしてしまいましたが、日本は勤勉な人が多いですから、しっかり働けばきちんと借金は返済できます。

1千数百兆円というたくさんの蓄積があるので、まだ大丈夫ですが、それに頼らずに、政治をきちんと見て、無駄遣いを無くすようにすれば、今から10年後ぐらいには何とかなりますし、現在、実際にそのような努力をしているのです。

みなさんが大人になったときには、借金がほぼきれいになくなって、暮らしやすい世の中になっているのではないかと思います。
日本の将来はまだ明るいと思います。

レッスン51のまとめをお願いします。

柴山:1番目、決算日のあとに利益と税金を計算して出す書類を「確定申告書」といいます。
2番目、税金を納める国の組織を「税務署」といいます。

3番目、日本は今、税金の収入が、必要な支出の半分くらいしかないために、支出の半分近くを借金でまかなっているという問題があります。

進行:今日は税金についての話がいろいろ出てきましたが、どうでしたか?

もかさん:税金は怖いなと思いました。

りょうたくん:今日のお話はとてもスケールが大きくて、いろいろ考えてしまいました。

柴山:数字に詳しくなれば、国のことなど、大きな目で見ることができますよね。

進行:先生、明日の内容を教えてください。

柴山:明日は「修正したあとの試算表を作ろう!」というテーマです。
ケイイチくんは1年間の成績表を作りましたが、実は一部修正しなければいけない箇所がありました。
その修正の仕方などについて勉強しましょう。

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