業績は5年推移で見ると、会社の問題点がわかりやすい!

今回は会社の業績の分析の仕方についてみていきたいと思います。
これは私がコンサルティングのときに使っているネタのひとつです。

通常、業績の比較をするときには「前年比何パーセントアップ」といったように前年と比べます。

しかし、前年と比べる場合の問題点が1つあります。
昨年の数字が正常値だという前提で比較をするのですが、去年がたまたま異常値だった場合にはこの比較は意味をなさないのです。

ですから、前年だけで決めてはだめなのです。
最低でも3年推移、できれば5年推移を見なければいけません。

5年前と比較するとさすがに途中の異常値も調整されて薄まるので、長い目で見て安定した分析ができますし、会社の問題点がより浮き彫りになります。

それから、たった1年だと2%や3%など小さい差は気にならないのですが、長いスパンで見ると大きな差になるのです。

例えば20×1年から20×5年までの業績を見る場合で、今年が20×5年だとします。
売上が1,288、費用が1,216で、利益が72です。
利益率は5.6%です。

売上は5年前から毎年4%ずつ伸びていますが、費用が年5%の割合で増えてコストアップしています。

ですから、費用のほうが1%ずつ費用のほうが多くなっています。
その状況でいくと面白いことが分かります。

5年前の利益は100、4年前は94、3年前は87、2年前は80、今回は72です。
売上は増えていますが、利益は下がっています。

通常やってしまう業績の比較というのは、20×1年から20×3年までを無視して20×4年だけと比較をするのです。

去年の利益は80ですが、そこから72になっているので、6.5%の利益率が5.6%ならば大したことないと思ってしまうのです。

実際に売上は1,238から1,288に増えているので、増収減益という意識しかないのです。
これだと怖いのです。

何が怖いかというと、この状態がずっと前から続いているとするならば、5年前は100あった利益が72になるのです。

5年前の20×1年の利益は9.1%あったのに、今は5.6%です。
3.5%も減っているのです。
これは由々しき事態です。

前年比で見ると6.5%が5.6%になって大したことないように感じますが、5年前は9.1%だとすると大きな差です。

去年と比較すると0.9%下がっているので、この調子で下がっていくと来年は4.7パーセントになってしまいます。

そうすると5年前と比べて半分ぐらいにまで利益率が下がってしまいます。
この状況を放置しておくと、さらに5年後は利益がほぼゼロになってしまいます。

こういう状況が怖いと思えば、今からならば手を打てます。
売上年4パーセントの増加と費用の年5パーセントの増加率を放置していた経営陣に問題があります。

このようなことは結構多いです。
なぜかというと、単年でしか見ていないからです。

1年単位で見るとよく分からないものが、5年でずっとこういう傾向が続いているというケースが怖いです。

一生懸命売っているのに費用がそれ以上に上がっているので利益が下がっているのです。
こういう状況を教えてあげるのがコンサルタントなのです。

このように5年比較で見るのが良いです。
ですから、私がコンサルティングしている企業は5年前から必ず見るように言っています。

怖いのはジリ貧です。
1年単位で見ると大したことはないのですが、5年単位あるいは7年単位で見て利益率が半分になっているケースというのは本当にあります。

こういうのを根本的に解決するきっかけになります。
幹部社員に危機意識を植え付けるのです。
5年比較は役に立ちますので、ぜひ参考になさってください。

私はいつもあなたの成功・スキルアップを心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

PREV
点検・努力という2つの「陰」が良い結果(陽)をもたらす!
NEXT
本日のおすすめ本「小説 日銀管理」本所次郎著(光文社文庫)