原油高の影響と価格転嫁が、業界でバラツキ

9月24日の日経12面・13面は、非常に怖い記事です。
会計的な視点はもとより、今後の経済を占う上でも、絶対に外せない情報ですね。
やはり、全体を通して3回は読み込んでおきたいところです。

12面の原油相場の上昇グラフは、驚異的です。
ニューヨークで、2001年の終わりが1バレルあたり20ドル弱であったのが、2005年9月20日には66ドルと、3倍以上の伸びです。
このコスト高は、下流に行けば行くほど、最終消費者に近づき、値上げしにくい構造となっています。

したがって、原油精製の上流にある石油開発会社などは、売価のはね上がりから好業績となります。
価格転嫁の様子を表す図としては、日経記事13面(9月24日)が、非常に貴重です。
石油関連製品は、原価計算の分野では「連産品」と呼ばれ、もとの共通製品から、その製造過程でさまざまな製品が生み出されます。

それらの製品が、その後、どの用途に至るかで、業界ごとに、価格転嫁の影響が大きく異なります。
たとえば、下流の最終需要に対して、一番価格転嫁できずに業者が苦労している業界としては、食品容器・包装材を用いる日用品・飲料、樹脂を用いる自動車・家電、軽油などの製品があります。
その一方で、ガソリンは、1リッターあたり130円台にまで価格が上昇するなど、大きな影響を最終消費者が受けていますね。

あと、重油を用いた電力も、同日の記事の図からすると、価格転嫁がすすんでいると見ることができます。
もちろん、航空運賃なども、ジェット燃料の高騰が、影を落とすことになるかもしれないですね。

最近、日本経済はデフレに慣れているので、インフレに対する感度が鈍くなっているように思います。
インフレは、さまざまな局面で、営業コストや商品原価に忍び寄ってきますので、単年度ベースではなく、複利計算を前提とした中長期ベースで、収支を計画されると良いかと思います。

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