がんばろう日商簿記1級合格、今回は「貸倒懸念債権とキャッシュ・フロー見積法」についてワンポイント解説をしてみたいと思います。

簿記1級

たとえば、100万円の元本で毎年5万円の利息をもらっていたとします。


5パーセントというのは、当初の状況に応じた合理的な利子率です。
途中で相手の経営状態が悪化したので、金利を減免します。
条件を変更して、5万円の利息が2万円に変えたときに、条件変更後の利率が2パーセントという表現をすると、この2パーセントという言葉にみなさん引きずられてしまうのですが、この「2パーセント」には意味がありません。

2パーセントというのは、その会社の特殊な状況を加味して便宜的に使っているだけです。
要するに、5万円のキャッシュ・フローが2万円に変わったという、キャッシュ・フローの絶対額を考えてほしいです。
「2パーセントで割り引くべきじゃないのか」という、素っ頓狂な話になってしまいますが、この2パーセントを割引率で使ってはいけません。
ここは最初に迷うところです。
ここで2つの事例をお話します。

経営破綻には至らないけれど、経営状況に重大な問題がある債務者に対する債券のことを貸倒懸念債権と言います。
金利を約束通り払えないこともあるので、この場合には金利を減免しますが、このケースがよく簿記試験に出ます。
キャッシュ・フロー見積法というのは、将来の元本と利息の入金の計画を立てて、それを割引率で割ることです。
これは、その会社の経営実態を考えた合理的な利回りで、基本的に途中で変わることはありません。

事例1では、たとえば、1年後に元本100万円と利息5万円という内訳があるのですが、105万円の現金収入を得るというときに、割引率が5パーセントならば、貸したときの100万円と1年後に弁済を受けた105万円の割引現在価値は同じということになります。
合理的な利回りが5パーセントの場合、1年後の105万円と今の100万円は等しいです。
これが2年後の場合はどうなるかというと、2年後の110.25万円と今の100万円は等しいのです。

条件変更後も5パーセントの利回りは維持します。
5パーセントの利回りで資産運用をしていると考えてください。
その状況で、今、100万円を渡して105万円で戻ってくれば損は出ません。
なぜなら、今の100万円と1年後の105万円は等しいからです。
内訳は100万円と5万円ですが、合計で105万と考えます。
そして、事例2では、現金収入の予定が105万から102万に減りました。
これは、相手が1年後に105万円を払えるだけの経営体質ではなくなったということです。
105万の現金収入が102万に下がったけれども、割引率は相変わらず5パーセントなのです。

資産運用方針として、この条件は変わらないのです。
5パーセントの資産運用方針なのに、たまたま、ある特定の会社だけが特殊な状況になって、支払の入金が変わったのです。
資産評価をするときの割引率は当初の5パーセントで、変更はしません。
たとえば、割引率を2パーセントに変えてしまったら、102万÷1.02=100万となってしまい、評価損が出ないという不合理なことになってしまいます。
105万円の状態が102万円となって、信用リスクが高まっているのだから、評価損を計上すべきであって、5パーセントの割引率でなければまずいのです。

なので、102万を1.05で割って97.14まで評価を下げることが合理的なのです。
金利を3万円免除してあげたことによって、評価損が出るのです。
本来ならば97.14万円で貸すべきだったものを100万円で貸してしまったので、損をしてしまったのです。
100万円-97.14=2.86万円が貸倒見積高、すなわち、貸倒引当金の設定になるのです。
102万円を、金利を安くするための便宜上の利回りである1.02で割ってしまったら評価損が出ないので、今後はこのような質問はあり得ないと思ってください。

当然の話ですが、評価損を出すならば当初の利回りで計算しないとおかしくなります。
将来105万の収入があることを見越して100万を貸したのに、102万しか入ってこない場合、差額の3万に対して、金利を除いた部分は2.86万円なので、この部分は損をしたと考えます。
102万を割引現在価値で割り引いて元本の回収額は97.14であるというふうに、トータルで考えてください。
105万の収入が102万に下がったら、3万のマイナスに対して割引現在価値で評価すると2.86だけ元本が目減りしたと考えましょう。

改定した利回り2パーセントに注目しても、問題を解く上でその数字に意味はありません。

105万円の収入が102万に下がって、それに対して1.05で割り引いて評価を下げなければいけないというように考えていただければいいと思います。
キャッシュ・フローで考えるというのは、そういうことです。
この「割引現在価値」の考え方は、いずれ減損会計や色々なテーマでも必要になります。
ぜひ参考にしてください。

私はいつもあなたの簿記1級合格を心より応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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