がんばろう日商簿記1級合格、今回は連結改正論点の重点解説の3番目、時価発行増資についてお話したいと思います。

簿記1級

時価発行増資の持分増加のケースです。
時価発行増資とは、その時々の株価で新たに資本金を増やして株式を発行し、追加の出資を受けることです。

時価発行増資で問題になるのは、たとえば親会社が子会社の増資を引き受けて、70パーセントの比率なら、そのまま持ち株比率と同じ比率で株式を引き受ければ問題ないのですが、持ち株比率が変わるとき、たとえば70パーセントの株を持っているけれど、増資の株式をすべて引き受けると75パーセントとか80パーセントに増えてしまいますし、逆に全く引き受けないと70パーセントの持分から下がってしまうことがあります。

増資をきっかけとして持分が変動すると、変動した差額のパーセントの分だけ追加取得をしたとみなす、あるいは一部持分の売却をしたとみなす、売却そのものではないのですが売却したとみなして、あたかもそのようにストーリーを作って処理をすることがあります。
今回は持分が増えるケースで説明しましょう。

【1】A社は子会社B社の発行済み株式1,000株のうち700株を取得しましたが、そのときに払った金額は147,000、これが取得価額といいます。
このときの個別決算の仕訳はどうなるかというと、もうみなさんわかりますね。

1番、借方子会社株式147,000、貸方現金147,000、これがスタートです。

その時の資本金が100,000、利益剰余金が100,000、資本200,000の70パーセント、つまり140,000の資本を持分を取得して147,000を払いました。
7,000がのれんになるということはすぐにわかります。

200,000の資本の30パーセントは非支配株主持分のものになります。
そのあたりの連結の仕訳は、B社の資本金を連結上控除します。
利益剰余金もマイナスです。のれんはプラスです。

貸方資本金100,000、貸方利益剰余金100,000、いわゆる資本と投資の相殺消去というものです。
貸方は200,000の70パーセントの140,000の子会社株式プラス7,000円分がのれんです。
取得原価は147,000です。

個別決算の借方147,000を貸方147,000で消しています。
純資産の項目である非支配株主持分を新たに計上します。
200,000×30パーセントで60,000です。差額が、のれん7,000です。

子会社株式147,000のうち140,000は資本金100,000と利益剰余金100,000の合計200,000の70パーセントで相殺していますが、残りの7,000はのれんの計上に振り替えます。
これは無形固定資産です。
今回は取得後10年間で償却するので、次の連結年度、のれん償却額は7,000÷10年で、貸方のれん700、借方のれん償却額、これは費用です。

【3】は連結の1年度がB社の純利益は20,000円なので、20,000×30パーセント、いったん利益を合算していますが、そこから30パーセントの6,000を連結から控除します。
いったん合算して、20,000から6,000を引いた14,000が連結決算上の損益計算書が14,000増えます。
いったん20,000増やして、借方6,000、これは費用項目です。

かつては少数株主利益や少数株主損益といっていましたが、新しい連結改正制度では、非支配株主に帰属する当期純利益6,000、これは費用みたいなものです。

そして貸方は非支配株主持分、これも純資産で6,000です。
非支配株主に帰属する当期純利益は、厳密にいうと費用ではなくて純利益のマイナス項目で、親会社からするとマイナス項目です。
経済的単一体説からすると費用になりますが、親会社説からしても費用みたいなものです。

本支店合併損益計算書のようにいったん20,000を単純合算して、20,000から6,000を引いて14,000が取り分だといっているわけです。
貸方は非支配株主持分、これは貸借対照表項目6,000、これはYとしましたが、XとYというのは、非支配株主持分の増減項目をXとかYとかZで表していますが、これは別の話です。
その段階で非支配株主持分は、60,000+6,000で66,000になっています。

これは、B社の資本が200,000+20,000で220,000、220,000の30パーセントで66,000。

ここでいったん図解します。

B社の資本の推移を見ていきます。
これは、いろいろな専門学校で30年前からあったノウハウで、現在は少し変更されているかもしれませんが、どの専門学校でも共通で使っているものです。
B社の資本金、利益剰余金がありました。

支配獲得時は70パーセント、1,000株分の700株で200,000の資本です。
今回は、そのうち非支配株主持分だけに注目します。200,000×0.3で最初は60,000でした。

それが1年後、20,000の純利益が増えて、これが30パーセントで6,000、60,000+6,000、XとYを足して、x1年度末は70パーセントと30パーセントの持ち株比率ですから、220,000×30パーセントで66,000になります、やはり合いますね。
フローで見ても66,000になります。

最終的な結論として、220,000の資本、これをストックといいますが、貯まっている金額に30パーセントをかけても66,000になります。
どちらから計算しても66,000になります。

これは持分法の計算の応用にもなります。
貸方60,000+貸方6,000で66,000になりますし、ストックの220,000に30パーセントをかけても66,000と少数株主持分もそうでしたが、非支配株主持分はすぐに出せます。
一部の例外として、未実現利益が絡んでくると変わってきますが、原則はすぐに出せます。
今度は、そこから増資をします。

220,000の純資産だった状態から時価発行増資をして115,000の払込を受けて、B社は335,000までストックが増えます。
結論をいいますと、そのときに持分比率が70パーセントから76パーセントに変わります。
すると、少数株主持分は30パーセントから24パーセントに変わるので、335,000に増資後の自己資本に24パーセントをかけた84,000になっているはずなのです。
84,000というのが結論になりますので、覚えておいてください。

この全体像を知っておくと、時価発行増資は意外と簡単なのです。
時価発行増資で24パーセントの持分比率に変わってしまうのです。
増資後の最終的な純資産335,000に24パーセントをかければ、非支配株主持分がすぐに出せます。
これはこれで納得していただいて、1回忘れましょう。
その上で、問題文の時価発行増資の条件を見てみましょう。

【4】1年度末に、この段階でB社は増資前の自己資本は資本金100,000、利益剰余金が120,000で合計220,000ですが、1株あたり230円で500株増資しているので、500株×230円で115,000が増資額となります。
B社のほうでは、借方現金預金115,000、貸方資本金115,000、すべて仕訳にしています。
時価発行増資後に資本金が増えています。
A社は440株引き受けて、60株は非支配株主が引き受けています。
ということは、440×230円で101,200を払い込んでいます。

この段階でのA社の個別仕訳はⅳ.借方子会社株式101,200、貸方現金101,200、これが取得原価です。
では、これについてどうするかというと、よく行うのが「みなし売買法」といって、いった70パーセントの持分比率どおりに引き受けたと考えます。
そうすると話が楽なのです。

まず、借方の資本金が115,000減ります。

これはB社でいったん計上した貸方資本金115,000を借方に換えて相殺消去します。
その115,000を7対3に分けるのです。
115,000×0.7は80,500になります。子会社株式101,200のうち80,500を取り崩します。

貸方子会社株式80,500、あとは115,000×30パーセントで非支配株主持分は34,500となります。これで7対3にはっきり分かれました。
その上で、あらためて最終的な純資産335,000について計算すると、440株+700株なので、増資後は1,140株になっています。
1,140÷1,500株で0.76、76パーセントに持分比率が増えているので、6パーセント追加取得したということになります。

したがって、335,000だった純資産の6パーセントを非支配株主から譲渡を受けたと考えます。

これが先程お話しした「みなし」ということです。
追加取得そのものでは無いですが、追加取得とみなすということがポイントです。
そうすると、いったん貸方は非支配株主持分34,500と書いたのが、今度は335,000×6パーセントの譲渡を受けたとします。

すると、335,000×0.06で20,100だけ非支配株主持分を受け取ったことになり、借方非支配株主持分20,100となります。
それに対して払ったお金が20,700、101,200の子会社株式から80,500はいったん70パーセントあてました。

差額の20,700が残りの取得原価で、これに対して6パーセントの持分を割り当てました。
そうすると、20,100の持分の譲渡を受けた部分と、追加取得で払ったお金とみなしたものが20,700の差額600が資本剰余金となります。
かつてはのれんで処理していましたが、現在はのれんではなく資本剰余金となります。
経済的単一体説で考えるので、非支配株主持分の取引も払込資本と考えます。
これが改正論点のポイントです。

したがって、最後のポイントは資本剰余金なのです。

2014年までの連結を勉強した方は、ここはのれんになっていたはずですが、ここはのれんではなく資本剰余金になるということを知っておいてください。
これはデータとして大事なので、スキャンしてダウンロードしようかと思っていますが、こちらをご覧になって、理解していただきたいと思います。

時価発行増資は改正で出題される可能性がある論点ですし、ここまでやっておけば資本連結の理解が深まります。ぜひ、頑張って取り組んでみてください。

私はいつもあなたの1級合格を心から応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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